17.命の泉
「え!?、今治療っていいました!?」
「ええ、間違いなく言いましたよ。だから早くその男を寝かしてください」
その言葉に目を剥き、ミギブと視線を合わせた後、二人して頷き近くの比較的平らな地面にミギブを寝かせる。
「はぁ、ほんとだったらソラさん以外には使いたくないんですけど、このままじゃソラさんまで危険に晒されてしまいますから仕方ないですね」
そういうとルナはミギブの足の傷の上に手をかざした。
「この者に宿る命の精霊よ。未来に繋ぐその輝きを今ここに照らせ。その光は彼の者の命を満たす雫とならん。自己治癒強化魔法【命の雨】」
優しい白色の光がミギブの足の上に浮かぶ。そして光はその姿を無数の雫に変え、雨のように足の裂傷に降り注いだ。
「さあ、これで終わりです。ちなみにその『命の雨』は一瞬で傷を治すものではなく、あくまで自己治癒を強化するものなのでまともに動けるようになるまで少し時間はかかりますよ」
ぶっきらぼうに魔法の説明をする。
一方のミギブは右足をゆっくりと地面につけて起き上がる。
「た、立てる。確かに痛みはまだ残ってるが確実に傷が治っていってるのがわかる。これなら20分、いや10分あれば動けるようになるぞ。ありがとう! ありがとう姉ちゃん!!」
「あなたにお礼を言われる筋合いはありません。それにソラさん見捨てたこと私は絶対に忘れませんから」
それ以上話すことはないというふうに突っぱねるルナに今度はソラが声をかける。
「ルナさんほんとに凄いです! ありがとうございます。まさかルナさんが加護まで使えるなんて思ってませんでした」
ルナの手を取って上目遣いで感謝の言葉を何度も繰り返し述べる。
するとルナはとろけた顔で早口に言葉を紡ぐ。
「そんなことないですよォ~。私一応、ユグドラシルの娘なんでいくつか加護を持ってるんです。あ、でも安心してくださいね。基本的にはソラさんのためにしか加護は使わないので。私の加護はあくまでソラさんのものです」
デレデレと握られた手をさすりながら捲し立てるルナを見て、ミギブは自分がさっきまで話していた女と本当に同一人物なのかと驚愕の表情を見せる。
「あの、ルナさん。そろそろ手を離したいのですが……」
いつの間にか自分が握ってたはずの手がルナに握り返されているソラが困惑しながら小首をかしげる。
「え~なんですかうまく聞こえません。あ~きっとさっき白魔法を使った影響で耳が遠くなってるのかもしれませんね~」
「白魔法ってそんな効果ありましたっけ!?」
その後、ミギブの足が治るまでの間、ソラの手がルナから離れることはなかった。
もちろんルナの使った『命の泉』にそんな効果はありません!
次回はおまけ回です。




