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6-1,特務課は今日も忙しい?

 ヤクザ組織“脱兎組”の事務所では、幹部たちが集まり会議を開いていた。議題は、警察に捕まった組長をどうするか。

 数日前、組長と数名の組員が「ある物」を探しに出たまま戻らず、気づけば 警察署の前で「私達は悪い事をしました!」という看板を下げて拘束されていた という。実力者の組員が複数いたはずなのに、なぜそんなことになったのか――幹部たちは原因を話し合っていたが、結論は出ない。それでも今は、

・組長不在の今後をどうするか

・次の組長を誰にするか

・現在のシノギをどう回すか

など、具体的な話し合いが優先されていた。議論がまとまらず困惑していたその時――事務所の扉が勢いよく開き、組員が飛び込んできた。

「た、大変です!!」

「なんだ急に!」

怒鳴られながらも、組員は必死に言う。

「じ、事務所に侵入者が……!」

続けて説明しようとした瞬間――


ドーーンッ!!


爆風のような衝撃とともに扉が破れ、扉の前にいた組員は後方へ吹き飛ばされた。幹部たちが状況を飲み込めず固まっていると、煙の奥から落ち着いた男の声が響く。

「……お前ら、この組の幹部だな。違法薬物および違法取引の疑いで身柄を確保する。神妙にしてもらおうか」

姿を現したのは、右手に警棒、腰に刀のようなものを携えた一人の男。幹部たちは一瞬思考停止したが、“逮捕”という言葉で男が警察関係者だと理解し、懐からドスのような刃物を取り出し慌てて身構える。

男はその様子を見て、一瞬ぽかんとした表情を浮かべた後――口角を上げてニヤリと笑った。

「……ふ。話が早くて助かるよ」

「なーに笑ってやがる!!」

幹部の一人が勢いよく飛びかかる。しかし男は軽く身をかわし、男の顎に強烈な一撃をお見舞い。幹部はそのまま脳震盪を起こし今にも倒れそうなくらいフラフラしていると、追撃と言わんばかりに回し蹴りで男の腹を蹴り飛ばし、壁に激突。その衝撃で窓を塞いでいたブラインドが壊れ外から中が見える状態になってしまった。

 続けて複数の幹部が一斉に襲いかかるが、男は冷静に対処し、次々と動きを封じていく。その時最後の一人が拳銃を取り出し男の方に銃口を向けた。

「死ねぇ!!」

引き金に指をかけ今にでも撃たれそうになったその時、窓の外から一瞬キラリと何かが光った次の瞬間……銃弾のような物が窓ガラスを突き破り幹部の頭に直撃! そのまま気絶する形で地面に倒れ込んだ。


数分後

 脱兎組の事務所前には複数のパトカーが集まり、中にいた組員や幹部たちは全員身柄を確保された。事務所内からは違法薬物や不正取引の記録が多数見つかり、脱兎組は事実上の解散となった。

 今回の功労者である男は、路地の隅でタバコをくわえながら、他の警察官たちに淡々と指示を出していた。その中には、ぼそりとつぶやく者もいる。

「……また特務課かよ」


特務課――警察の中でも、危険な事件だけを扱う“別枠の部隊”。その自由すぎる行動のせいで、一般警官からはあまり好かれていない。


そんな陰口など気にも留めず、男は仕事を続けていた。すると――

「先輩ーーっ!!」

どこからか元気な女性の声が響く。声のする方へ振り向くと、一人の女性が全力で走ってくるのが見えた。……が、直後にバランスを崩し、そのまま男の顔に”ヘッドバット”をお見舞い。男は変な声を上げながらも踏みとどまったが、顔面に思いきりぶつかったせいで、鼻から血がツーッと流れてしまう。

その光景を見た後輩は――

「え、なんですか()()()先輩。鼻血なんて出して……まさか、私で変なこと考えてたとか……うわぁ……」

自分が突っ込んだことを完全に忘れ、本気で引いた顔をする後輩。レイジは怒りを覚え、腰の刀に手をかける。

()()()…お前なぁぁぁ!!」

今にも抜刀しそうなレイジを、周囲の警官たちが慌てて取り押さえる。シオンはそれを横目に、まったく悪びれず本題を話し始めた。

「それよりレイジ先輩。あの組長が言ってた通り、事務所の中から悪事の証拠らしきものがどっさり見つかりましたよ」

その言葉に、レイジは一瞬で冷静さを取り戻す。

「……そうか」

短く答え、懐からタバコを取り出して火をつける。シオンは続ける。

「それにしてもラッキーでしたね。まさか私たちが追ってた組の組長が、都合よくうち(警察署)の前に転がってるなんて。おかげで仕事が楽でしたよ」

レイジは煙を吐きながら、ぼそりと返す。

「……ラッキー、ねぇ。お前は楽観的でいいよ。俺は――組長を置いて行った“()()()()()”が気がかりでしょうがないって言うのに」

レイジが遠くを見るような目でつぶやくと、シオンは呆れたように肩をすくめた。

「レイジ先輩、そんな気を張ってても適当に疲れるだけですよ。もっと肩の力抜いた方がいいですって」

「……お前なぁ」

レイジが眉をひそめると、シオンはふと思い出したように首をかしげた。

「そういえば、今日も隊長は来ていないんですか?」

「ああ、今日もう来ていない。あの人はああ見えて忙しいからな。きっと今もどこかで仕事をしているだろう」

レイジはタバコをくわえたまま、静かに夜空を見上げた。煙がゆっくりと昇り、街灯に照らされて消えていく。


 その頃、謎の三人組の一人はというと……。

「お、お帰りなさいませ…ご主人様」

恥ずかしながら、ぎこちない笑顔でメイドをやっていた?

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