このままで済むとは思えない 01
伝助は実際には、拓人たちと歳が一緒だから順調にいっていれば今年度卒業のハズ、今回はたまたま助太刀で参加となったが、一体どんな気持ちで卒業生を見送るのか。
一方スーちゃんは、教えてはくれなかったがどうも2コ上らしい、しかし同級生として一緒に卒業。近頃は出席日数がどうにか足りたとかで、あまり学校内でも見かけることはなくなった。変化も『修了』したので外でもほとんど見かけない。わざわざアパートを訪ねて行く気もしないし。どうして好きこのんで『コケツ』に入らねばならんのだ、コジもいないのに。しかもヤツは「最後に必ずオマエを殺る」と宣言していたし。奴のアパート何かに入り込んだら、一体どんなトラップが仕掛けてあるか分かったもんじゃない。
くわばらくわばら。
しかし卒業式には来るのだろうか? もしかしてその時に殺されちまうかも、と拓人、腕にやや鳥肌。
それでも久々に変化が集まるのは、嬉しい気もしているし。
あかねにもつい「ユキも卒業式呼べよ」と言ってみた。聖ニコの式は3月1日なのでこちらの式にも家族として列席できるだろう。しかし
「なんで? 誰が何の得になるのよ」
と軽く鼻で笑われた。
オレのアイディアは単に一時の感傷なのかも知れないな。
そう感じつつ、独り教室から出て行こうという時に
「おい」
聞き覚えのあるドスのきいた呼びかけ。ドアの影に隠れていたらしい。ぐいっと襟を掴まれて拓人思わず
「うわっ、で~た~な~~~」久々に見る学ランのスーちゃん。道掘り姿もコワいが、学ランバージョンもまたとっても怖い。泣いてちびる。
「なまんだぶなまんだぶ頼むジョーブツしてくれー」
「オマエはしなくていい、そのまま地獄に堕ちろや」
「金なら返したよなー、こないだ」
スーちゃんはぱっと手を離した。
「ばかか。オレはマジな話で来たんだよ」
あごで示され、明るい窓際までついて行く。
「なんだよ、マゾな話って」
ばしっ、とハリセン並みの威力で殴ってからスーちゃんは拓人の襟髪ひっつかみ
「とにかく口閉じてついて来やがれ」
ぐいぐいと引っ張って行った先は、屠殺場、いや印刷室だった。
「何だよここ、何で印刷室なんか……、分った、オレをあのシュレッダーにかけてミンチにして海に棄てるつもりだな」急にスーちゃんの真顔を認め、「あ、違うか」少し考えてから拓人「違う、その目は……分った」ぱっと目を輝かせる。
「コクハク?」
スーちゃんの無意識の鉄拳がボディーに鮮やかに入り、拓人悶絶。
「ミンチにする前にひとつ、話がある」
スーちゃんの声はしかし、あくまでも静かだった。




