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美紀ちゃんは放課後直ぐ、神崎君と連れだって帰ってしまいました。
彩萌ちゃんは自転車通学なので、一緒に帰る事ができませんし、圭祐さんはまだ帰れないでしょうから、ひとりで帰る様です。
たまには本屋さんでも覗いてみようかと立ち上がると、真理佳ちゃんが声をかけてくれました。お邪魔はしたくないと思ってはいたけれど、島崎さんとの事も気になっていたので、一緒に帰る事にします。
「島崎さんがそっちに行ったよね」
「来たよ。私が彩萌ちゃんに頼んだことだから」
「それじゃ、謝罪を受け入れたのね」
「隠していた事も事実だから、『お相子だから普通にしろ』って言ってやった」
「僕はもう少し言い方が有るだろう、って思ったんだけどね」
「だからぁ! 私はあの子が嫌いだから、これで良いの!」
その割には来るように促すなんて、真理佳ちゃんも随分強くなったものだ。支え合っている感じがして微笑ましい。
私は圭祐さんを、ちゃんと支えられているだろうか?
負担にはなっていないだろうか?
そんな考えが顔に出ていたようで、心配されてしまいました。
「沙織ちゃんは、今の関係が物足らなくは無いの?」
「満たされているとは言えないわね。もっと支えてあげなくっちゃって思うけど、行動に移せるものは少ないし」
「支えるってのも必要かもしれないけど、もっと無いの? 恋愛的なさ」
「物足らないと思うほど進めるつもりは無いし、そう感じるほど何もされていないわけじゃないしね。圭祐さんがどう感じているかは判らないけど」
「まぁ、向こうは大人なんだし、足らなければ店でも行って発散してるだろ」
あえて考えない様にしている事を翔真君に突かれて、やっぱり男性はそういうモノなのかと気が滅入ってしまって、真理佳ちゃんが発する言葉が頭に入ってきません。踏み出す勇気も無いのに滅入っている自分が、なんか嫌だなぁと思ってしまったのでした。
夜になっても翔真君の言葉が頭を離れなくて、なんとなくメッセージを送ってしまいましたが、直ぐに返信が来ます。家に帰ってゆっくりしていた所なのかも知れません。
『翔真君に聞いたのですが、どんなお店に行くんですか?』
『特定の店は無いが、歩いて行けるくらいの近場が多いな』
『そんなにお店が多い所なんですか?』
『古めかしいが、安い店はけっこうあるよ』
『どのくらいの頻度で利用しています?』
『恥ずかしい話だが、ほぼ毎日』
それは行き過ぎなんじゃないかと思わなくも無いですが、女子高生に囲まれた生活だと必要なのかもしれません。だとすると、同棲し始めたら毎日求めらえたりする、のかな?なんかちょっと怖くもあります。
『男の人って、そういうものなんでしょうか』
『他はどうだか知らないが、俺はどうも料理が苦手でな』
『食事もとれる所なんですか?』
『まあ歩いて行くし、酒も少しくらいは飲むよ。独りだから長居はしないけど』
『えっと、何の話ですか?』
『飯屋じゃないのか?』
『いえ。あの、風俗的な……』
最初から話がかみ合っていなかったようです。そうですよね、さすがに彼女にそこまで話しませんよね。
引かれてしまったかな、と思っていると電話が鳴りました。
「断じて無いから! 行った事なんてないから! その、経験自体無いから……」
最後の方は声が小さくて、恥ずかしそうな感じが伝わってきました。
「それはそれで不健康と言うか、無理しなくても良いですよ」
「——打ち上げ後に、家に泊まれないか?」
しばしの沈黙を挟んで言われた言葉に「はい」とだけ答えると、「あしたな」と電話が切れました。
『どうしよう。もし求められたら、応えるべきなのか』
自分から振ってしまった話題なのに、想定外の展開になって尻込みしそうです。
先に進んでしまっても、学校では生徒としていれるでしょうか。それとも……。
いや、そもそも泊まる気であったのだから歓迎すべき展開なはずです。買い物とかも行けるかもしれないので、着替えとか下着とかをちゃんと準備しておかないといけませんよね。




