43.ヒカリ
「どうです? 動けないでしょう。月のユグドラシルの魔を使った世界樹魔法はあなた達ニーズヘッグには特に効くはずです」
その言葉に応えるように大樹の根がギリギリとクライフを締め上げる。
「ギャアアアッッツ!!」
「さあ、ソラさん今のうちです! ヨルさんを安全なところに!!」
立ち尽くすソラにルナが切迫した表情と声音で声を投げる。しかしソラはその場から動かない。その代わり立ち尽くしたまま、顔だけルナの方に向けた。
その表情を見て思わずルナはギョッとする。
なぜならその顔は涙を流し続けながら不気味に笑っていたからだ。
「ごめんルナさん。身体がね、全然動かないんだ。さっきからヨルちゃんのところに走り出そうとしてるのに、足がこれ以上前に進まないんだ。あはは、僕のせいで死にかけてるのに、僕は命の恩人を助けるどころか見殺しにしようとしてるんだ。ねぇ、ルナさん僕はどうしたらいいのかな?」
「……ソラさん」
今まで見たことのないソラを見て心の奥に氷の塊を当てられたかのように胸が締め付けられる。
「私に宿る命の精霊よ。その生命を燃やし我が身体に光の加護を与えよ身体強化魔法【命の爆発ー光ー】」
ルナの身体が幻想的な光を纏い白く輝く。
そして大地を蹴ると一気にルナの元へと駆けつける。
「ヨルさん。ソラさんを守ってくれてありがとうございます。あなたは必ず私が助けます」
「……ルナさん」
そこでルナは焦点が合わず朧気な表情で声を漏らすヨルを優しく抱きかかえる。
そしてさらに一足、地を駆けソラのもとへとゆく。
「ソラさん。先ほどは無理なお願いをして申しわけありません」
ルナはそういって頭を下げる。
「安心してください。お母様の世界樹魔法からはいくらニーズヘッグといえども簡単には抜け出せません。だから今は立ち向かわなくていいです。一緒に逃げましょう。私は命の爆発を使っている間は他の魔法を使えません。ヨルさんを助けるために出口に向けて走ってください。安全なところでヨルさんの治療をしますから。ね?」
最後にルナは母が子供に言いきかせるように優しく笑って見せた。
それを見てソラの瞳から今までとは比較にならないほどの大量の涙が零れ落ちる。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
「大丈夫ですよ。ソラさんはなにも悪くありませんから」
そう言ってソラのおでこに自分のおでこを重ねたあと2人はダンジョンの出口に向けて走り出した。
ルナが使った世界樹魔法
世界樹は3本の根に支えられていると言われており、その根の一本が繋がっている(とおる)のが運命の女神ウルズの名前を冠するウルズの泉だと言われています。
そしてウルズの泉には強力な浄化作用がありルナの使った魔法にもその作用はあります。
じゃあ残り2つの根は? となるのですがそれは完全にネタバレですね笑
いつか書けるように今後も頑張るのでよろしくお願いします。




