36.異変
「なにぃ? ダンジョンから魔物が消えた? どういうことだ」
ナイトランドの冒険者ギルドのギルド長室で部下の報告を受けたダンテが熊の毛皮のような髭を撫でながら首を傾げた。
「正確には消えたというより減ったというのが正しい表現です。パーティー『月影の雲』の報告によると、国の西側に位置する炭鉱近くのCランクダンジョンに潜ったところ魔物がほとんど存在せず
、会敵した魔物も何かに怯えてるようで戦わず逃げ出したとのことです」
「西の炭鉱か。グリードのやつがおっ死んじまったダンジョンだな。魔物が消えるか。どっか有名なパーティーが一斉にそのダンジョンに突入したり、誰か強いソロが魔物の乱獲でもしたのか」
「いえ、そのような情報も入っていません」
「なるほど。確かに不気味だな。魔物が怯えてるってのも気になる。しょうがねぇ近くギルドから依頼を出してBランクのパーティーに調査してもらうか」
「Bランクのパーティーにですか!? それは少しやり過ぎなのでは? コスト的にも難易度的にもCかDで十分かと思いますが」
「いや、Cランクのダンジョンで起きた異変だ。万が一のことも考えて何が起きても余裕を持って対処出来る奴らを送る。金が足りないってのなら俺の給料から適当に削っとけ」
「ギルド長がそこまでおっしゃるのならば、かしこまりました。ただ現在ナイトランドにいるBランク以上のパーティーは皆遠征中です」
「ナイトランドにはあんま高ランククエストはないから強いやつが遠征にいくのはしょうがねぇな。まぁ、そこは戻ってきてからでいい。戻り次第調査して原因を探ろう」
「はい。ではそのように手配いたします」
そう言って深々と頭を下げたあと部屋を出て行った。
その姿を見送った後、執務机に頰杖をつき、この異変について考える。
「魔物が突然ダンジョンからいなくなるか。なんか嫌な予感がする。当たるぜ元冒険者の勘ってやつは」
そこで執務机から立ち上がり、壁に掛けられた一振りの戦斧に触れる。
それは自らが冒険者をしていた時に共に旅した相棒だ。
「お前を使うような事態にならなければいいんだがな」
戦斧の刃を撫でながら誰に共なくそう呟いた。
ナイトランドに少しづつ迫る異変。
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