第二話:気になるあの子は転校生(許嫁)
第二話
転校生三番目の少女の名前はどうやら地藤鈴蘭というらしい。すずらん、だなんて変な名前である。
おかっぱっぽい髪型にちっちゃい見た目、胸なんて確認できなかった。どう見ても十六、十七には見えない。
アイドルの次だからか、かなり白けている雰囲気が漂っている。中々厳しい空気だ……俺が担任だったらアイドルは最後に登場させてたね。
ハードルが一気に高くなってきたというのに地藤鈴蘭は堂々としていた。
「地藤鈴蘭です。みんなよろしく。えっと、昨日転校してきた夢川冬治君の許嫁です」
「な……」
白けていた雰囲気が嵐の静けさへと変わっていった。
「なにいっ」
「気になるあの子はロリだっただとぉっ」
「み、みんな静かにしてっ」
先ほどのアイドル騒動より騒がしくなった教室。一生懸命なだめようと四季先生が奮闘していた。しかし、それで収まるようには思えない。
あの子に手を出すのは犯罪ではないか。そんな声が聞こえ始めたところで騒がしさはピークを迎えた。
「そらちゃーん、サインくれーっ」
「結婚してくれ―」
「あれ? あの子青空グループの娘じゃね」
「俺もメイドさん欲しい」
更にうるささは増していた。
「あー、暴れてぇ」
隣の千鶴はこんな感じでアホな事を口走っている。
これは学級崩壊なんじゃないかと思っているといきなり扉が開いておじいさんが顔をのぞかせる。
『渇っ!』
一括して引っ込んだ。ついでに、騒ぎも収まった。
「えーと、まだ転校してきたばかりで良く割らない事が殆どです。みなさん、優しくしてくれるとたすかりまーす」
能天気そうな声でそう言って、俺を見てくる。
「えへへ、冬治くーん」
手を振られたので目を伏せておいた。
「あれ? 気付いてないのかな」
「ごめんね、地藤さん。悪いけど座ってくれるかな」
「あ、すみません」
危なっかしい足取りで窓際に座ると早速机に頭を突っ伏せてごろごろしている。
「小さい子もいいかもしれないな」
「法律的にもセーフだよな」
ここのクラスは……。
「アホばっかりだ……」
「誰がアホだって?」
「あだだだだっ、ち、千鶴じゃないってば」
つ、次は四人目の転校生か。




