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ほほえみデンタルクリニック、異世界で開業しました  作者: ポン吉
第12章『ほほえみデンタル、広がる仕事と尽きない課題』

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09.女性陣、重大会議

1日を終えて男性陣が寝静まったあと、志帆をはじめとした女性陣がリビングに集まっていた。

志帆、智子、あすか、陽菜、美里、しおり、ゆか、すず、つむぎ。

全員がリビングに揃っている。

集まるきっかけを作ったゆかは、いつもとは違う真剣な顔で座っていた。

志帆はゆかの様子を見ながら口を開く。


「……ゆかちゃん……大事な話って何?」


「あの、とても大事なことに今日気づいたんです」


「大事なこと?」


「はい」


ゆかはとても深刻な顔で周りを見る。

志帆も何事かという顔をする。

他のみんなも、ゆかが何を言い出すのか待っていた。

ゆかは一度深呼吸をする。

そして、周りを見渡してからつぶやいた。


「あの、生理の時どうしますか?」


ゆかの発言に全員の時が止まる。

誰もすぐには言葉を返さなかった。

しばらくして、あすかが口を開く。


「そういえば」


「まだ時期じゃないからと思ってすっかり忘れてた」


陽菜も思い出したように言う。

異世界へ来てから、生活を整えることや歯科医院を開業することで頭がいっぱいだった。

今まで使っていたものが何でも手に入るわけではない。

だが、生理用品については誰も話題に出していなかった。

つむぎが少し手を上げる。


「あの、あたし周期的にはそろそろです」


「わたしもです……」


すずが恐る恐る手を上げて言う。

志帆は2人を見てから、ゆっくりと言葉を返す。


「……そ……れは……どうしよう」


「……ナプキンなんてないだろうし……」


智子も考え込む。


「……ものすごい死活問題……」


しおりが小さくつぶやいた。

今ある分だけで済む話ではない。

これからもこの世界で生活を続けるなら、毎月必要になる。


「う~~ん……とりあえずつむぎちゃんとすずちゃんの生理問題はあたしの買い置きがあるからそれでなんとかなるとしても今後よな」


志帆の言葉につむぎとすずはホッとする。

とりあえず、すぐに困ることは避けられそうだった。

そして他の人は大きく頷く。


「これ、初日に気付くべきでしたね」


智子が言う。


「いやぁ……予定日に生理来なかった時点で気づくべきでした。多分きっとここに来たストレスかなんかで周期がずれちゃったんですよね」


ゆかはそう言いながら、自分の予定を思い返す。

あすかがゆかを見る。


「ゆかちゃんも?……実はあたしも」


「盲点やったな……」


志帆は腕を組む。


「てんやわんやでそれどころじゃなかったですしね」


智子も頷いた。

異世界へ来て、状況を理解するところから始まった。

生活する場所。

食べ物。

歯科医院。

診療。

患者。

考えなければならないことが次々に出てきた。

その中で、生理用品のことまで考える余裕がなかった。

志帆は集まっている女性陣を見る。


「………生理重たい子は?」


一瞬、みんなの視線が動く。

美里が少し手を上げる。


「あの……実はわたし、生理来ると吐いちゃうんです」


美里がどんよりとした顔で言う。

志帆は美里を見る。


「結構重いな……」


「あたしは比較的軽いけど……たま~~~にえげつないほど重いときもある」


あすかも自分の状態を伝える。

毎回同じとは限らない。

仕事ができる程度で済むこともあれば、そうではない時もある。


「生理になってしんどくなった場合は、仕事は休めばいいとして……」


志帆はそこで言葉を止める。


「いやそれでもナプキン……」


智子が問題を元へ戻す。

休めば体調については何とかなる。

だが、生理そのものがなくなるわけではない。

必要なものがないという問題は残ったままだった。


「ナプキンもですけど、最初に届いた個人宛ての荷物の中に生理用のショーツなかったですよね……」


しおりの言葉に、その場にいた全員が止まる。

ナプキンだけではなかった。

生理用のショーツも必要になる。

届いた荷物の中に、それが入っていた記憶はない。


「あ~~~~~~~」


全員の声がリビングに重なる。

ナプキン。

生理用のショーツ。

毎月必要になるもの。

誰か1人だけの問題ではない。

女性陣全員に関係する問題だった。

今すぐ困らない人も、いずれ必要になる。

志帆たちはリビングに集まったまま、それぞれ考え込んでいた。


その頃、真人は2階から下りてきていた。

喉が渇き、水を飲もうとリビングへ向かっていた。

だが、リビングへ入る前に、中から聞こえてきた会話が耳に入る。

真人の足が止まった。


(ど、どうしよう。喉乾いたから水を飲みに来たんだけど……。今ここで入っていったらダメだよね。みんな気まずくなるよね。……ベッドに戻って寝よ)


真人はその場で静かに向きを変えた。

足音を立てないように、そっと2階へ戻っていく。

水を飲むことは諦めた。

リビングでは女性陣による相談が続いていた。


いつもご来院ありがとうございます。

ほほえみデンタルクリニックです。


【次回診療予定】

次回の診療は9月8日(火)17時を予定しております。

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