社会
社会科の授業の時間に、誰かがドアを開け教室に入ってきたので視線を向けたところ、生徒たちは軽く驚きました。
おそらく皆さん予測なさったでしょう通り、それは近藤だったのですが、なぜだか彼はちょんまげと着物の、侍の格好をしていました。
そして、教卓にかっこよく両手を載せて、教え子たちに言いました。
「本日行うのは歴史だ」
彼は、江戸時代のことを教えるのに、時代劇のように、芝居仕立てにしようと思いついたのです。なので、その姿だったのでした。
それは、教科書を使うなどして言葉で説明するよりもわかりやすく、興味を引き、とても良いというくらいのアイデアだったかもしれません。
ただ、なぜか近藤は、なにかにつけ、この台詞を口にしたのです。
「市中引き回しの刑にしてくれるわー!」
何なの? それ。すごく気に入ってる感じだけど。そんな状況、実際はあったの?
生徒たちは全員がそう思わずにはいられなかったのでした。
さらに、「ブレイク」と述べ、一旦退出して、貴族の格好に着替えてきました。
そして「オホホホホ」と優雅に笑ったりと貴族っぽい振る舞いをすると、蹴まりをし始めたのです。
ところが、それがてんで下手なために、壁に思いきりぶつけて馬鹿でかい音をさせ、隣のクラスから別の教師がカンカンに怒った状態で来て、こっぴどく叱られる羽目になったのでした。
近藤はもう一度教室を出ていって衣装替えを行い、再び侍の姿でやってきたのですけれども、直後に授業終了の時刻となり、こうしゃべりました。
「今日の授業は良かったろう? もし良くないという人がいたら、市中引き回しの刑にしてくれるわー!」
え? それを言うためだけにまた侍姿になったってことなの?
生徒たちは思い、ただただ呆れ果てました。
そして近藤は、何が可笑しいのか、「カッカッカッカッカッ」と殿様のように高笑いをしながら教室を後にしていったのでした。




