第一話:気になるあの子は転校生(アイドル)
第一話
俺に続く二番目の転校生はアイドルだった。最近テレビに出るようになった娘だ。
礼儀正しい子として売り出しているそうな。
「天導時空です。てんどうじそらって読みま~す」
必殺の微笑みが出て男どもが熱狂していた。残念ながら俺の住んでいるアパートにはテレビがない為に(新聞もとってない)いまいち乗れなかった。
「うおおおおーっ」
「そっらちゃーんっ!」
「サイン下さいっ」
腰までの長髪にぱっちりとした目、透き通るような肌の白さ、常に笑みをたたえる唇……と、アイドルをやらずにこの学園にやってきたらトップクラスの輝きをほこっていたことだろう。
「おれああいう奴嫌いだわ―。ぜってー、裏がある」
隣の席に座っている千鶴がそんな事を言っている。どう見ても茶髪っ子の僻みにしか聞こえない。
「お前もそう思うだろ?」
「ん、そらぁ人間だからな。それなりに裏もあるだろ。アイドルなんだしストレスも多いんじゃないのか」
「ったく、これだから男はダメだな。見た目でころっとだまされる」
選択肢を間違えたようでどうやら俺は千鶴ルートにはいけないようだ。
それはともかくとして、先生による紹介は続いている。どっちかというとアイドル攻略したほうが世間的なステータスは高くなるだろう。
俺たちが無駄話をしている間に自己紹介は殆ど終わってしまっていた。
「それから……天導時さんは知っての通りアイドル活動が多いので勉強に関してはみんながバックアップしてあげてね」
「おねがいしまーす」
「任せてくれ!」
「赤点は絶対にとらせないっ」
そんなクラスメートたちを見て俺はしんみりとした気持ちになってしまう。
「俺の時はあそこまで説明長くなかった……みんなそこまで話しかけてくれなかった」
「おれが話しかけただろ」
「……ああ、そうだったね」
あったのは変な隣人とのスキンシップである。要らないイベントだった。
「じゃあ天導時さんは廊下側の一番後ろにしておいたからね。何か用事があったらちゃんといってくれれば出て行っていいから」
「ありがとうございますっ、先生っ」
愛想を振りまいて天導時空は新たな席へと向かっていく。
「アイドルは特別扱いされるのか」
「おれらはクラスのど真ん中だけどその気になればすぐに教室から出られるぜ?」
アホな隣は無視しておこう。
ああ、昨日までは視線をびんびんに感じていた。それが今では天導時空に視線が向けられている。
何となく、彼女の方へ視線を向けると目があったような気がした。
「あはっ」
こちらに手を振っているような気がする。でも、どうせ後ろの奴に手を振ってるんだろうと思ってそれより気になる残りの転校生へと視線を向けた。アイドルよりもそっちが気になって仕方がない。
ぞくっ。
「?」
どこからか鋭い視線を向けられた気がしたのだった。
おそらくこの小説はばらけます。パラレル同時進行だと思ってください。とっかえひっかえで話が進んでいくと思っていただければ正しいかと……。




