18.ソラとルナとお風呂
ダンジョンから帰還した夜。3人はギルドにグリードの件を報告した後それぞれ帰路に着いた。
そして今は夜。ソラは大きな問題に直面していた。
「どうしよう。ベッド一つしかない」
そう冒険者ですらないソラの収入は少ないため、ソラは大きな大樹をくり抜き無理やり部屋にした格安物件に暮らしている。
もちろん部屋は狭く、物も最低限のものしか置いてない。ベッドも一つ。トイレと浴室を除いたら部屋数も一つ。2人で暮らすにはお互いプライバシーなんてあったもんじゃない。
「うふふふ、ソラさん困りましたね。これじゃお互いこの小さなベットに身を寄せ合って眠るしかありませんね。でも安心してください。私は多少窮屈な方が落ち着くタチなので」
「なんかルナさん楽しそうじゃないですか!?」
「いえいえ、そんなことはありませんよ。ああ、でも今日はダンジョンに入って汗もかいたのでお風呂に入りたいですね」
「ああ、それなら向こうにお風呂があるので先に入ってください」
ソラがそう言うと、ルナは唇に人差し指を当て、甘えた声で
「一緒に入ってもいいんですよ?」
言葉を創る。
その可愛いが詰め込まれた核爆弾に思わず顔を真っ赤にして両手を顔の前でブンブンとふり、
「け、結構です。一人で先に入ってください!!」
必死で叫ぶ。
「そうですか。それは残念です。でも、ここは一旦引きましょうか。ふふ、お楽しみはこれからですしね」
意味深な言葉と笑みを残して鼻歌を歌いながら浴室へと姿を消す。
ほどなくして、浴室からパラパラと水滴が床を叩く音が漏れる。床を叩く音の合間に聞こえるルナの鼻歌と、ルナの身体に水が当たる音がソラの鼓膜を繊細に響かせる。
「ダメだ。聞いちゃダメだ。女の人がお風呂に入ってる音を聞くのは失礼だ。そうだ、耳塞がなきゃ!」
顔を真っ赤にして両耳を塞ぎ体育座りで体を縮こませる。たった数十分の時間のはずなのに無限に感じられる時間がソラの脳内を麻痺させていく。
「まだ。まだなの? お風呂の時間長くない? 僕が入るとき何て10分くらいなのに。女の人みんなこんなに長いのかな。でもお母さんはお風呂短かったしな」
「ソラさん今上がりますね~」
「あ、は~い。タオルは浴室の前に置いてますのでご自由にお使いください」
「ええ、ありがとうございます。あっ!? いけない私ったら下着を浴室に持ってくるの忘れちゃいました。申し訳ないですけどソラさん持ってきてくれませんか?」
「ええっ、ルナさんの下着ってそんなの無理に決まってるじゃないですか」
「そうですか。では仕方ありませんね。私がこのままそちらに取りにいくしか手段はありませんね」
「えっ!?」
そういうやいなやルナは白バスタオルを身体に巻き、濡れそぼる髪に少し紅潮した頬を見せて浴室から出てくる
濡れた金色の髪の毛が滑らかな白雪の肌にしっとりと張り付く。首筋や鎖骨に浮かぶ水滴が妙に艶めかしく、官能的な蒸気をあげる。それだけでも十分目を背けてしまいたくなる色気と美しさだ。
だがルナの肢体においてもっとも男性の雄を刺激するものそれは神が与えた聖遺物とでもいうべき豊満で張りのある胸だ。
それが今濡れた体に張り付いたバスタオルのせいでその形がはっきりと浮かび上がり、薄手の生地のせいでその肌の色までが透けて見えている。
一歩ルナがソラの元へ踏み出す。すると胸がプルンと揺れる。ソラはその姿を見続けてしまったら自分の中の大事な枷が外れてしまうと本能的に両手で目を隠した。
「そんな隠さなくても大丈夫ですよ。私ってそんなに見る価値ありませんか? すこし自信をなくしちゃいます。あら? でもそういうわけでもないみたいですね。フフ、指の隙間から除くなんていけませんね。これは少しお仕置きしちゃいましょうか」
そう本能的に目元を隠したソラだったが、ソラの中の別の本能が指の隙間を開けさせた。
隙間越しに見えたルナのエメラルドグリーンの瞳はいたずらを思いついた子猫のように無邪気に笑っており、背中にひやりとした汗が流れる。
そんな状況を知ってか知らずかルナは一歩また一歩とソラの元へと近づいてくる。
その距離が近づくたびになぜか息は荒くなり、心臓が早鐘を打つ。
だが身体の変化はソラだけでなくルナにも顕著に表れ、ソラとの距離が近づくたびにその身体は桜色に染まり、エメラルドの瞳がトロンと溶けたように潤んでいった。
そしてお互いの心臓の鼓動が相手の耳に届いてしまいそうな距離まで近づくと、ルナはとろけた瞳に子猫の笑顔を浮かべ、楽しそうにソラの耳元でささやく。
「知ってますかソラさん。エッチな男の子は必ず女の子から罰を受けるって決まりが古今東西昔から存在するんですよ」
「ば、罰ってなんですか?」
「そうですね。普通は平手打ちなんかが多い気がしますね」
「ゴクッ、平手打ち」
「フフフ、そんな強張った顔しなくても大丈夫ですよ。私がソラさんに手を上げるわけないじゃないですか。そうですね私からの罰は何にいたしましょうか? 悩みますね~。あっ、そうだ! ソラさんに決めてもらいましょうか。ソラさんはどんな罰を受けたいですか?」
「自分で決めるんですか? そしたらできたら痛くないのだと嬉しいです」
「痛くないのですか。それでは私とソラさんはこれから一緒に暮らすのですからいろんな意味で早く私に慣れてほしいという意味で、これでどうでしょう?」
そういうとルナは胸元で結んでいたバスタオルの淵にそっと手をかけた。スルリとバスタオルが床に落ちる。同時に生まれたままの姿になったルナがソラを見下ろす。
「なにしてるんですか!? ルナさん!?!?!?」
「これから一緒に暮らすので早く私に慣れてもらうために私の姿をよく見てもらうことを罰にしようかと思いまして。ほら、これなら痛くないしソラさんとしてもうれしいんじゃないですか?」
口元を隠しながら意地悪な笑みを浮かべる。
「はわわわわわ~」
そのあまりに綺麗で艶めかしい姿に思わず目を回しながら視線を外す。
「あっ、ソラさんダメですよ。罰なんですから。最低10秒はみてください」
「10秒!?」
「そうですよ。ほらこっち向いてください。あっ、ちゃんと言うこときいてくれて偉いです。ほらまずはい~ち、に~い、さ~ん♪」
甘い声で笑顔を浮かべながらゆっくりとカウントをとる。
そんなルナをソラは身動きどころか瞬き一つせず見つめ続ける。
そんな中、ルナに見下ろされながらの甘美なカウントは続く。時折強く、時には耳元でささやくように、一音、一音が体の中を撫でるように丁寧に音を繋ぐ。
より声が響くようにそっと口元に当てた右手がソラの耳にふとしたひょうしに触れる。
汗ばんだ身体の熱が伝わり、きめ細かい肌が眼前に常にさらされる。ルナが少し動くたびにたわわに実った胸が揺れる。そんな濃密な10秒間が過ぎていく。
「きゅ~う、じゅう♪ はいソラさんの罰の終了です。ふふ、内心ほんとはもっと抵抗したり嫌がったりするかと思ったのですが、そんな一心に身動き一つせず私のこと見てくれてうれしいです。なんなら少し触ってみますか? な~んてそれは流石にソラさん照れすぎちゃいますよね。って、ソラさん聞いてます? あれ? ソラさん!? ソラさ~ん!!!」
そこには目を開けたまま、完全に意識を失っているソラがいた。ソラがルナの肢体を見つめることが出来た時間は1秒にも及ばなかった。
「どうしよう、どうしよう。とりあえず服着なくちゃ!! 目覚めた時にまたソラさんが気絶しちゃう!!!」
その後、目を覚ましたらソラにひたすら平謝りするルナはちゃんと洋服を着ていた。ただ頭を下げる度に揺れる胸元のせいで再びソラが気を失いかけたのをルナは知らない。
ソラの部屋の家賃は一か月2万2千ギルです。
一般的な冒険者の物価相場が5万5千ギルなのでだいぶ安い家に住んでます。




