01.白穀を持ち帰って
白穀を手に入れてホクホクの2人は、ほほえみデンタルへ戻ってきていた。
商会からの帰り道。
大和は大事そうに白穀の入った袋を抱えている。
見た目はどう見ても米だった。
「いやぁ~。でも見た目完全に米っスよねぇ」
大和は袋を抱えながら笑う。
あすかも隣を歩きながら頷いた。
「まぁねぇ……」
見た目は本当に米だった。
粒の形。
白さ。
大きさ。
どこからどう見ても米だった。
あすかは歩きながら小さく息を吐く。
「……でも、ヤンさん最後怖かったわねぇ」
「人格壊れるとか普通言わないっスよね」
「四肢爆散とかも言ってたしね」
「知的好奇心で人体実験しようとしてる人だったっス」
2人は同時に苦笑する。
しかし、白穀という情報を教えてくれたのもヤンだった。
「まぁ……とりあえず感謝は感謝ね」
「っスね」
そんな会話をしながら歩いていると、ほほえみデンタルの建物が見えてくる。
見慣れた建物。
診療所。
そして自宅。
大和は建物を見上げる。
「なんか安心するっスねぇ」
「あんた昨日まで絶望してなかった?」
「それはそれ、これはこれっス」
大和はあっさり答える。
あすかは入口の扉を開ける。
「ただいま戻りました~」
「戻ってきたッス」
受付の奥から声が返ってきた。
「おかえり2人とも」
志帆だった。
受付では、直樹とすずが作業をしていた。
診療室の方からは器具の音も聞こえる。
そのタイミングで、真人も診療室の方から顔を出した。
「おかえり~。お米らしいものは見つかったかい?」
その問いかけに、あすかと大和はにんまりと笑う。
そして、手に持っていた袋を掲げた。
「お米かどうかは分かんないですけど、似たようなものを手に入れました」
「白穀っていう西の国で栽培されている穀類らしいッス」
「はっこく?」
真人は不思議そうに首を傾げる。
「はい。見た目はお米にそっくりです」
あすかは袋の口を開けて見せる。
真人と志帆は袋を覗き込んだ。
真っ白に輝く粒。
「………たしかに米そっくり」
智子も横から袋の中を覗き込む。
「んじゃ、さっそく晩御飯の準備に取り掛かってみますか」
智子が袋を取り上げ笑う。
「まぁ、調理方法が同じかわからないですけど……。とりあえず炊いてみますね」
そう言うと、智子は袋を持って診療所の裏にある自宅へと向かう。
「智子さ~ん!おいしいのをお願いするっス」
智子は腕を上げて親指を立てる。
あすかと大和は、その後ろ姿を見送った。
(まぁ……)
(食べて無事なのかはわからないっスけど……)
2人は顔を見合わせる。
そして、同時に頷いた。
(死ぬときは全員一緒だ!!)




