第三話:花火の夜、君に届いた想い 【改稿版】
あの夢は、ただの幻だと思っていた。
けれど――心の奥では、ずっと願っていた。
もし本当に、あの瞬間が訪れるなら。
もしもう一度、彼に会えるなら。
――私は、逃げないって。
そう、決めていた。
私は夢を見ていた。
彼と一緒に、新しい年を迎える夢を。
夜の空気は少し冷たくて、
街はお祭りの光で満ちていた。
私は学校へ向かい、
そして彼の姿を見つけた。
目が合った瞬間、心臓が大きく跳ねる。
でも私はすぐに視線を逸らした。
――きっと、ただの夢だから。
そう思っていたのに、
時間は現実のまま、静かに流れていった。
日々は穏やかに過ぎ、
やがて年末が訪れる。
私はいつものように神社へ向かい、
新しい年を迎える準備をした。
けれど――
私には誰にも知られていない場所がある。
花火が一番綺麗に見える、
私だけの秘密の場所。
そこへ向かった、その瞬間――
足が止まった。
目の前にいたのは、
幽霊でも、幻でもない。
彼――ラフリだった。
先に、そこに立っていた。
胸が、苦しいほどに高鳴る。
私はゆっくりと歩き、
彼の隣に並んだ。
その時――
夜空に、最初の花火が咲いた。
鮮やかな光が、静かな夜を切り裂く。
私は一度、空を見上げる。
でも気づけば――
視線はもう、彼に向いていた。
胸の奥から、言葉が溢れ出す。
抑えられないほどに。
「……好きです」
言った瞬間、
自分の言葉の意味に気づいて――
顔が一気に熱くなり、俯いた。
恥ずかしくて、
逃げたくて、
でも逃げられなくて。
その時――
彼が、私の名前を呼んだ。
「……ユナ」
まるでずっと前から知っているような、
やさしくて、あたたかい声。
私はゆっくりと顔を上げる。
彼の瞳を見る。
夜の光の中で、
その瞳はあまりにも綺麗で――
そして彼は、まっすぐに言った。
「ユナ……俺は、君が好きだ。
きっとこの想いは、君に届くと信じていた。
ただ君だけを愛している」
その言葉を聞いた瞬間――
私の体は、もう止まらなかった。
気づけば私は、彼を抱きしめていた。
夜空には無数の花火が咲き、
光が私たちを包み込む。
その輝きはまるで――
この想いを祝福してくれているみたいだった。
私はそっと目を閉じる。
腕の中の温もりを確かめながら。
そして、心の中で静かに呟いた。
――ついに、この夢は現実になった。
あの夜、花火の下で交わした言葉は、
ただの告白なんかじゃなかった。
それは――
私の世界が始まった瞬間だった。
これから先、どんな未来が待っていても――
私はもう迷わない。
だってこの想いは、
もう彼に届いたのだから。
「※本話は物語の一貫性のために加筆・修正を行いました」




