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ほほえみデンタルクリニック、異世界で開業しました  作者: ポン吉
第9章『ほほえみデンタル、食卓のぬくもり』

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03.まごうことなき白米

智子と美里は白穀おにぎりを口にふくむ。


梅干しの酸味。

塩気。

そして――。


「……こ……これは!!」


智子は目を見開いた。


美里も、おにぎりを持ったまま固まっている。


「なんということでしょう!!」


噛めば噛むほど口の中にひろがっていく甘み。


口の中でほどけていく白穀。


お腹に入っていくっていうより、身体に染みてく感じがする。


シンプルな梅干しおにぎりだが美味しい。


もうこれだけでいい。

おかずなくてもいける。


智子はおにぎりを見つめる。


粒立ってる……!

ちゃんと一粒一粒うまい……!


美里も無言で何度も頷いていた。


なんか身体が“これ知ってる!”って喜んでる気がする。


これだよこれ!って感じする……


智子は目を閉じる。


「……あ゛〜〜〜〜。やっぱ白米うめぇ……」


智子と美里は白穀おにぎりを噛みしめながら幸せに浸っている。


炊き立て。

熱々。

梅干しの酸っぱさ。


そして白穀そのものの甘み。


見た目だけではなかった。


これは本当に白米だった。


智子はおにぎりを見ながら頷く。


「これは日本人がよく知っている白米だわ」


美里も真顔で頷いた。


「えぇ、これはまごうことなき白米です」


2人は再びおにぎりへかぶりつく。


海苔の香り。

塩気。

白穀の甘み。


噛むたびに幸せが広がっていく。


美里はおにぎりを食べながら口を開く。


「お試しに2キロしか買ってきてないって言ってたから……」


「10キロくらい買ってきてもらいます?」


「お店の方に在庫があればね」


「まぁ、それはそうですよね」


美里は納得しながら頷く。


しかし、また白米が食べられる。


それだけでかなり大きかった。


智子は最後の一口を食べる。


そして、ふぅ……と息を吐いた。


「さて、それはさておき……証拠隠滅するよ」


「そうですね」


2人はすぐに動き始める。


智子と美里は先に白穀を味見……毒見した痕跡を消す。


ラップを片付ける。

使った皿を洗う。

海苔を戻す。


炊飯器の中身も整える。


美里は真剣な顔で頷く。


「わたしたちは毒見をしただけ」


「はい。毒見です。あくまでも」


智子も真顔で返した。


2人は何回も毒見だと言い聞かす。


決して、つまみ食いではない。


あくまでも安全確認。


毒見。


智子は炊飯器を見ながら口を開く。


「このおいしさだと炊き込みご飯もいいね」


「あ~~~~~いいですね!!」


美里の目が輝く。


智子は小さく笑う。


「………しっかし、お肉とか野菜とかも減ってきたし……、明日休診だから市場に行こうか」


「そうですね。なんだかんだでゆっくり市場見たことないですしね」


異世界へ来てから、毎日が慌ただしかった。


開業準備。

診療。


食材も最低限の買い足しばかりだった。


市場をゆっくり見る余裕はなかった。


智子と美里は晩御飯の準備のためテーブルに並べる。


生姜焼き。

みそ汁。

キャベツの千切り。


そして、炊き立ての白穀。


湯気が立ち上っている。


美里は並べ終わった食卓を見ながら頷いた。


「さて、みんな呼んできますか」


「そうだね」


智子は笑う。


白穀のおいしさに驚く姿を想像してクスリと笑う。


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