↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら無敵になったけど、服が拒否されました  作者: 榊シロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
118/125

117話 ~夜の宴②~

「どっかのアホと違って、気が利く人だったからな、ついついあれこれ頼りにしちまってよ」

「……ああ? おい、誰のこと言ってんだぁ?」

「さあな。んじゃ、寝室に運んでくるか。あんたらはそのまま続けててくれ」


 そういうと、ザンギスはエリアスの肩を持ち上げた。


「ばーか、一人じゃ運べねぇだろ。おれも手伝うっての」

「アホが。酒でも飲んでろよ」

「強がりはいいんだよ。気が利かねぇなりに手伝ってやるよ」


 と、ヴィルクリフも立ち上がり、二人でエリアスを支えると、そのまま寝室へ消えていった。


「ふむ。では、奴らの分まで食べてしまうか」

「テルル、そんなに食べられないですよね」

「クッ……まあの。しかしおぬし、酒は飲まんのか?」

「いやぁなんか……お酒に反応して、爆発起きるんじゃないかって思って……」

「まったく、その体質は大変じゃな。……あ、そうじゃ。奴ら二人が戻ってきたタイミングで発動させて、驚かせてやったらどうじゃ?」

「……爆発の規模にもよりますけど、町中から人が集まってきちゃいません?」


 などと、くだらない話でわちゃわちゃ盛り上がりつつ、他の料理に口をつける。


 揚げたてのカツも美味しく、手羽先も柔らかい。

 腹は減らなくとも、不思議と胃が受け付けて、ぱくぱくと遠慮なく口に入れていく。


 食欲旺盛なこちらの姿を、テルルは半眼で見つめてくるが。


「おぬし……後、どれを食べてないんじゃ?」

「えっ? えっと……たぶん全部、ちょっとずつは食べてますね」

「すごいのぉ、全制覇か」

「不思議ですねぇ。前はこんなに食べられなかった気がしますけど」

「魔力を垂れ流しておる分、活力の元はいくらあってもいいのかもしれんのぉ」


 バクバクと料理を食べている間に、ヴィルクリフとザンギスの二人が戻ってきた。


「おお、よく食ってるな、ハナ」

「まぁバンバン食ってくれ。残しちまってももったいねぇしな」


 ザンギスにも歓迎され、よし、と気合いをいれてバクバク食べていると、ヴィルクリフがドカッと横に座った。


「おい、ハナ。なんでなんも飲んでねぇんだよ」

「え? あ、いや、爆発するかなぁと……お酒なんで」

「ああ? 酒は毒じゃねえだろう」

「それが……なんか、爆発基準が分かんなくてですね……ほら、もしかしたら、酔わせる成分に反応するかな、とか」

「ま、いいから飲んでみろって」

「え、ちょ、ヴィルクリフさん!? 実はめっちゃ酔ってません!?」


 見たところ顔色はいつも通りだが、なんか絡み方が面倒くさくなっている。


 テーブルに置かれたボトルを片手に、空になっていたエリアスのグラスに注ぐと、頬に押し当ててきた。

 

「ちょ、の、飲みます! 飲みますから! っていうかそれ、エリアスさんのですけど!?」

「ああ? んじゃハナのは……って、あ、これおれが半分のんじまったわ。いいだろ、あいつ寝ちまったし」

「ハッハッハ……いやあ、見ものじゃのぅ」


 テルルは止めてくれることもなく、二ヤニヤとこちらの様子を見つめるばかりだ。


「ば……爆発しても知りませんよ!?」

「は? 爆発?」


 ザンギスが、なにを言っているのかと目を剥いてこちらを見る。


「まあ、酒が飲めるか飲めないか、見ておくことは必要かもしれんのぉ。今後の為にも」

「……まあたしかに」


 なにが爆発のトリガーになるか判断しておくのはいいことかもしれない。


 念のため、三人からスススッと若干距離をとってから、口につけよう――として止め、試しに、一滴手のひらに落としてみた。


(……手に乗せて爆発しないなら、大丈夫かな?)


 なんだ、やっぱり警戒しすぎか。


 肩の力を抜いて、よし、とワイングラスに口をつけ、液体に舌が触れようとした瞬間だった。


 パリーン


 軽い音を立てて、ワイングラスが爆発した。


「…………」

「…………」

「…………」

「……え、なんだ、今の」


 皆が沈黙する中、状況がわからないザンギスだけが、ポカンと大口を開いた。


 やっぱりアルコールはダメか。


「えへへ……やっぱダメでしたねぇ」


 苦笑いしつつテルルとヴィルクリフを見ると、彼ら二人は、なぜか急に厳しい目つきで、割れたワイングラスを見ていた。


「なあ、テルル」

「ああ……そうじゃ。やはりな」

「えっ? なに? どうしたの、二人とも」


 彼らはなにやら目配せをすると、ガタッとイスから立ち上がった。


「おい……ハナ。お前の爆発が作動する条件、言ってみてくれ」

「え? いやー、私もハッキリわかってないですけど……食べ物に関して言えば、体に害があるもの……ですかね?」


 なにを改めて、と疑問を浮かべつつ答えると、呆然としていたザンギスがギョッと目を見開いた。


「が、害……!?」

「え、あ、いや、たぶんこれ、お酒なんで! お酒って酔わせる成分が入ってるじゃないですか。たぶん、それに反応して……」


 ザンギスを安心させようと笑う自分の肩に、テルルがそっと手を置いた。


「ハナ。違うんじゃ」

「はい?」


 見上げたテルルの表情は険しく、今さっきヴィルクリフが持っていたボトルを、ジッと凝視している。


「おぬしのグラスに入っているのは、先ほどのワインではない。……最初ザンギスがわしに言っていた、ぶどうジュースの方なのじゃ」

「……えっ」

「そういうこった。おれが、あいつの席から一本とって、お前のグラスに注いだんだよ」


 ヴィルクリフが、静かな声でボトルを取り上げた。


「つまり……それに酒は入ってないんだよ」

「え……ということは……」


 この爆発の力は、アルコールに反応したわけではない。

 では、逆に、いったい何に反応したのか?


「そのぶどうジュースに『なにか』入っていた、というわけじゃ」


 テルルの言葉に、思わずガタンとイスを立った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。