助太刀 suddenly!
確かにいたのだ。あと4人。それは覚えている。
クールなアサギ、食ってばかりのウコン、終始穏やかだがやる時ぁやるワカクサ、そしていつもニコニコしていたサクラ……でも、それぞれの名前が、全然思い出せない。
今も彼らは『ものから化』しているはずだ。それも知っていた。彼らを助けたいと思っていた、ずっと。しかし変化プロのスタッフからは
「放っておいてだいじょうぶ。彼らは今のままでも十分日常生活が送れているから、それに今回の事が済んだらまとめて対処するから」
と軽く言われていたので、とりあえず問題があるとは深く考えていなかったのだ。
「ごめん……名前には記憶はないけど」
伝助は額に手をやって申し訳なさそうに声を振り絞った。
「多分、お兄さんってさ、3年くらい前に変化やってたんだね……オレと」
「やってたんだね、じゃねえよ」
ツヅキも抑えていた感情をさらけ出して怒鳴る。
「兄貴の話は今はどうでもいい、とにかくオマエはさっさとヘンゲやめて降参しちまえ、奴らにメタメタにされちまえばいいんだ」
「すでに今回のヘンゲはもうね、ほとんど終わってるん」
「は?」
「見てたでしょ」少しだけ口調を和らげる。
「アンタもあの場にいたんだから。それに、もう『処置』も済んだんよ」
ウンコ山モリ公園での戦いの後、拓人が代表して校長室に出向き、米じいも交えて交渉と相成った。
第四師団が壊滅状態ならばもう自分達のシゴトは終わっただろう、と問うと相手は案外あっさりとそれを認め、今度メンバーまとめて変化解除処理をするからまた集まってほしい、その際、君たちの働きに見合うだけの報酬も、という話になった。
あまりにも向うがすんなり承諾したのが、気味悪いと言えば気味悪い、と珍しく拓人が悲観的なコメントを発した。そして彼の野性的カンはいつもおおむね正しいというのも、不安要素だった。
だが上がそう言ってくれるのならば自分たちだって全然ヘンゲなんかに固執する理由はない。結局拓人がそう言って、皆も特には何も逆らわずにそれに従った。
高校卒業まですでに半年を切っていた。しかも、受験を控えたメンバーがほとんど。
デンだって、音楽活動について見直したい時期でもあったし。
ようやく普通の学校生活が送れる、だれもが正直、ほっとしたような表情だったのは確か。
ようやく落ちついた、という気もあって今度はツヅキとの対決をちゃんと済ませたい、と単純にそう思っただけだった。
なのにいきなり、頭の中には『?』マークが大量に湧いてしまっている。
「兄さん、って、じゃあアンタは変化はやってなかった。なのに色々聞いて知ってたんだ」
「まあな、兄貴はボクを信頼してくれてたし、ボクだって他の誰にも言わなかったさ」
「こないだの画鋲も……」どうやって? と目が問うたのかツヅキはにやりとした。
「ボクだって、兄貴が変化する様子をしょっちゅう見てたからな、仕組みも聞いたよ色々と。いずれはオマエもって……そんな話はいい、とにかく内情は色々聞いてんだ。変化になる直前、コスチュームは後付けで粒子転送されるって話だから、変プロの隠し倉庫に忍び込んで画鋲仕込んだんだよ、まあ、御挨拶代わりにね」
「なるほどな」
急に頭上から聞こえた声に、ふたりははっとして太陽の方を振り仰ぐ。
「ツヅキくん、その話は元・リーダーのボクにもじっくり聞かせてほしいなあ」
太陽を背に、公園入り口、センダンの木のてっぺんにいつの間にか拓人が立っていた。
「何て言うんだっけ、こーゆー時さ。あ、そうそう、
『ツヅキはCMの後』だ」




