↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほほえみデンタルクリニック、異世界で開業しました  作者: ポン吉
第16章『ほほえみデンタル、訪問診療はじめました』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
130/132

01.訪問診療は腹ごしらえから

「大地先生、あすかさん。今日から訪問診療スタートだからね。たくさん食べていきなさい」


智子は食卓にたくさんの料理を並べる。

今日はいよいよ、大地とあすかが異世界で初めての訪問診療へ向かう日だった。

前日に智子が話していたとおり、朝から食卓には料理の皿が次々と並んでいく。

その量に、大地とあすかは思わず目を向けた。


「からあげ、レバニラ、あとは豚汁……」


美里が並べられた料理を見ながら、順番に名前を挙げる。

他にも野菜を炒めたものなど色々並べられていた。

どれも食欲をそそる料理だが、からあげにレバニラ、豚汁と、朝からなかなかの品ぞろえである。

大地は食卓を見渡し、顔をほころばせた。


「わぁ……ありがとうございます」


「いや、バランスよ」


あすかは目の前に並べられた料理を見ながら言った。

これから訪問診療に出かける二人のために用意してくれたのは分かる。

分かるのだが、まず目に飛び込んでくるのは、しっかりとしたおかずの数々だった。

その横では、すでに食事を始めている者たちがいた。


「おいしいですよ」


「今日も絶品です」


すでに食べ始めているつむぎとしおり。

二人とも料理を口へ運びながら、それぞれ感想を口にしている。

智子はそんな二人へ視線を向けた。


「あんたたちは……」


大地は苦笑しながら、改めて目の前の料理に向き直る。


「あはは……。とりあえず、いただきます」


「はい。いただきます」


大地とあすかは席につき、食べ始める。

大地は料理を口へ運び、ゆっくりと噛んだ。

食べ始めれば、並んでいる料理の多さよりも、その味に意識が向いてしまう。


「ん~~……うまい」


あすかもからあげをひと口食べる。

口の中に広がる味を確かめると、思わず声が漏れた。


「からあげじゅ~~し~~~」


その反応を見て、美里も口を開いた。


「診療するからさすがにニンニクはつかってないですけどね」


美里が残念そうにつぶやく。

これから患者と向き合う二人のために、ニンニクは使わなかったらしい。

大地はそんな美里を見ながら笑った。


「あはは……まあ、少量程度なら」


「いやいや。レバニラ……」


あすかの目は、からあげの隣に並ぶレバニラへ向いていた。

ニンニクを控えたのは分かるが、気になる料理がもう一つある。

それに対して美里は、短く答えた。


「つい」


「ついって……。智子さんも何で止めないの?」


あすかは智子を見る。

智子はレバニラについて、食べてみた感想を伝えた。


「いや、意外にもレバーの臭みもなければ、ニラ特有の匂いもないのよ。やっぱ似てるってだけで完全にべつものなのかしらね?」


智子の言葉を受けてあすかが恐る恐るレバニラに箸を伸ばす。

確かに見た目はレバニラでも、使われているものは日本で食べていたものとまったく同じとは限らない。

それでも、これから診療に向かう身としては少々気になるところだった。


「大丈夫。絶品です」


「うん。いつもどおりおいしい」


つむぎとしおりが、そろって料理の味を保証する。

だが、あすかが気にしているのは、味そのものではない。


「絶品なのはわかってるわよ!!いつも美味しいんだから!!でも、それとこれとは別でしょ!!」


「味の保証されてても、においの保証が……」


大地もあすかの言葉に続いた。

そう言いながら、箸は止まっていない。

直樹はそんな大地の様子を見て、静かに口を開いた。


「そう言いながらも先ほどから、レバニラをたくさん食べているようですが……」


直樹が大地の行動を指摘する。

大地は自分の箸と皿へ目を落とし、それから笑って答えた。


「まぁ、腹が減っては戦はできぬといいますから」


あすかは大地を睨む。

そして、レバニラを一口食べる。

口に入れてみれば、智子が言っていたことが少し分かった。

気になっていた匂いは、思っていたほど強くない。


「……おいしい……。……あんまり匂いも気にならない??」


美里が得意げに言う。


「でしょ?」


あすかはレバニラを見つめ直した。

味がいいことは最初から疑っていなかったが、気になっていた匂いまで違うのは予想外だった。

そのやり取りを聞いていた志帆が、別のものを勧める。


「一応りんごもあるから……食後のデザートに」


「あ、丸一個もらってもいいですか?」


「切らんくていいの?」


「はい。丸かじりします」


「わたしは切りたいです」


「はいよ。2人はゆっくり食べ。あとはやっとくから」


そう言って志帆はりんごを切る。

大地とあすかは、それぞれ食事を続けながら、食後のりんごにも目を向けた。

同じりんごでも、二人の考えていることは少し違っていた。


(とりあえず、口臭ケアしないとな)


あすかがそう考えている一方で、大地は別のことを思い浮かべていた。


(う~ん。焼きりんごが久々に食べたいな。でも材料ないし……う~ん困った困った)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。