25. 10日後
「やった。ついにレベルが25になった!」
ルナとダンジョンに潜り始めてから10日間。D級E級を中心にダンジョン攻略に努め続けた。
毎日戦って、装備を整えて、キスをした。
そしていまソラは自室にてその両手を固く握りしめてガッツポーズをして震えている。
今日のダンジョンはD級で隠密系統の加護を持つ魔物が多く、いつ奇襲を受けるかわからなかったため、レベルアップの感触があってもステータスを見るのをグッと我慢していた。
そして夜も更けてダンジョンから帰り自室で自らのステータスを確認し歓喜の声を上げたのだ。
「おめでとうございますソラさん。ずっとまずはレベル25を目標にと頑張っていらしたので私も嬉しいです。ソラさんのステータス私も見てもいいですか?」
「もちろんです!」
そう言ってソラがステータスを表示するとルナがスススッとソラの隣に移動し、お互いの腕が軽く触れるくらいの位置にちょこんと座る。そしてソラのほうに顔を向け一緒にステータスを覗く。
そこには10日前とはまるで別人のようなステータスが表示されていた。
名前 ソラ・スフィア Level 25
年齢 15
性別 男
HP 298
ATK 131
DEF 110
AGI 399
DEX 465
加護 授かる者、俊足、氷針柱、操糸術、鬼火、空歩、硬化、ギ酸、擬態、雷撃、氷撃、浮遊、突風、催眠術、衝撃波、反逆の翼、振動、竜巻斬り、地走り、粘着糸、目眩し、プチブレスー風ー、プチブレスー火ー
「すごいです。ほんとに強くなってます! それと以前から思ってたのですがソラさんのステータスはAGIとDEXが飛び抜けて高いですよね」
「これが僕の特性なんだと思います。一口にステータスといっても人それぞれ得意、不得意があるので。僕の場合は攻撃力と防御力はあまり高くないですけど、その分素早さと器用さがかなり高くなってます。正直にいってかなり加護との相性が良いステータスだと思います」
「そうなんですか?」
「はい。加護の強さとステータスは必ずしも一致しません。グリードさんの身体強化みたいに自分のステータスを○○倍したり、自分のATKに依存して威力をあげる加護も多いですが、弱い人が使おうが強い人が使おうが威力の変わらない加護もあります。それぞれメリット、デメリットはあります。ただ僕の場合はルナさんのおかげでほぼ無限に加護を手に入れられます」
「なるほど。例えATKやDEFが低くてもそれを補える加護を手に入れたら問題ないということですね」
「ええ、その通りです。それに加護の中にはAGIやDEXに威力依存するものもあります。それを手に入れられたらかなり強力な武器になりますから」
「はぁ〜。やっぱりソラさんは凄いです。無限の可能性の塊です」
「いや、全部ルナさんのおかげです。本当にありがとうございます」
ペコリと頭を下げるソラにルナがゆっくりと首を振る。
「そんことのないですよ。私がこうして今生きていられるのもソラさんのおかげです。それに私の力を手に入れても強くなれない人は強くなれません。いまソラさんが強くなったのは全部ソラさん自身の人生の積み重ねが実り始めたんです。ソラさんはこれからもっと、もっと強くなります。だから……」
「ルナさん?」
急に言葉尻を止めたルナにソラが小首をかしげる。するとルナがソラの肩を押し、その場で押し倒す。
「ッッツツ!?☆★!▽!?▲!?」
「だから、もっと強くなっちゃいましょう。いつか世界を救えるくらいに強く。今日のキスまだでしたよね。今しちゃいましょう」
床に押し倒したままそっと唇を重ねる。とじた瞼から除く長いまつ毛に、ふわりと香るルナの花の匂いに優しい舌の感触にソラも瞳を閉じて応える。
その瞼の裏に映ったのは、『いつか世界を救えるくらいに強く』といった時のルナの物憂げな表情だった。少し動けば触れ合える距離で見たその顔は少し寂しそうで申し訳なそうな今まで見たことのない特別なものだった。
まるで何か伝えなくないことを、頼みたくないことの一部を勇気をもってようやく吐き出したかのような。
だからソラは決めた。この人の願いを、想いを叶えるためにも絶対にもっと強くなると。
――――それこそ世界を救えるくらいに。
ゆっくりとソラはルナを優しく抱きしめるようにルナの首に腕を回した。様々な人の想いをのせて夜はまた更けていく。
ルナとソラの距離は少しづつ近くなって、ソラはまた少し強くなります。




