表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら無敵になったけど、服が拒否されました  作者: 榊シロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
73/83

72話 ~大魔王~

「気になるようなら、屋敷の方へ見に行ってみるか?」

「だ……大丈夫、ですかね?」

「まあ、遠目に様子を見るくらいならいけるじゃろ。ヴィルクリフあたりはそろそろ目を覚まして、追い出されてるかもしれんしなぁ」

「あー……あり得るかもしれませんねぇ」


 町中でウロウロしているよりは、目的があった方がいい。


 テルペロンの提案に頷いて、町の北方、そびえたつアスタリカの屋敷へと足を向けた。





「えーっと、この道を通って……で、来るときはあの建物の脇を通ったから……」

「ハナ、お主、大丈夫なんじゃろうな……?」

「だ、大丈夫大丈夫! 最悪、通りすがりの人に聞きますし!」


 慣れない町中を、記憶を頼りにアスタリカの屋敷へ向かう。


 少し小高い丘にあるから、そっちに向けてまっすぐ行けばつきそうなものの、案外道が入り組んでいるのだ。


 そして案の定、ルートがわからなくなって住民に尋ねると、丁寧に道案内をしてもらえる。

 これはやはり、服装の力が大きい、と言わざるを得ない。


(あの裸エプロン……ゲーミングローブの時と、町の人の目が段違い……!!)


 やっぱり服装って大事だ。

 そんな当たり前のことを心に刻みつつ、近づいてきた屋敷を見上げる。


「それにしても、バルシュミーデ家ってすごいんですねぇ。この辺りの町をそれぞれ統治してるんでしょうか」

「そうじゃな。わしの記憶でも、かなり昔から続いておる。フェゼント国の中央から北方のこの付近は領地じゃな」

「へえーかなり昔……それって百年前とか、そういう感じですか」

「なんと、三百年ほど続いておる。なんでも、かつて大魔王を討伐した一員が祖先らしいぞ」

「……だ、大魔王」


 不吉な単語に、ビクッと震えた。


 大魔王。なんとも、怪しい響きだ。


「それって……その、どんなヤツだったんですかね」

「わしも、詳しくは知らんのだ。しかし、その頃の世界は、ひどく荒廃していたらしいと聞くが」

「アレですかね……その、大魔王は封印されてるとかそういう……」

「おお、よく知っておるな。なんでも、選ばれし者たちの活躍により、体をバラバラにされ、それぞれ地中深くに封印されたと聞いておる。それから、今年でちょうど三百年、だったか?」

「……へえ~……」


 思わず、上ずったような相槌が漏れた。


 だって、三百年。三百年、だ。

 もし大魔王が復活するなら、あり得そうな数値だった。


「どうした? なんだか、微妙な顔をしておるが」

「いやー……えぇと、もし大魔王が復活なんてしちゃったら……大変だなぁと思いまして……」

「それは一大事じゃろうなぁ。なにせ大魔王じゃ。人は魔物にとって恰好のエサじゃし、前回の恨みも重なれば、根絶やしにされかねんのぉ」

「ね、根絶やし……」


 とんでもない単語に、ぶるっと身震いする。


(まさか私、その大魔王を倒すために呼ばれた、とか……? いやいや、だったらホラ、だいたい最初に神様とかに会って、ちゃんと説明されるのが定番だし……大丈夫だよね、きっと)


 というか、元の世界にはどうやったら戻れるのだろう?

 今まで、そんなことを冷静に考えている余裕がないような旅路だった。


 死んで転生というわけではないのだから、戻れる手段はきっとある、と思う。


 いや、もしかして自分は死んでいるのだろうか?


 温泉でおぼれ死んだ可能性もあるか。いや、でも転生だったら幼子として生まれ変わるだろうし、現状、外見は元のままだ。


(あれ? でも、選ばれし者の末裔がこの世界にいるなら戻れない可能性も……あ、いやいや、その選ばれし者が異世界転生した人とも限らないか)


 などとうだうだ考えていると、足が止まっていた。

 首を傾げたテルルが声をかけてくる。


「ハナ、どうした?」

「あ、いえ……その、大魔王を倒した人たちって、どんななのかなぁって」

「うぅむ……国の中央であれば文献が残っておるじゃろうがなぁ。わしが聞きかじった話では、選ばれし者たちの中には、別の世界から呼び出された者がいたと聞いておるぞ。バルシュミーデ家は、それを継いだ特別な血筋じゃな。ゆえに、もし大魔王を倒す者がいるとすれば、別世界から呼ばれるのじゃろうなぁ」


 思いっきり、別世界って設定でてきてるじゃん!!


 もしや、自分もその選ばれし者の一人だったりするんだろうか。


 思わずソワソワと体を動かすと、テルペロンは不審なまなざしでこちらを見た。


「なに不思議な動きをしておるんじゃ」

「い、いえ……なんでも……」

「まったく変なヤツじゃのぉ。聞いた通りであれば、このままぐるっと回りこんで……ん?」


 と、テルペロンは私の先に立ってズイズイと足を進めて行っていたが、ふいに視線を上へ――アスタリカの屋敷へと向けた。


「え、テルペ様どうし……あっ!」


 つられるように屋敷を見上げ、声を上げる。


「け、煙がすごい……火事……!?」


 ひときわ大きな屋敷の頭上から、黒い煙がモクモクと立ち上っている。


 空の色が変わるのではないか、と思えるほどに黒々と広がる煙。

 そして、建物のあちらこちらから、よく見ると赤い炎がチラついていた。


「ウソ……っ!? あそこ、エリアスさんやヴィルクリフさんもいるのに……!!」


 近づくにつれ、赤い炎がより鮮明になる。


 ゴウゴウと赤い炎に飲み込まれ、だんだんとその勢いが増しているようにも見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ