08.レセプト、送信完了
お昼休み。
真人は院長室でレセプトの点検をしていた。
先ほど直樹からオンライン請求ができそうだと聞いた時は、さすがに驚いた。
これまで請求そのものができるのか分からなかっただけに、確認試験まで問題なく進められたという話は大きかった。
(送れるならさっさと送りたいしね。そうすればサムさんのところに早く行けるし)
真人はおにぎりを片手に、レセプトを1枚1枚チェックしていく。
先に確認していた内容と照らし合わせながら、病名や処置内容、摘要などを順番に見ていく。
紙をめくりながら、おにぎりをひと口食べる。
そのまま次のレセプトへ視線を移した。
(うん。特に問題ないねこのまま送れそうだな)
赤ペンを置き、最後のおにぎりを口へ運ぶ。
しっかり飲み込んでから、確認を終えたレセプトの束を整えた。
(診療終わりにやってみるかな)
真人は笑って頷く。
その後、午後の診療も進み、やがて診療時間が終わった。
周りではスタッフたちが後片付けを始めている。
使った器具を片付け、診療室を整えていく中、真人は直樹が作成したレセプトデータを受け取った。
そのままパソコンの前に座る。
真人の後ろには直樹と志帆が控えていた。
「USBをとりあえずそこにさしていただいて」
真人は直樹に言われた場所を確認する。
USBを差し込み、そのまま言われるがまま操作を進める。
「じゃぁ、オンライン請求・異世界を開いてください」
真人はデスクトップに表示されているアイコンを見る。
そこには確かに『オンライン請求・異世界』と書かれていた。
「ほんまにできるんやね」
志帆も後ろから画面を見る。
真人もほぉ~っと感心しながらアイコンをクリックした。
画面が切り替わり、オンライン請求の画面が開く。
「じゃぁ、請求ボタン押すよ」
直樹が画面を確認する。
「ログインIDはこちらを」
真人は渡された内容を見て、手を止めた。
「……00???確か最初の2桁って県番号だよね?東京都なら13だけど……00?」
直樹も表示されているIDを見る。
「先ほどの試しの時にも思いましたが、異世界なのでそうなんだなって飲み込むことにしました」
真人はその言葉に頷く。
異世界でオンライン請求ができる時点で、今さら県番号について考えても仕方がない。
真人は表示されたIDをそのまま打ち込んでいく。
次はパスワードだった。
先ほどの確認試験の時に直樹が初期パスワードから変更している。
直樹は真人の耳元へ顔を寄せ、変更したパスワードを伝える。
真人は聞いた内容をそのまま入力した。
「パスワードは変更しましたが、オンライン請求の画面でパスワード変更が可能なので、変更したかったら変更してください」
「わかったよ。……まぁ、このままでもいいかな。どうせ半年後にはまた変えないといけないし」
志帆も画面を見ながら答える。
「ま、それもそうやね」
「お任せします」
直樹の返事を聞き、真人は再び画面へ視線を戻した。
「さて、続き続き」
直樹は画面を見ながら真人に次の操作を促す。
真人も表示されている内容を確認しながら、一つずつ確実に操作を進めていった。
確認試験の時に直樹が操作しているため、流れについては横から説明を受ける。
真人は指示された項目を選択し、レセプトデータを読み込ませていく。
画面が切り替わるたびに内容を確認する。
送信するデータ。
表示されている件数。
次へ進むためのボタン。
真人はひとつずつ確認してから操作を続けた。
やがて最後の画面まで進む。
真人はマウスを止めたまま、表示されている内容を見る。
「……この確定を押したら完了だね?」
直樹が頷く。
「はい」
真人は確定ボタンへカーソルを合わせる。
「押すよ?」
志帆が後ろから真人を見る。
「はよ押せ」
「はい……」
真人は確定ボタンを押した。
画面が切り替わる。
真人、志帆、直樹の3人がその画面を見る。
レセプトデータの横に『請求確定』の文字が表示されていた。
直樹が画面を確認する。
「お疲れ様でした。これで完了です」
真人は画面を見たまま笑顔になる。
「やった~~~。思ったよりも簡単じゃん!」
「慣れれば楽ですよ」
真人はオンライン請求サイトからログアウトする。
画面が閉じたのを確認し、少し体を引いた。
「もう終わったのでついでにパソコンの電源を切っておいてください」
「は~い」
真人はそのままパソコンの電源を切る。
画面が暗くなったのを確認して、椅子から立ち上がった。
「レセプト請求完了しました!とりあえず、なんとかなったかな」
いつもご来院ありがとうございます。
ほほえみデンタルクリニックです。
【次回診療予定】
次回の診療は10月13日(火)17時を予定しております。




