07.白穀を求めて
白穀。
米に似ているかもしれない食べ物。
しかし、魔力を帯びているらしい。
自分たちが食べてもいいのかどうかもわからない。
「……………」
「……………」
あすかと大和は腕を組み、首を傾げたり、天井を見たりしていた。
(白穀………米なら食べたい)
あすかは腕を組んだまま考える。
(食べても問題ないなら食べてみたい……)
大和も真面目な顔で考え込む。
(魔力を宿した穀物かぁ……え、魔力があるわけのないただの日本人が食べて平気なのか?)
2人は同時に黙り込んだ。
ヤンとアンナは顔を見合わせる。
「………よっぽどコメが大事なんだね」
アンナが少し引いた顔で呟く。
ヤンは眼鏡を軽く押し上げた。
「………どうしますか?もし購入を検討しているのであれば、量は少ないですが、白穀を取り扱っている商会をご案内しますよ?」
その言葉を聞いた瞬間、あすかと大和は同時に正面を向いた。
「と……とりあえず、実物を見てみたいです」
「そ、そうっすね!!同じとは限らないっスから」
ヤンは短く頷く。
「では、その商会に行きましょうか」
「いってらっしゃ~い」
アンナは手を振って3人を見送る。
あすかと大和はアンナへお辞儀をして応接室を出た。
そのままヤンに案内され、商業ギルド本部をあとにする。
街の中を少し歩きながら、あすかは隣の大和を見る。
「ねぇ」
「なんスか?」
「もし本当に米っぽかったらどうする?」
「買うしかないっスよね」
「でも魔力穀物よ?」
「そこなんスよねぇ……」
2人は同時に悩ましそうな顔をする。
米に似たもの。
しかし、普通の食べ物ではない可能性が高い。
「副院長あたりに先に相談したほうがいいっスかね?」
「う~ん……でも現物見ないとなんとも……」
あすかは考え込みながら歩く。
ヤンはそんな2人の会話を聞きながらも、特に口を挟まず前を歩いていた。
しばらく歩くと、通りの一角にある商会へ到着する。
「こちらです」
ヤンに連れられてやってきた商会。
石造りのそれなりの大きさの建物だった。
入り口もしっかりしている。
看板も立派だ。
人の出入りもそれなりにある。
「ここに白穀が………」
あすかが建物を見上げながら呟く。
ヤンはそのまま商会の中へ入っていった。
あすかと大和も慌てて続く。
「すみません。ヤンですが、会長いますか?」
商会に足を運び、ヤンが中にいる職員へ声をかける。
職員はすぐに笑顔になった。
「ヤンさん。お久しぶりです。今呼んできますね」
そう言うと、そのまま奥へ消えていく。
その様子を見ながら、大和が小声で呟いた。
「あすかさん……ふっつ~~にアポなしで来ちゃましたけど……」
「それでだけ顔なじみなんでしょ?……多分」
ヤンの後ろで、2人はひそひそと話す。
言われるままについてきた。
けれど、よくよく考えればアポなしで来るのは失礼に当たるのでは?とも思う。
「大丈夫ですよ。ここの会長とは幼馴染なんで」
ヤンは振り返らずに答える。
(いやぁ……親しき中にも礼儀ありでは?)
2人は同時に思う。
「あいつも突然くるので……お互い様ですよ」
「あ、そうですか……」
「そういう感じなんですね……」
会長とヤンがそれでよいというなら、部外者であるあすかと大和は何も考えないことにした。
ここにきてから、なにも考えないようにすることが増えたなぁ……と思うあすかと大和であった。




