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第25話 「知らない君と、笑う薔薇」【改訂版】

二回目のループ。

今度こそ――

ユナは死ななかった。

……はずだった。

胸の奥に残る不安を抱えたまま、俺は家へと帰った。

家に入った瞬間、妹のユメが勢いよく近づいてきた。

「おかえり、フリお兄ちゃん!どこ行ってたの?それともう体調大丈夫?」

質問攻めだ。

俺は少し苦笑しながら答えた。

「ちょっと人を助けてきただけだよ。昔の作戦を使ってな」

そう言って、俺はポケットから古いノートを取り出す。

子供の頃、ユメと一緒に書いた

“いたずら作戦ノート”。

その中の一つ――

“パンク大作戦”。

「へぇー?」

ユメは目を輝かせる。

だが次の瞬間。

「お母さーん!!フリお兄ちゃんが人の車パンクさせたってー!!」

「おい待てぇぇぇぇ!!」

遅かった。

数秒後、母が現れた。

「ラフリ?」

「……はい」

結局、俺は少し説教された。

まあ当然だろう。

でも――

今日は少しだけ、気分が良かった。

ユナは死ななかった。

それだけで十分だった。

部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。

天井を見つめながら、俺は小さく呟いた。

「……でも」

まだ終わったわけじゃない。

レディ・ローズ。

あの名前。

あの言葉。

『ユナを殺す計画』

誰かが確かにそう言った。

つまり――

これはまだ

途中の事件だ。

俺は目を閉じた。

「もしまた何か起きたら……」

その時は。

またやり直せばいい。

何度でも。

ユナを守れるなら。

「フリお兄ちゃんー!お風呂ー!」

下からユメの声が聞こえた。

「はいはい、今行く!」

俺は起き上がった。

そして風呂に入り、そのまま眠りについた。

◆翌朝

次の日。

俺は驚くほど元気だった。

むしろ――

少し浮かれていた。

「お兄ちゃん今日やけに元気だね」

ユメが不思議そうに言う。

「まあな」

朝ごはんも美味い。

空気もいい。

今日はきっと

平和な一日になる。

……そう思っていた。

学校に到着。

教室に入ると、俺は元気よく叫んだ。

「おはよう!!」

教室は――

静まり返った。

その沈黙を破ったのは、クラスメイトのセラだった。

「ラフリ……」

彼女は悲しそうな顔で言った。

「ズボンのチャック、開いてるよ?」

「…………」

俺はゆっくり下を見る。

開いていた。

「うわあああああああ!!」

クラスが爆笑した。

俺は顔を赤くしながらチャックを閉める。

(最悪だ……)

朝のテンションが全部吹き飛んだ。

俺は席に座る。

そして隣を見た。

そこには――

ユナがいた。

昨日守った少女。

俺は少し緊張しながら言った。

「おはよう、ユナ」

しかし。

ユナは冷たい目で俺を見た。

そして言った。

「……あなた誰?」

胸が、少しだけ痛んだ。

当然だ。

このループでは――

俺は彼女とまだ出会っていない。

俺は軽く笑った。

「ラフリだよ。ごめん、名前が昔の友達に似ててさ」

適当な言い訳。

でも。

ユナの目が一瞬だけ大きく開いた。

まるで――

何か引っかかったように。

だがすぐに彼女は顔を逸らした。

「……そう」

それだけだった。

その時。

教室のドアが開いた。

先生が入ってくる。

「今日は転校生を紹介する」

クラスがざわつく。

先生が言った。

「入ってきていいぞ」

ドアがゆっくり開く。

そこにいたのは――

銀色の髪の少女。

美しい笑顔。

完璧な姿。

彼女は軽く手を振った。

「はじめまして。レディ・ローズです」

教室が一瞬で騒ぎになった。

「え!?あのアイドル!?」

「本物!?」

「マジで!?」

ローズは可愛く笑う。

まるで本物の天使みたいに。

でも――

ユナの目が見開かれていた。

「……ローズ?」

まるで

昔の知り合いを見るように。

そして。

ローズの視線がゆっくり動く。

まっすぐ。

俺の方へ。

その目は――

笑っていた。

でも。

なぜか。

俺は背筋が寒くなった。

まるで。

最初から全部知っているみたいに。

二回目のループ。

ユナは生きている。

でも――

物語はまだ終わらない。

なぜなら。

薔薇は、まだ笑っているからだ。

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