表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/94

第11話『君といるだけで、私の世界は色づく』 【改訂版】

私の世界は、ずっと無色だった。

厳しすぎる両親のもとで、

愛情なんて与えられたことがなくて――

笑うことすら、どこかぎこちなくて。

毎日はただ、静かに、味気なく過ぎていくだけ。

空も、街も、人の声も。

全部、同じ色に見えていた。

……あなたと出会うまでは。

あの日、ふと目が合った瞬間。

胸の奥に――何かが落ちた。

小さくて、でも確かに温かい感情。

それはゆっくりと、私の中に色を広げていった。

気づけば私は、あなたを目で追っていた。

あなたの笑顔。

少し困ったような表情。

優しい声。

全部がまぶしくて、全部が愛おしくて――

(ああ、これが“好き”なんだ)

そう、初めて知った。

でも私は、“愛すること”も“愛されること”も知らない。

だから、どう伝えればいいのか分からなかった。

それでも――

私は勇気を出した。

あなたの隣に座って、震える声で言った。

「ねえ……」

「私と一緒に、“色”を知ってみない?

……その、恋っていうものを」

言った瞬間、顔が熱くなる。

沈黙が怖くて、息が詰まりそうになる。

あなたは、しばらく何も言わずに――

ただ私を見つめていた。

数秒なのに、永遠みたいに長く感じた。

やっぱりダメだったかなって思いかけた、その時。

あなたは、ふっと優しく笑った。

そして――

何も言わずに、私を抱きしめた。

「……っ!?」

一瞬で思考が真っ白になる。

でも、すぐに分かる。

あなたの体温。

鼓動の音。

包み込まれる安心感。

全部が、優しくて、温かくて。

「ま、待って……!」

私は慌ててあなたを少し押し返す。

「まだ……私たち付き合ってないのに……

その、いきなりは……ずるいよ……」

するとあなたは、少しだけ首をかしげて言った。

「え? 好きな人には……こうするもんじゃないのか?」

……やっぱり、鈍感。

でも、そんなところも――

愛しくて仕方ない。

あなたは私の手をそっと取って、

まるで壊れやすい宝物みたいに持ち上げた。

騎士が姫に触れるみたいに、丁寧に。

そして少し照れながらも、真っ直ぐな目で言った。

「これから先もずっと、俺の隣にいてくれる?」

その言葉は――

驚くほど自然に、胸に落ちてきた。

私は、小さく微笑んで答えた。

「うん……あなたなら」

その瞬間。

あなたは、私の手の甲にそっと口づけを落とした。

――世界が、動き出した。

止まっていた時間が、ゆっくりと流れ始める。

白黒だった景色に、色が流れ込んでいく。

空は青く。

花は鮮やかに。

そして――

あなたの笑顔は、誰よりも温かくて。

私はやっと気づいた。

この世界は、最初から色がなかったわけじゃない。

あなたが――

私の世界に、色をくれたんだ。

私の世界は――

あなたと出会った瞬間から、

ずっと色づいていたんだ。

これからもきっと、

あなたと一緒に、たくさんの色を知っていく。

嬉しい色も。

少し切ない色も。

全部、あなたとなら――

きっと、怖くない。

だって――

私の世界には、もうあなたがいるから。

※本話は物語の一貫性のために加筆・修正を行いました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ