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27.小さな勇気と新たな一歩

「レベル25!? ソラ君それほんとなの!!」



 ようやくルナが目を覚まし一息ついたところで本題に入る。



「うん。ほんとだよ。ほら」



「ちょっとソラ君。冒険者がそんな簡単にステータスをみせちゃダメだよ。って、ほんとにレベル25だ!だってちょっと前まではレベル1だったよね?」



「うん。冒険者に慣れたのがうれしくて最近ずっとダンジョンに籠り続けてたからね。ずっと魔物と戦ってたら凄いレベルが上がってくれたんだ。でももうE級のダンジョンで魔物を倒してもあまりレベルは上がんなくなっちゃったけどね」



「だってソラ君レベル25でしょ。それはそうだよ。そのレベル帯だったらパーティーを組んでD級のダンジョンに挑んでもいいんじゃないかな」



「うん。でも僕の加護は少し特殊だから信用できる人以外にはあまり見せたくないんだ」



「見せたくないって、さっき私に普通にステータス見せてたくせに。確かソラ君の加護って『俊足』と『氷針柱(アイスニードル)』なんだよね。試験をみてた冒険者たちが言ってたよ。確かにかなり珍しい魔物の特技が加護になるパターンだけどそこまで隠す必要もないんじゃない」



「ううん。僕の加護はその二つだけじゃないんだ。ほらステータスの加護の欄を見て」



「加護の欄? えっと、何これ!! ソラ君これどういうことなの!!! こんなにたくさんの加護持ってる人なんて私聞いたことないよ。それにこれ全部魔物が使う加護だよね」



「全部じゃないけどね。一番初めに書いてある『授かる者』っていうのが僕が食べた命の実の加護だったんだ。いろいろあってその力がようやく開花して他の加護を手に入れられたんだ」



「ど、どういうことなの? わけがわからないよ」



「僕の加護は倒した魔物の加護を一つ自分のものに出来るって加護だったんだ。だから増えた加護は今まで僕が倒した魔物からもらったものなんだ」



「何それ!? 倒した魔物の加護を手に入れられるってそんなの反則じゃん! てか、私の加護より絶対凄いよ」



「ははは。どうだろう。ヨルちゃんの加護も十分チートだと思うけど。でも、確かに僕の加護もかなり強い。でも強すぎる力は興味の対象になりすぎちゃうからね。しばらく僕はこの『授かる者』の力は隠そうと思うんだ」



「確かにそれがいいと思う。私も加護をもらったばかりの時は次から次へとパーティーに入ってくれだの、入らないとひどい目にあわすだのわけのわからない人達が凄いきたもん。今はそういう人が来たらミルさんが追い払ってくれるから減ったけど、それでもたまにそういう人は来るしね」



「そうなんだ。ヨルちゃんの場合はかわいいっていうのもあるんだろうけどね。というより今のを聞いた後でこんなことは言いづらいんだけど、ヨルちゃん僕のパーティ―に入ってくれませんか」



「ふぇッ!??」



 そう言って頭を下げるソラに思わずヨルの口から変な音が漏れる。



「さっきヨルちゃんが言ってた通り、Dランクダンジョンに僕とルナさんだけで挑むのはリスクがある。だからパーティーの必要性はわかってたんだ。

でも僕の加護のことを話すことができて信頼できる人がこの町にいるとしたら、ずっとウスノロって言われていた僕のことをいつも励ましてくれたヨルちゃんしかいないって思ったんだ。

もしヨルちゃんが僕の人生にいなかったら今の僕はここにいないと思う。それにあの日ヨルちゃんがかけてくれた言葉とこのナイフがなかったら僕はダンジョンで死んでいた。必ず僕がヨルちゃんのことを守ります。だから僕とパーティーを組んでくれませんか?」



 真剣に嘘偽りなく頭を下げ右手を差し出す。



 その蒼い瞳は不安と緊張に揺れていた。



 ヨルはなんと答えていいかわからず思わずソラの隣に座るルナのことを見る。



「私は反対したのですよ。常に二人きりでいたいので。でも、ソラさんの夢を叶えるために今後のことを考えて、ソラさんの近くであえて選ぶとした確かにヨルさんしかいないと私も思います。でも、絶対にソラさんの隣で寝る権利は渡しませんけど」



 その言葉を聞いて、心の中でソラと冒険の旅をする姿が浮かぶ。それはきっと危険もあるだろうが、とても幸せな時間。



でも、今までこの『moon』にはたくさんお世話になってきた。特にマスターのミルにはいくらお礼を言っても言い足りないくらいだ。ソラとパーティーを組んだら必然的にここで働く時間は短くなるし場合によってはここを辞めなければならない。



それではミルに迷惑がかかる。そんな思いから無意識にキッチンへと目をやる。



「まったく何を気にしてるんだいヨル。いいかいその小鳥のような男はようやく籠から飛び立とうしてるんだ。そしてそのためにヨルあんたが欲しいと言っている。そこに手を差し伸べるのに周りは関係ない。あんたがその小鳥を助けたいか、助けたくないかだ。安心しな。その決断に文句を言うやつがいたら私が鷲掴みにして放り出してやる。それがたとえ私自身だとしてもね。ワハハハハ!」



 ミルはキッチンの奥からそういって豪快に笑って見せた。



「ミルさんありがとうございます!!」



 その言葉に暖かさに心の中の楔が抜ける。



 そしてソラの前に立つとすぅ―っと大きく息を吸った。



「ソラ君、頭を上げて」



 緊張した声音でそういう。そしてその答えに応えるようにソラが頭を上げる。



 目と目があう。お互いに緊張の陰りはあるが純粋でどこまでも深く透明な瞳。



 まっすぐ見合った瞳がダイニングBARの淡い暖色の光を映し世界が止まったかのようにお互いの意志を確認しあう。



 そしてヨルの両手がソラの右手をそっと握りしめた。



「ソラ君、ヨルをソラ君のパーティーに入れてください。よろしくお願います」



 まっすぐとソラの目を見た後、頭を下げる。その姿を見て心の底から何とも言えない感情が込み上げる。でも少し不安で



「ほんとにいいんだよね」



 思わずそう聞き返してしまう。その言葉にヨルはコクリと頷く。その姿をみてソラが声を上げる。



「やったぁ!! 勇気を出してよかった。絶対に断られるんじゃないかって思ってたから。ほんとにほんとうありがとう。え!? ヨルちゃん」



 喜びの声を上げたのも束の間、今度は動揺を隠せずにおろおろとしだす。



 それもそのはずだ。ヨルの目から大粒の涙が溢れ出してきたのだから。



「ごめん。ほんとは嫌だった? 無理してくれたんなら大丈夫だよ。僕とルナさんだけでも十分に強いし、ちゃんとレベルを上げてからD級のダンジョンに挑むから」



「ううん。違うの。これはうれし涙なの。ソラ君とパーティーを組めると思ったらなんでかわからないけど涙が出てきちゃって、止まらないの。どうしようこれぇ~」



 そういって涙を流すヨルにソラはそっとハンカチを当ててやる。するとヨルはソラの服の裾を掴みながら涙を流し続けた。



 そんなヨルを優しく抱きしめてやる。



「まったく今日だけですよ。ソラさんに抱きしめられることを許すのは」



 そんな二人を見てルナが一言そう呟く。



 こうしてソラのパーティーに新しい仲間が加わった。


パーティーの結成です。次は新パーティーでダンジョンへ挑みます。

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