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46.DAY1 弱虫の泣く夜
静かな狭い部屋にすすり泣く声が虚しく響く。小さな窓から見える夜空には星一つ無く、どこまでも黒一色に無限のキャンパスを塗りたくっている。
クライフが新月の祠に現れたとギルドに報告してからのダンテをはじめ冒険者たちの動きは早かった。
住民の避難の先導に応援要請、物資の調達。そしてクライフへの攻撃。今なお皆休むことなく動き回っている。
本来ならいつも一緒にいるルナも今日は事情を1番よく知るものとして新月の祠に向かっている。
そんな中、ソラは1人何もせず部屋に閉じこもりただただ嗚咽と涙を零している。
何も出来なかった。誰も守れなかった。ちょっと強くなったと思い奢って仲間を危険に晒した。自分の非力さが情けなくて、何よりこの恐怖に打ち勝てない負け犬が住み込んだ自分の心がたまらなく惨めだった。
あの時もしヨルがいなかったら自分が死んでいただろう。あの時もしルナがいなかったらヨルが死んでいた。
その全ての原因を作ったのは自分だ。
「なんで動かないんだよ僕の身体は、アイツは母さんの仇でもあるんだぞ。なのになんで、なんで……」
部屋の隅で小さくなって、涙を流す。いくら時間が経っても、夜が更けても変わらない。いつか涙は枯れるというのは嘘だ。枯れない涙が延々と流れていく。
弱虫が泣く夜は終わることはなかった。




