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35.経験値キラー

「経験値キラーって聞いたことない加護だね。ルナさん知ってる?」



「いえ、私も初耳です」



 そこで2人の視線がソラに集まる。



 そこでソラは自分の頭の中に浮かんでくる経験値キラーのイメージをそのまま言語化する。



「経験値キラーは自分の攻撃に略奪ー経験値ーを付与する加護で、あてた相手の経験値を一定の確率で奪い取る加護!?」



「それって、ようは相手のレベルを下げて自分のレベルを上げられるってこと!? チートだ。完全にチートの加護じゃん!」



「まさにレベルゴーストの力そのものというわけですね」



「ゴーストはほぼ確実にレベルを奪うからそこら辺は別の加護を持ってるんだろうけど、『授かる者』なら将来本当に攻撃を当てただけで相手のレベルを下げて自分のレベルを上げられるようになるかも」



「ソラ君がまた一歩化け物に近づいた」



「化け物って、そんな」



「あはは、ごめんごめん。でも今回のレベルアップでDランクダンジョンの攻略が相当楽になったんじゃない?」



「うん。それは間違いないね。それにあといくつかレベルが上がればCランクダンジョンでも大丈夫だと思う」



「えっ、普通ダンジョンってそのランクと同等ランクの人が5くらいいるんじゃなかったっけ?」



「その通りだよ。でもそれはなんの下調べもなく未開のダンジョンに挑む時の目安なんだ。既にマッピングがされてて、Cランクの中でも簡単なところならこの3人で十分戦えると思うよ」



「確かに勝てるなら強い魔物を倒す方が圧倒的に効率はいいよね。ソラ君の『授かる者』的にもレアな魔物倒した方が良い加護が手に入りそうだし。それに経験値キラーもあるから奪う魔物のレベルは高い方がいいよね。あーでもこれでソラ君にレベルもどんどん差をつけられちゃうなぁ」



「いや、そんなことはないと思うよ」



「なんで? だって経験値キラーがあったら普通に魔物を倒すだけの私よりレベルアップが早いに決まってんじゃん」



 何を言ってるの? という目線でソラを見る。



「確かに普通に考えればそう。だけど経験値キラーはあくまで付与する加護。つまりその対象が自分だなんて一言もいっていない。僕の考えが正しければ【経験値キラー】」



 するとヨルの右手が銀色に輝き出した。



「自分が付与したい相手に自由にその効力を発揮できる」



 その言葉と現実に絶句する。



 確かに付与系統の加護は武器などを対象にしたり時には他人を対象にとることができる。



 でも経験値キラーはただの付与じゃない。相手の経験値を自分の経験値にするというチート中のチート加護なのだ。



 その恩恵を術者の意思一つで他人に付与できるなど下手したらソラを取り合って大きな争いが起きても良いレベルだ。



 さらにソラは『授かる者』で無限に魔物の加護を手に入れることができ、キス一つで相手の加護のコピーも出来る。



 もしこの先、加護の能力の強化や加護の力を複数に拡散して付与する力を手に入れたら、それで一斉に経験値キラーを発動させたら大変なことが起きる。



 思わずルナとヨルが生唾を飲み込む。



 そしてこの勘の鋭い少年は自分らが想像する使い方などはとうに思いついているだろう。



 恐らくはさらに先、自分たちには想像できないような使い方で加護の力を引き出す。



 その時、世界はソラ・スフィアを英雄として讃えるのか。世界を乱す悪魔として罰するのか。はたまた欲深き者達の道具として使い潰されるのか。



 未来はどう分岐するかはわからない。



 でも、その渦の中心にいる少年は笑顔で2人に声をかける。



「さあ、みんなで強くなろう。僕もこの力で困ってる人を1人でも笑顔にできるように頑張るよ!」



 どこまでも続く青空のような髪を揺らし大きく一歩踏み出した。

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