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ほほえみデンタルクリニック、異世界で開業しました  作者: ポン吉
第6章『ほほえみデンタル、日常と非日常』

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08.それは遊具じゃなかった

つむぎとすずとゆかの三人は、そのまま足を止めずに入口を抜け、外へと出る。


「うわ……風強い!!」


外に出た瞬間、つむぎの髪が大きく揺れる。

体ごと押されるような風の中で、思わず目を細める。


「うう………砂埃が……」


すずは顔をしかめながら腕で口元を覆う。

細かい砂が風に巻き上げられ、視界の端をかすめていく。


「ねぇ空を見て!!」


ゆかが空を見上げたまま声を上げ、指を差す。

その指の先を追うように、つむぎとすずも同時に顔を上げる。


「……あれは……」


つむぎの声が小さく漏れる。


「だ……大地先生~~~~~!!!」


すずがその場で声を張り上げる。

風に流されながらも、その声だけが真っ直ぐに響く。


その声に反応するように、中から足音が近づいてくる。

扉が開き、大地が外へ出てくる。


「どうしたの!?」


ゆかがそのまま空を指さしたまま言う。


「空に……空に大きな生き物が!!」


つむぎが目を細めたまま続ける。


「生き物っていうかドラゴン?」


大地がその言葉に反応する。


「なんでそんな冷静なの?」


つむぎは視線を外さずに答える。


「慌てても何も起きなくないですか?」


大地は一瞬だけ言葉を止め、そのまま小さく頷く。


「………うん」


苦笑いを浮かべたまま、再び空を見上げる。


その場にマリアとクレイも出てくる。

風に髪を揺らしながら、同じ方向を見上げる。


「あらあら大変」


マリアが穏やかに言う。


「ロックがなんで?」


クレイは目を凝らすようにして空を見る。


大地がその言葉に反応する。


「あのドラゴン……知っているんですか?」


クレイは頷く。


「うん。学校で飼育しているアースドラゴンのロックだよ」


ゆかが思わず声を出す。


「ドラゴンって飼育できるの?」


クレイは当然のように答える。


「1000年前からいます」


つむぎが小さく呟く。


「結構重鎮」


その会話の流れの中で、智子がゆっくりと口を開く。


「………もしかして、ドラゴンスライダーって……」


クレイは迷わず答える。


「うん。ロックの背中からしっぽを伝ってかっこよく着地する遊びだよ」


その説明を聞いた大地と智子の思考が一瞬止まる。


(遊具の名前じゃなくて本物のドラゴンのことだった!!)


上空ではアースドラゴンが大きく旋回しながら、ゆっくりと高度を下げていく。

その影が地面をなぞるように移動し、建物の上を覆っていく。


「……あの大きさが下りてきたらつぶれちゃいますね」


つむぎが淡々と口にする。


「すごく冷静に怖いこというね」


ゆかがすぐに返す。


クレイが前に出る。

風に向かって声を張る。


「ロック~~~!!ここは学校じゃないからそのサイズじゃだめだよ~!!!」


その声が届いたのか、上空のドラゴンの動きがわずかに変わる。

そのまま降下しながら、体の大きさが少しずつ縮んでいく。


高度が下がるにつれて、影の広がりも小さくなっていく。


やがて、ほほえみデンタルの前へ降り立つ頃には、最初とは比べものにならないほど小さな姿になっていた。


「……象さんくらいの大きさになりましたね」


すずがぽつりと呟く。


「……ちょうどいいサイズ……?」


ゆかがその言葉に疑問を返す。


クレイはそのまま駆け出す。


「ロックいい子!!」


ロックの前まで走り寄ると、そのまま立ち止まり見上げる。

ロックはゆっくりと頭を下げ、クレイの顔を覗き込む。


「あらあら……もしかしてクレイを心配して?」


マリアがその様子を見ながら言う。


「がうぅぅ……」


ロックが低く鳴く。


クレイがそのまま言葉を返す。


「ロック………。ごめんね!!心配かけて……もうあんな遊びしないから!!」


ロックがもう一度小さく鳴く。


「がうぅぅ」

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