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ほほえみデンタルクリニック、異世界で開業しました  作者: ポン吉
第9章『ほほえみデンタル、食卓のぬくもり』

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02.白穀の毒見

智子は白穀の入った袋を持って、自宅へ戻っていた。


診療所の裏にある住居スペース。

キッチンへ入ると、智子はまず手を洗う。


水を止め、タオルで手を拭く。


そして、そのまま白穀の入った袋へ視線を向けた。


「さて……どうしたものか」


袋の中には白い粒が入っている。


見た目だけなら、本当に米だった。


しかし、本当に食べて大丈夫なのかは分からない。


智子は袋を見つめたまま、小さく息を吐く。


その時だった。


「智子さ~ん。晩御飯の準備を手伝いま~す」


後ろから美里の声が聞こえる。


智子が振り返ると、美里がエプロンを付けながらキッチンへ入ってきた。


そのまま冷蔵庫を開け、野菜や肉を取り出していく。


「どうします?今日のおかず」


美里は玉ねぎを持ちながら首を傾げた。


智子は白穀の袋を見る。


「……白穀の味が未知だからねぇ……」


「………豚の生姜焼きにします?少し味付け濃い目にしておいて」


「白穀が濃かったらどうする?」


「それはそう」


2人は同時に腕を組む。


白穀の味が分からない。

だから、おかずの味付けも決めにくかった。


智子は困ったように笑う。


「おいしい料理を大和から頼まれたからねぇ……」


「……あいつ……料理しないくせに」


美里は手に持っている玉ねぎを握りつぶしそうな勢いだった。


智子は思わず笑う。


「まぁまぁ」


「絶対あいつ、自分で作れって言ったらカップ麺しか作れませんよ」


「それは否定できない」


智子は笑いながら美里をなだめる。


そして、白穀の袋を持ち上げた。


「まぁ、とりあえず普通に炊いてみるから、おかずはいつものと同じ感じにしようか」


「は~い」


美里は返事をすると、そのまま慣れた手つきで料理を始める。


キャベツを切る音。

肉を切る音。


キッチンへ包丁の音が響く。


智子も白穀を袋から取り出す。


白い粒。


やはり、どう見ても米だった。


ボウルへ白穀を入れる。

水を流し込む。


すると、水が白く濁った。


智子は小さく目を丸くする。


美里もその様子を見ていた。


「……本当にお米みたいですね」


「ねぇ」


智子は白穀を研いでいく。


水を替える。

また研ぐ。


その感触も、見た目も、知っている米と変わらなかった。


智子は炊飯器へ白穀を入れる。


そして水を入れ、炊飯ボタンを押した。


炊飯器が静かに動き始める。


その間に、2人は晩御飯の準備を進めていった。


フライパンで豚肉を焼く音。

味噌汁の湯気。


キャベツの千切りも皿へ盛り付けられていく。


晩御飯は生姜焼きとみそ汁。

キャベツの千切り。


いつもの晩御飯だった。


そんな中。


ふわりと香りが漂い始める。


智子はぴたりと手を止めた。


「う~ん……。炊いてるときの香りはごはんそのもの」


「確かに」


美里も頷く。


漂ってくる白米独特の香り。


その匂いはよく知った香りだった。


智子と美里は炊飯器を見る。


しばらくすると炊飯器からメロディが鳴る。


白米が炊けた。


智子は炊飯器へ近づく。


そして、そっと蓋を開けた。


湯気が立ち上る。


「………おおおおお!!ごはんだ!」


智子は思わず声を上げる。


美里もすぐ横から覗き込んだ。


白く輝き立っている。


「まごうことなきごはんです」


美里も真顔で頷く。


智子は炊飯器の中を見つめながら、小さく口を開く。


「……ねぇ美里ちゃん」


「はい。智子さん」


「……まぁ、その未知の食べ物ではあるけれど、料理担当者の特権として……味……みんなの安全のために毒見しない?」


「確かに。みんなが安全に食べれるか。安全確認は大事ですよね。料理番として味見……毒見は大事です」


美里は真剣な顔で頷いた。


智子は棚を開ける。


「ここに梅干しがあります」


美里もすぐに取り出す。


「塩と海苔もあります」


2人は白穀を少量手に取り、おにぎりにしていく。


梅干し入り。

塩むすび。

海苔付き。


智子はおにぎりを見つめながら呟く。


「これは毒見」


「そう、これは毒見。味見ではないです」


2人は自分に言い聞かせて白穀おにぎりを食す。


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