37.終わりの始まりのプロローグ
「やったーー!! レベル35になったよ!!これで目標達成だぁーー!!!」
サウザントラットの群れを倒しステータス画面を開いたヨルが歓喜の声をあげる。
「おめでとうとう。ヨルちゃん」
嬉しさのあまり赤いリボンを揺らしながらその場でピョンピョンと跳ねるヨルにソラが優しく笑いかける。
「うんありがとう。これもソラ君の経験値キラーのおかげだよ。Dランクダンジョンでこんなに早くレベル上げができるなんて」
「確かに私達が思っていたより優秀な加護でしたね。実際経験値を奪える可能性なんて10%あればいい方だとみてましたがまさか3回に1回は成功するなんて」
「そうですね。僕も予想外でした。ただ30%程度の確率で奪えるのは僕たちより弱い魔物限定です。魔物のレベルが高ければ高いほど奪える確率は低かったです。だから本当の強敵と戦った時、経験値キラーの成功率はかなり低くなってしまいそうです。ただそれでもやりようはありますけどね」
何か考えがあるというふうに柔和に笑ってみせる。
「流石ですソラさん。でもこれでとうとう挑むのですねあのダンジョンに」
「ええ、僕のレベルとしても十分です。明日はダンジョンに潜らず準備の日にして明後日僕とルナさんが初めて出会ったダンジョン『新月の祠』に挑戦します」
ソラの言葉にヨルが緊張で思わず震える。
「う〜、Cランクダンジョンかぁ。緊張するぅ〜」
「大丈夫だよヨルちゃん。危なくなったらすぐに逃げれるようにするし、ダンジョンのマップ、出現する魔物についても調べてるから。それに新月の祠に挑戦するって話しをある人にしたら僕とは別で調査して情報をくれるってことになってるから」
「そうだよね。しっかり準備はしてきたもんね!」
「うん。危なくなったら必ず僕が守るよ」
その言葉にヨルの顔がボッと赤くなる。
「……ソラ君急に王子様みたいなこと言わないでよ」
恥ずかしそうに呟く。
そんなソラとヨルを見ていたルナが不安そうに
「あ、あのソラさん私のことも守ってくれますか? もちろん1番はソラさんの安全で、いざとなったら私が盾になるんですけれども、その、できたら私もちょっとだけ守ってもらいたいなぁなんて。すいません……さしでがましいですよね」
両手の人差し指をチョンと付き合わせてもじもじとしながら控えめに言葉をつなげる。
「なに言ってるんですか。当たり前じゃないですか。それに盾になるのはルナさんじゃないです。僕がルナさんの盾になります」
「はふぅ!?」
その言葉に白磁のような肌が一瞬で真っ赤に染まる。
ときめきのせいで羽が生えて飛んでいってしまいそうな心臓を抑えるように左胸に手をあてその場に座り込む。
豊満な胸が自らの両手で押さえ込まれて、胸元の大きく空いたドレスから綺麗なバストトップが艶っぽく顔を出す。
図らずともソレを上から見下ろす形になってしまったソラが頬を朱色に染める。
「と、とにかく! 2人のことは必ず僕が守ります。だから安心して新月の祠に挑みましょう!」
ダンジョン内で全員が顔を赤くするという不思議な光景を作りながらソラのパーティーは二日後に控えた新月の祠攻略のための狼煙を上げた。
だがこの時3人はまだ知らない。二日後の新月の祠攻略の際にナイトランドを揺るがす大事件が起きることを。そしてそれをきっかけに英雄への階段を急激に昇り始めることを。
全ては二日後のダンジョン攻略から始まる。




