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先生と私の恋愛事情  作者: 羽鳥藍那
高校編 - 中
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 あんな事件が有ったにもかかわらず、文化祭は例年通りに行われることが正式に決まり、にわかに学校内が慌ただしさを増します。それは私たちのクラスも同様で、切羽詰った話し合いが行なわれる事に至っています。

 元々、出し物は喫茶店に決まっていて、夏休み前には役割決めも済んでいました。それなのに六名の欠員が出てしまったため、役割を決め直す必要に迫られたのです。

 部活に所属している者の中には、二日間のどちらかを部活に当てる人がいます。それを考慮して組んだはずが破綻してしまい、部活の方を調整するのは難航するはずです。

 私も二日目に他校との練習試合が組まれているので、クラス側は初日しか手伝えない事から売り子に決まっていて、そちらのリーダーは島崎さんが二日間とも務める事も決まっていたはずなのです。


 まず問題になったのは調理側のリーダーで、初日を真理佳ちゃんが努め、二日目を須藤さんが努める事になっていたけれど、その須藤さんは事件で犠牲になってしまった。

 そこを逆手にとって自分に近い者を調理側に集め、真理佳ちゃんに二日間ともリーダーをやらせようと島崎さんが画策してきたのです。

 当然、真理佳ちゃんは猛反対です。自由時間が無いだけでなく、翔真君を引き離すように売り側のリーダーに据えようとしたしているのだから。

 これには私や木下さんも異を唱えました。

「売り側のリーダーは二日間とも島崎さんが立候補して決まっていたのだから、翔真君に押し付けずにまっとうしなさいよ」

「調理側の人数が少ないから、家庭科部の木下さんを入れてあげてよ」

 他にも佐々木さん達が抗議してくれたけれど、女子の半分が島崎さんの意見を受け入れていて、男子の大半が島崎さんに甘くて話になりません。こんな事でまで圭祐さんに負担をかけたくないのだけれど、遅々として話が進まないでいます。


 真理佳ちゃんも反対意見を言ったものの、島崎さんに一蹴されて俯いてしまったままでいます。

 こんな時こそ翔真君が守るべきだろうと睨み付けるけど、周りをうかがって出方を決めかねているようでしたが、目が合った途端に苦笑いしてやっと口を開きました。

「クッキーなら母の手伝いをしたことが有るから、僕は厨房側に回りたいのだけど」

 するとすかさず島崎さんが反対に回り、しばらく押し問答が続きます。そして真理佳ちゃんの表情がどんどん険しくなって行き、「妹ちゃんは……」と言われてついにキレてしまいました。

 ブラコンだの目障りだのと言われた事で状況が見えなくなってしまったのか、決して明かしてはいけない思いを、大声で吐き出してしまったのです。


 翔真はだれにも渡さない。お兄ちゃんは、私だけのものなのだから。っと。


 唖然として言葉を失う教室内で、事情を知っている私と美紀ちゃんだけが顔をしかめますが、当の翔真君は満更でもない表情でいるのが非常に腹立たしい!

 口を開きかけた私を制するように、翔真君が場を制します。

 島崎さんを恋人にするつもりは毛頭ないと、自分に喧嘩を売ったと言い出し、真理佳ちゃんを最愛の人だと開き直ったのです。その上、血の繋がりが無い事も含めて二人の関係を暴露してしまいました。

 当然ながら教室内は騒然とし始めますが、喧嘩なら買ってやるから覚悟して来いと一括し、役割については二択を提示して二人で出て行ってしまったのです。

 残された者は、ただただ唖然として二人を見送ってしまいました。


 教室の隅で成行きを黙って見ていた圭祐さんは、出て行く二人を止めようともせず、納得できる役割を決めてみろと促すような目で私を見つめてきます。

 そうです、この隙に役割を決めてしまうのが得策でしょう。

「最初の役割通り、島崎さんが二日間とも売り側のリーダーをやりなさい。厨房側は初日を相羽さんが、二日目を木下さんがリーダーをするで良いわね」

 私がそう言い切ると誰からも反論が無く、美紀ちゃんも心得たとばかりにうなずきます。すると美紀ちゃんは、黒板に厨房側に必要なメンバーを書き出していき、島崎さん達に向けて言い放ちました。

「書き出された人は調理をお願い。あとは要らないから売り側に入って。男子の役割は神崎君に一任するから。クラス委員なんだから任していいよね?」

 そうです。島崎さんに近いメンバーを、根こそぎ売り子側に回してしまったのです。要らないと言い切って。

 神崎君は立ち直りが早かったみたいで、真っ先に自分の名前を厨房の二日目に書き込むと、ブツブツ言いながらも綺麗に割り振って見せました。そこまでして美紀ちゃんと一緒に居たいのかと言いたいですが、気持ちは解らなくもありません。


「先生、これで役割決定です。時間がかかってしまって申し訳ありませんでした」

 美紀ちゃんに軽く肘打ちされた神崎君が言い切ると、圭祐さんは「ご苦労様」とだけ言って私に目を向けてきます。どうやら二人を呼んで来いとの合図みたいですが、口を開く気力も無いのでしょうか。

 後ろの扉を開けて廊下に顔を出すと、少し離れた所に二人が立っていました。良い雰囲気をかもし出していて、お邪魔するのも悪いとは思いましたが、今は授業中です。これで真理佳ちゃんの気持ちが落ち着けば良いなと思いつつ、手招きして呼び寄せ段取りを含めて話し合ったのです。


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