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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
3章 封印とダンジョン
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16話 決勝で会おう

「試合開始!!」

 相変わらずフードを深く被った少年が一回戦を迎える。向かい合う相手は火国の騎士である。

「子供とて、手は抜かないぞ!」

 

グー「いいよ、お兄さん本気で来て!」

 グーが両手を合わせ、パチッと音を鳴らすとグーの周りに子供のグーと同じ程度の大きさのゴーレムが生まれ取り囲む。

 

「っっ…(サイズは全然違うがこれは、火の中長に酷似し過ぎていないか)」

 火の騎士はゴーレムに刃を振る。

 

 そして飛び散った、ゴーレムの首が…否、騎士の剣の破片である。その剣は火国の城下町で一番の鍛冶屋で特注した物だ。そんな剣が小さなゴーレム一体に無惨にも破壊される。

 

 この空間内でも戦いの後に武器は元に戻らない、生涯の相棒を思わぬ所で失った瞬間だった。

「すまない。いままでありがとう。大会などではなく、本気の戦いで眠らせてやりたかった」

 

 男はすぐさま炎の剣を生成する。

グー「あっ、能力使えないんだった。どうしようかな」

 ゴーレム達は全くうごかず、ただの…いや、硬度が尋常じゃない置物となっている。

 

 男がゴーレムを飛び越え、グーの首を捉えた瞬間に、寸前飛び越えたゴーレムの一体が動きはじめ、剣を振りながら落下する男の両足を掴むと同時に地面に叩きつける。

「なんだと…」

 

グー「今のでやられないなんて結構強いね、お兄さん」

「無念」

 男の頭をもう一体のゴーレムが踏みつけ、試合の幕は閉じる。


グー「早くマスターか勇者達とやりたいなぁ」

 敗北し相棒を失った火の騎士は声を抑え泣いていた。


――――――

リク「あとはマナが突破すれば、二回戦も全員突破だな」

ルカ「頑張れ!」


「試合開始!!」

 そう叫ぶ土マスターの声が枯れてくる。


「ぐへっ、可愛い嬢ちゃんじゃねぇか」

 その男の髪は全くといっていいほど整えられておらず、酷い有様である。海藻に失礼だがマナはその男の髪を本で見た海藻に見立てた。そしてその男は手元のナイフを舐め自身でダメージを受ける。ナイフの刃の部分はボロボロで欠け散らかしていた。

 

「合法で人を斬れるとは、最高じゃねぇか!毎日でもしてくれよ、あぁん?」

マナ「(怖い)」

 マナの感知は全てグーに引っ張られて、目の前の男の悪意は読み取ることは叶わないが感知に頼らなくても目の前の人間の狂気性が感じ取れた。


 視界から男が消える。マナは前後左右を確認するが確認できない。

 男は空間の天井に張り付いていた。そして無音でマナの頭上から落下する。

 マナがそれに気づいた時にはもう遅かった。肩と胸にボロボロのナイフが刺さる。

 

――――――

マナ「……。何にも反応できなかった」

ルカ「戦い方法を勉強をはじめてばっかりなのにマナはよく成長してるよ」

マナ「でも、こんな力じゃ皆の事を守れない」

ルカ「じゃあ、私と一緒に試合を見て学ぼうよ」

 マナは単騎での敗北を胸に刻み込んだ。試合がない人が代わる代わるマナの隣に座っていた。

 

――――――

 残り32名 第四回戦開始

 この辺りから、まぐれで勝利した者などはいなくなり一層戦いのレベルが上がる。

ハル「(ここで勝てばナギと戦える。気合い入れなきゃだよね)」


ナギ「(次の試合に繋げるためにもこの戦いに集中しなきゃだな)」

 予選トーナメント準決勝前半に、ハルとナギの出番があり後半にリクとルカの出番である。


「試合開始!!」

 ハルの相手は、ここまでの試合で一撃も攻撃を喰らっていない水魔法の使い手だった。武器は持っておらずルカと似た戦闘方法の男性だった。

 

「だりぃな、お前もここまで快勝だろ、しかも氷属性かよ だりぃな」

 と言いながら顎を突き出しながらハルをじっとりと見つめる。

ハル「(こっちの動きを伺う構えか。気だるそうにしてるけどこっちの属性はしっかりバレてる)」

 一向に動き出さない対戦相手に痺れを切らしたハルが飛び出す。

 

「だりぃ速さではねぇな」

 男性は片手を上げ、ハルに指を指す。それと同時に腕の周りに水の銃弾を生成しハルに放つ。

ハル 「速い… 」

 

 ハルは全速力で駆けて弾を躱していっているが、全く近づけず壁側まで逃げるよう誘導させられてるのに気づきながらも動きは止められない。

ハル「アイスター・プリック バック」

 

 ハルは被弾を覚悟で、氷を纏った剣を後方に伸ばしながら後ろ向きで対戦相手に近づく。さらに鼻歌で守戦律を奏で防御力を高める。この接近方法を可能にするのは風城で貰った、後方からの魔法に耐性があるマントのお陰である。

「だりぃな、全然ひるまねぇじゃねぇかよ!」

 

 男は攻撃方法を変え、両手をハルに向ける。掌からは小型の大砲の様に水魔法を飛ばす。その弾はハルの横をすり抜けたと同時に方向転換しハルの腹と顔を狙う。

 

ハル「(狙い通りだ!)」

 

 ハルが思い切り前後方向転換し、マントが大砲の弾の方向へと靡く。マントが大砲から身を防いでくれるがハルにもダメージが多少入り軌道力を少し落とす。

 相手もそれを見るなり、左手から銃弾を連射し右手は引き続き大砲を撃ち続ける。ハルの剣が届くまであと10歩である。

 

 ハルは氷を纏った剣で銃弾を何とかしのぎながら近づく。

「銃弾雨【バレットレイン】」

 

 左手を上に向け銃を天井に発射し、一度速度を失った水の銃弾は魔法操作で再び下方向へ速度を与えられ雨と化する。

ハル「ナギ戦で初見にさせるつもりだったけど、ここで勝たなきゃ意味無い!岩盾剣」

 

 剣に岩を纏い、頭上に掲げ銃弾の雨を防ぐ。

「それじゃあ、打点がなくなるぞ!!」

 右手の大砲を威力を上げるため少しチャージしながらハルへ向けて、男は笑う。

ハル「(親友の技は僕が一番見てきたんだ。攻強曲と)列氷脚」

 ハルは足に氷を纏って、男の腹を横から蹴る。

 

「だ、だりぃな」

 ハルの蹴りはリクの列華脚を模倣した技であった。リクのような力強さと速さとキレはまだ無いが、形だけなら様になっていた。

 男もここまで勝ち抜いてきた実力があり、ハルの初めて実践で使った蹴りでは倒しきれない。

 

ハル「(どうしよう、いや降る雨より素早く、迫る大砲より素早く)」

 男は体勢崩しながらも、右手の水大砲を発射し左手でハルに向かって銃弾を放つ。その2段攻撃に未だ降り注ぐ銃弾雨も加え実質3段攻撃である。銃弾は岩を纏った剣で防ぐが、放たれる大砲と銃弾を防ぐ術はないと男は考えていた。しかしハルは掲げた岩の剣を下ろすと同時に一番先にハルに直撃する銃弾を防ぎつつ、後続の大砲を躱し、剣を振る。

 

ハル「(対抗閃斬!)」

 ハルが男に深い一撃を当てたと同時に、銃弾雨がハルに降り注ぐ。

 そして試合の幕は閉じる。


リク「一瞬だったけどどっち勝った?」

ルカ「んーと、先にハルの剣が当たって、その時に空間が縮み初めて、ハルにあの銃弾が当たったみたい」

 ルカは今の一瞬を思い出すように考えこみ、勝敗の行方を告げる。

リク「よく今のちゃんと見えたね、まぁじゃあ!」

 その試合は間一髪でハルの勝利となった。


ハル「ギリギリ勝てた」

リク「お疲れ様!岩の剣使えるようになってたとはな、それにあの蹴り、俺の列華脚じゃん!言ってくれれば教えたのに」

ハル「驚かしたくてさ、ナギの方はどう?」

 ルカがハルの後ろから近づいてくるナギとマナを指さす。

ナギ「次の試合楽しみだな!」

ハル「よし!これで一緒に戦えるな」


リク「さてさて、俺たちも予選の決勝出場決めてきますか!」

ルカ「うん!行こう」

 その後リクは土魔法に、ルカは炎魔法に苦戦を強いられながらも何とか決勝に駒を進めた。


――――――

 残り16名 第5回戦試合開始

 ハルとナギは同じ空間で、リクとルカもそれぞれのグループの決勝を行っていた。マナは、ハル対ナギの戦いを観戦していた。

 これに勝利すれば決勝トーナメントへと進める流れである。


ナギ「楽しくなってきたな」

ハル「あぁ。紋章がないからって手加減しないからね」

ナギ「紋章無しに負けてもしょげるなよ!」

 ナギとハルは同時に飛び出す!


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