23.レベル上げ
「ソラさん今日は待ちに待ったキスの日ですね」
「間違ってはないですけど言い方が」
「間違ってないならいいじゃないですか。今日は1回や2回じゃなくて10回、いえ100回キスしましょう!」
「はは、100回はちょっと無理がある気がします。でもまずは1回お願いしてもいいですか?」
「はい! 喜んで」
そう言って2人は唇を重ねた。拙く舌を絡ませ合いお互いを抱きしめる。
そうここはダンジョン。ソラがルナと出会ったものより2ランク下のE級ダンジョンだ。
今日2人はここにレベル上げと新しい加護を手に入れるためにやってきた。
そして2人は今キスしている。
つまりそれが意味すること、それは
「ああ、もう離してしまうのですね。名残惜しいです」
「大丈夫です。またすぐキスできるように頑張りますから。でもこれでまた新しい加護を授かったんですか?」
「魔物を倒して私とキスしたのですからそういうことです」
そうそれが意味することはつまり2人が魔物を倒したということだ。
ソラは深い泉の中に潜るように意識を集中させて自分のステータスを表示させる。
名前 ソラ・スフィア Level 12
年齢 15
性別 男
HP 82
ATK 65
DEF 45
AGI 110
DEX 210
加護 授かる者、俊足、氷針柱、操糸術
「ほんとだ。『操糸術』が追加されてる。でもE級のグリーンスパイダー3体じゃレベルは上がってくれないか」
「大丈夫ですよ。ソラさん。今日一日魔物を倒せばレベルなんてすぐあがっちゃいます」
両手を握って「ファイト」のポーズをとる。その時に揺れる胸に思わず目を奪われないようにしながら「ありがとう」と短くお礼を言う。
「でもあと不思議なのはあの透明な声が今回は聞こえなかったんですよね」
「うーん。それは私にもよくわかりませんね。そもそもその声がなんなのかもいまいちですし。もしかすると『授かる者』の副次的な効果なのかもしれません」
「副次的な効果?」
「はい。授かる者のメインの効果はもちろん私です。でもそれが全てではなく、他にも補助的な効果があるのかもしれません。例えば声が聞こえた時と聞こえなかった時の状況を比較すると違いはソラさんがピンチだったかどうかっていうのがあります」
「ああ、確かにあの時はほんとにもうダメだと思ってた」
「ええ、だから私とキスして手に入った力がピンチを脱出できるような力だったらそれを使用するかどうかガイドしてくれる効果があるのかもしれません。あくまで加護はソラさんを守る力なので、ソラさんを生かそうと頑張ってるのかも。って、加護の私が言うとなんか変な感じがしますね」
へへへと笑って舌を出すルナにソラが優しく笑いかける。
「ううん。そんなことないですよ。僕はルナさんのことをただの加護だなんて思ってなくて本当に大切なパートナーだと思ってるから。だからルナさんのことももちろん守りたいと思ってる。だから加護の力がボクを守ってくれるなら僕も早く強くなってルナさん含めて全部守れるように頑張りますね」
「ソラさんっ……」
その言葉にルナは感極まって思い切りソラに抱きついた。
「うわっ、ルナさん!?」
「すいません。あまりに嬉しくて理性が感情と行動を制御できませんでした。うう、私も少しでもお力になれるように頑張ります」
白色の薄手のドレス越し当たる身体。濡れる瞳に思わず顔を赤らめてしまう。
「あ、ありがとうございます。それと一つ気になったんですけどいいですか?」
「はい。私にわかることならなんでもおっしゃってください」
「僕は一応、冒険者試験の時に魔物を倒したと思うんですけどその時の加護がステータスに反映されてないなと思って」
「それは時間のせいです。魔物を倒した加護は一定の時間内に私とキスしないとソラさんのものにならずに消えてしまうのです。ソラさんを守ると言ったのにすいません。昨日はあまりに嬉しくて時間内にキスできませんでした」
「いえ、そんなとんでもないです。それに昨日手に入れられなかった分の加護くらい今日取り返してみせますよ」
そう言ってソラは優しくルナを離してホルスターから黒色のナイフを抜いた。
ルナは「あっ」と、少し寂しそうな声を出しながらもすぐにその表情を切り替える。
「ええ、そうですね。このダンジョンの魔物を狩り尽くすつもりでいきましょう!!」
「おー!!」
そう言って2人はダンジョンの奥地へと足を踏み入れた。
ソラの加護にはいくつかルールがあります。
1.時間内にキスすること。
2.キスの時間が短いと加護は授かれない。
3.パーティーで討伐してもソラが止めを刺さないと加護は授かれない。
4.ルナがソラに好意を抱いてなければいけない。
5.ルナを失った時、得た加護は全て失う。




