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ほほえみデンタルクリニック、異世界で開業しました  作者: ポン吉
第5章『ほほえみデンタル、落ち着かない初日』

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06.歯はどうなっている?

「はい、お口の検査終わりました。うがいしてくださいね~」


アンナはゆっくりと体を起こし、差し出されたコップを受け取る。

口をゆすぐ音が小さく響き、吐き出してからもう一度ゆすぐ。

さきほどまで器具が入っていた感覚がまだ残っている。


「はいよ~」


智子は記録用紙へ視線を落とす。

数値はすでに並んでいる。

次にするべきは、これをどう伝えるかという段取りだった。


(さて……検査結果をどう説明するか……。相手は何も知らない人……歯周病なんて言ってもわからないだろうし)


アンナは口をゆすぎ終わって智子の方を見る。


「終わったよ」


真人がチェアの横へ回り込む。


「はい。アンナさんお疲れ様です。ここからは検査結果とパノラマの画像と諸々をもとに僕が診察しますね」


「お、インチョーの診察だね」


「起きたところ申し訳ないんですけど……もう一度チェアを倒しますね」


「はいよ」


チェアがゆっくりと倒れていく。

真人はライトの位置を調整し、アンナへ口を開けるように指示をする。

アンナは言われた通りに口を開ける。

真人はアンナの口の状態をチェックする。

歯の表面、歯と歯の間、歯ぐきの縁、順に視線を動かす。


(………う~ん……虫歯はあるようだけど……さっきパノラマ見たときには深いところまではいってなさそうだったし……それよりも歯石が多いなぁ……。スケーリングをお願いするか……でも時間が……。う~ん……とりあえず今日は下顎の2ブロックだけスケーリングをお願いしようかな。いきなり全顎はびっくりしちゃうだろうし……歯石っていうものを説明させて、ブラッシング指導をダメもとでお願いしてみようかな)


口腔内を一通り確認し、真人はライトを外す。


「はい。いいですよ~。起きたらまたうがいしてくださいね」


「よくうがいするね」


「気持ち悪いでしょ?」


「まぁ、何回も指を突っ込まれてるから……」


真人は手袋を軽く持ち上げる。


「直接はしてないですよ??一応この手袋してるので直には触ってないですから」


アンナは手袋へ視線を向ける。


「………そういや白いのしているね」


真人はモニターの前へ移動し、画面を切り替える。


「さて……アンナさん。お口の中の状態ですが、まぁ比較的お口の中は綺麗です。……が、若干虫歯がありますが今すぐ治療が必要っていうほどではないです。まぁ、普段のお口のお掃除をきちんとして、当院に来ていただいて、プロのお掃除を受けていただいて様子を見ていきましょう。さすが商業ギルドの副ギルドマスターですね。とはいえ、歯と歯の間とか……うまくお掃除ができていないところには汚れが固まっているので少しずつとっていきましょうね?」


アンナは画面と真人の顔を交互に見る。


「へぇ……わかったよ」


真人はパノラマ画像を拡大し、モニター上に赤線を引く。


「さて、これがアンナさんのパノラマなんですが……この、今赤線を引いたところ……。これが歯を支えている……土台なんですが………これが弱ってくると歯を支えられなくって抜けちゃいます。でも、アンナさんは割としっかりしているので今すぐどうにかしないといけないっていうことではないです。……ただし、この状態をこれ以上進行させないためにも今日は少し歯石……えっと…歯にくっついたカチコチの石を取りましょう」


アンナは腕を組まずに、画面を見続ける。


「放置するとどうなるんだい?」


真人は視線をアンナへ戻す。


「……いろんな病気を引き起こしたりします」


アンナの声が跳ねる。


「え?!」


「なので、お口の中をきれいにしてこれ以上進行しないようにしましょうね?」


「……わかった」


智子が横へ進み出る。


「お掃除はお任せください」


真人はカルテを確認しながら指示を出す。


「智子さん、歯石を見せて説明して……とりあえず今日は右下6から左下3までスケーリングして。最後にブラッシング指導して」


「はいわかりました」


アンナはチェアの上で姿勢を整える。


「よろしくね」


智子は鏡を差し出す。


「鏡持ってください。チェア倒しますね~」


智子はチェアを倒す。

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