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おかしなおかしな教師近藤のPTへの道  作者: 柿井優嬉


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3/9

家庭科

 とある中学校の、とあるクラスで、次の授業は家庭科なので、生徒たちは家庭科室に移動しました。

「……」

 何かを見た、生徒全員が目を伏せました。

「どうしたんですか? 近藤先生」

 そう、彼らの担任教師は近藤なのです。黙っていても仕方がないので、一人が機械的に尋ねました。

「今日の授業は私が行うのだよ」

 生徒たちはもはや何も感じませんでした。

 近藤の担当教科は謎ということになっています。この流れだと家庭科ではなかったのが確定してしまいますが、彼は面倒なのでそこは気にしないことにしました。

 そして、授業開始のチャイムが鳴りました。

 すると近藤は、生徒たちに言いました。

「本日行うのは調理実習だ」

 しかし、宣言とは裏腹に調理を行うことはなく、彼は一人で向かった奥の準備室から、何やら中身がある様子のどんぶりを持ってきました。

 まさかと生徒たちは思いました。そうです、そのどんぶりに入っているのは力うどんでした。

「こりゃ、美味そうだ。いただきまーす」

 そう言うと、彼は教え子たちが見ているなかで普通に力うどんを食べ始めました。唯一彼を褒められるとしたら、非常に良い食べっぷりだったという点でしょう。

 一杯、二杯、三杯と、彼は大食い大会の選手のようにひたすら食し続けました。

 ところが、五杯目も後半に差しかかったときに、その手がピタリと止まりました。

「ハー、ハー」

 とてもつらそうです。おそらく皆さん思われたでしょう通り、ただ単にお腹がいっぱいになってきたのでした。

 それでも彼は負けじと一本ずつうどんを口に運んでいきました。

 そうして、なんとか五杯目も完食し、ちゃんとどんぶりが空であることを、誰も疑ってなどいないというのに、生徒たちに派手に見せてアピールしました。

 授業が終わる時刻となり、近藤はすこぶる満足そうに、相撲取りがするように横っ腹を叩き、つまようじをくわえてシーハーしながら、ガニ股で家庭科室から出ていきました。

「……」

 生徒たちは、しばらく動くことができず、さらに、その後の相当な時間、誰も何も言葉を口にしなかったのでした。



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