29.大人のキスが加護入手の条件だというのはなかなか信じてもらえない
「え、え、え、え〜〜〜〜!?!?!? なにしてるのルナさん!?!?」
「ふぁふぃって(なにって)ふぃふふぇふ(キスです)」
「そんなのはみたらわかるよ!」
ヨルがツッコミを入れる中、ソラが口に舌を入れられたまま手足をバタバタさせて必死に弁明する。
「ふぃふぁふんふぁ(違うんだ)! ふぉふぇふぃふぁふぃふゅふふぁふぁって(これには理由があって)」
「ソラ君は何言ってるかわからないよ! それに舌が糸引いてる……えっちぃ」
顔を耳まで赤くしてソラを見る。
「なんなのいきなり2人ともここダンジョンだよ。魔物がたくさんいるところなんだよ。そこでなんでいきなりチューしてるの。それにルナさんはなんで『勝った』みたいな顔してるの! それにソラ君もルナさんにキスされて嬉しそうだし、2人ともハレンチだよ。ハレンチ過ぎるよ!!」
顔を両手で覆いながらも指の隙間からしっかりと2人の様子を覗く。
ヨルの言うことはもっともだ。普通の冒険者ならこんなダンジョンの真ん中でキスなどしない。お互いに舌を絡ませるディープキスなどもっての外だ。
しかしヨルの抗議の声に耳を傾けることなく2人は唇を重ね続ける。
そして3分ほど経った時。ようやくソラがルナを引き剥がした。
「違うんだヨルちゃん。これには理由があって」
「ソラ君ヨダレ」
「あっ、ごめん」
慌てて弁明しようとしたところにヨルからジト目で逆に指摘される。急いで口元を拭き気を取り直す。
「今のは僕の加護に繋がることなんだ」
「ふーん。ソラ君って意外と見え透いた嘘つくんだね。ソラ君は純粋で嘘とかつかないと思ってたけど将来がちょっと心配になってきちゃった」
「嘘じゃないよ。確かに嘘みたいな話だけど、ほら僕は魔物の加護を手に入れられるって話したでしょ。その加護を手に入れるための条件がルナさんとキスすることなんだ」
「ヘェ〜そうなんだ〜すご〜い。ルナさんと大人のキスしてる時のソラ君凄い気持ち良さそうだったもんね〜。気持ち良くなれて加護も貰えるなんてほんとすごいですね〜」
「まさかの敬語!?」
言葉とは裏腹に全く信じてる様子のないヨルにソラは慌てて自分のステータスを表示させる。
「ほらヨルちゃんさっき僕が倒したシビレビーの加護『麻痺針』が僕の加護一覧に増えてるでしょ。昨日加護を見せた時にはなかった加護だよ」
「そんなことがあるわけないでしょ」
ソラが表示させたステータスをチラリと横目で見る。
「えっ、ほんとだ! ほんとに増えてる。それに『麻痺針』だけじゃなくて、『影打ち』に『射撃』もある」
横目で見たステータスには確かに先ほど一緒に倒した魔物の特技が記載されていた。
それを見てルナとソラを交互に見る。
「えっ、ほんとなの? ほんとにチューすると加護が増えるの?」
「良かった信じてくれて。ほんとだよ。ほんとにキスすると加護が増えるんだ」
「そうです。ちなみに私はソラさんと毎日今みたいなキスをしています」
「ま、毎日。あんなえっちぃのを!?」
「ええ、毎日です」
勝ち誇った顔でドヤるルナにソラが苦笑する。
「そういうわけで今のキスは別にエッチなのとかそういう奴じゃないから、ね?」
「私はエッチなものとしても見てますけどね」
「話しがややこしくなるからルナさんはちょっと黙ってて」
そんな会話をする2人を尻目にヨルはジーっとソラの唇を見る。
そして恥ずかしそうに目を潤ませながら、伏し目がちに言葉を繋ぐ。
「ね、ねぇソラ君。そのキスって私がしたらダメなのかな? 私のキスじゃ満足できない?」




