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ほほえみデンタルクリニック、異世界で開業しました  作者: ポン吉
第12章『ほほえみデンタル、広がる仕事と尽きない課題』

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02.商会長、タコ焼きを知る

志帆はリビングのテーブルにタコ焼き機を置くと、手際よくタコ焼きのタネを作り始めた。

ボウルに材料を入れ、だまが残らないように混ぜていく。

その横では、残っていたタコを取り出し、タコ焼きの中に入るよう小さくカットしていく。

必要な材料も次々にテーブルの上へ並べられた。

紅ショウガ。

天かす。

ネギ。

どれもすぐに使える状態になっている。

智子は並べられた材料を見た。


(……紅ショウガと天かすが大量にあるなぁ……とは思ってたけど)


冷蔵庫や棚を確認した時から、なぜか紅ショウガと天かすだけは量が多かった。

ほかの食材が減っている中でも、そこだけ妙に充実していた。

美里も志帆の手元を見ながら考える。


(志帆先生の買い置きだったのか……)


志帆は材料の場所に迷うこともなく、必要なものを取り出している。

どこに何があるのかも把握していた。

智子は今日買ってきたネギを見る。


(まぁ、ネギも今日買って来てたからいいけど……。買ってなかったらどうしたんだろう)


志帆はタコ焼き機の準備を終えると、タネの入ったボウルを手元へ寄せた。


「さて、作っていくよ~」


志帆の掛け声とともに、タコ焼き作りが始まった。

タコ焼き機のくぼみにタネを流し入れ、タコを一つずつ入れていく。

その上から紅ショウガや天かす、ネギを加えていく。

志帆の手は止まらない。

つむぎはその動きを横から見ていた。


「手慣れてますね」


「一家に一台タコ焼き機は常識やろ」


「いや、別に?」


志帆の手が一瞬だけ止まった。

つむぎは何もおかしなことを言っていない顔で、タコ焼き機を見ている。


「え?ほんまに日本人?」


「タコ焼き機がないくらいで非国民扱いしないでください」


「冗談冗談」


志帆は笑いながら、再びタコ焼きを作り始めた。

焼けてきた部分を確認しながら、竹串で端を整えていく。

タネが固まり始めると、少しずつ形を丸くしていった。

ルイはテーブルの上に置かれたタコ焼き機を見ている。

唐揚げ。

煮物。

酢の物。

それまでに食べたものとは、作り方から違っていた。

志帆は慣れた手つきでタコ焼きを返していく。

半分だけ固まった生地を回し、はみ出した部分も中へ押し込む。

丸い形が少しずつ整っていった。


「ほぉ……タコが中に隠れている料理ですか」


ルイは丸くなっていくタコ焼きを見ながら言った。

外からはタコが見えない。

中に入れて焼く料理だということは、作るところを見て初めてわかる。

ゆかも志帆の手元を見ていたが、ふとタコ焼き機へ視線を落とした。


「……志帆先生……。ところで、なぜタコ焼き機が?」


「みんなでタコパするため」


「なるほど」


ゆかはすぐに納得した。

その横から、あすかが口を挟む。


「頻度は?」


「週1?」


「多いです!」


智子がすぐに声を上げた。

週に一度もタコ焼きパーティーをする予定だったとは聞いていない。


「タコパ楽しいで?」


志帆は当然のように答えながら、タコ焼きを返していく。

丸くなったタコ焼きが、鉄板の上で並んでいく。

大地はそのやり取りを少し離れたところから見ていた。


(……真人先生はみんなでBBQ。志帆先生はみんなでタコパ……似たもの夫婦)


真人はみんなで集まって食べることが好きだった。

志帆も同じように、みんなでタコ焼きを作るつもりでタコ焼き機を用意していた。

大地はにこにことしながら、焼き上がっていくタコ焼きを見ている。

志帆は全体の焼き加減を確認し、きれいに丸くなったものから皿へ移していった。


「へい!タコ焼きおまち!!青のりとかは好きにかけてや!」


志帆がタコ焼きを皿にのせて差し出した。

焼き上がったばかりのタコ焼きから湯気が上がっている。

志帆は皿を置くと、すぐに次のタコ焼きを焼き始めた。

空いたくぼみに新しいタネを流し入れ、タコを入れていく。

智子は出来上がったタコ焼きの皿を引き寄せた。


「じゃぁ、仕上げはわたしが……」


智子はタコ焼きの上にソースをかける。

続けて青のりを振りかけ、最後に鰹節をのせた。

熱で鰹節が動いている。

智子はルイ用にタコ焼きを小皿へ取り分けた。


「中は熱いので気を付けてください」


「ありがとう」


ルイは差し出された小皿を受け取った。

その隣では、つむぎがすでにタコ焼きを口へ運んでいた。

一口で食べようとした直後、つむぎの顔が動く。


「あっつ~~~~い」


「言ったそばから……」


智子は呆れて首を振った。

つむぎは口を動かしながら、熱さを逃がそうとしている。

それでも、タコ焼きを口から出すことはなかった。


「でも、おいしいです!」


つむぎは熱そうにしながらも、しっかりと噛んでいる。

外側は焼けているが、中はまだ熱い。

その中に、小さく切ったタコが入っていた。

真人たちもタコ焼きに手を伸ばし、食べ始める。

ソースと青のりのかかったタコ焼きを小皿に取り、熱さを確かめながら口へ運んでいく。

真人は一つ食べると、焼き続けている志帆へ顔を向けた。


「志帆さんおいしいよ」


「当たり前や!」


志帆はタコ焼きを返しながら答えた。

手は止めず、次の分を丸く整えていく。

ルイも小皿に取り分けられたタコ焼きを口へ運んだ。

智子に言われた通り、少しずつ食べる。

焼けた生地の中に、タコが入っている。

唐揚げとも煮物とも酢の物とも違う。

ルイは口の中のタコ焼きを飲み込み、小皿に残ったものを見る。


「……おいしい……。このタコ焼き、いいですね」


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