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奇想短編箱:へのへのもへじの枠に収まらなかった物語たち  作者: 杉勝啓


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ある女の詩

むかし むかし 女がいました。


女は詩を書きました。



ーーーーーー

プリン


冷蔵庫にプリンがあった

隣の皿に黒い液体があった

プリンにかけた

黒い液体はわさび醤油だった

まずかった

なぜ確かめないんだと

かあちゃんにおこられた


ーーーーーー

どっこいしょ


えっちを、した

男はその最中に言った

「どっこいしょ」


ーーーーーー

タニクソ


女の子が図書委員の仕事をしていた

クラスの男子の声が聞こえた

「タニクソ」

女の子の、姓は谷口だった

楽しいかそんなことさけんで



ーーーーーー

クリスマス


クリスマスイブの夜

とうちゃんがふとんのとなりのタンスの把手に

地下足袋吊るしてた

あくる朝、とうちゃんは地下足袋に何も入ってなかったので

がっかりしてた

ごめんね。とうちゃん



ーーーーーー

さいばん


さいばんしょを傍聴した

さいばんかんのおじさんが言った

「この桜吹雪を見忘れたとは言わせないぜ」

さいばんかんのおじさんは肩脱ぎに、なっていた

きれいな桜吹雪の絵が描いてあった

被告の人は

「参りました」

と言った


ーーーーーー

言えばよかった


あのあと。あの人は言った。

「愛している?」

恥ずかしくて答えなかった私

でも、言えばよかった

あの人は私より先に逝ってしまったから



ーーーーーー

こうもんで遊んではいけません


こうもんで遊んではいけません、

だってこうもんは一方通行だから

ときおり、逆走してつっこんでくるやつがいる

困ったもんだ


ーーーーーー

◯◯◯なんかじゃ許さないわ


早く逝く人大嫌い

◯◯◯なんかじゃ許さないわ

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