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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
3章 封印とダンジョン
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15話 あの日からの成長

――――――

リク「俺だけ昨日のウォーミングアップしてないからなぁ」

 リクは柱の上に立ちこっちを見ているリリスを見つめる。

「おいおい兄ちゃんよォ、俺より柱の上の姫ちゃんかよォ、ムカつくな。俺様の水魔法でぶちのめしてやるよ」


土マスター「試合開始!!」


リク「武器はバット、属性は水か」

「な、なんで俺の属性がバレてる!?さては特技持ちだな」

リク「オマケに頭が悪い…か(空間が一度閉じれば試合前の状態に戻るんなら、毎回トップスピードを出せるってことか)」

 リクは火も雷も纏わず、スキンヘッドの男に近づく。

 

「なんてな笑」

 男の大ぶりのバットを少し呆れた笑いで躱すリクの後ろから水のバットが襲う。男は尾てい骨から水魔法でバットを生やし、一回転で二回攻撃する。

 

「馬鹿なフリだよォ」

 リクは正直、男の目的もその際の奇襲の手も全く読めていなかった。しかし、背後から殴りつけられるそのバットを反射神経だけで屈んで回避して水のバットが通り過ぎた瞬間に両手を地面につき真上に蹴り上げる。

 顎に蹴りがクリーンヒットした男に、体勢を立て直したリクが重い横蹴りを肋骨へいれて試合の幕はあっという間に閉じる。


――――――

ハル「相手は女性か…、少し気が引けるな」

「あら、坊や優しくしてくれていいのよ♪」


土マスター「試合開始」


「あら、来ないの?私積極的な男が好きなのに、萎えちゃうわ」

 そう呟くと、女の爪から延長して岩が生える。十本の岩爪を光らせながらハルへと走りよる。

 

ハル「岩魔法の参考にするまでも無さそうだ」

「あら、そういう生意気でイジワルな人はすきよっっ」

 ハルの目と頬を目掛け、女は左手を伸ばす。

 

ハル「対抗斬」

 迫り来る爪を完全に見きった。岩の爪が変形して来ることも想定し咄嗟に氷魔法で守る準備も出来ていた。

 人間相手でも躊躇なく戦闘モードに入れたのは、事前に『仮想』を試せたことや、日々の組手が大きい。


 攻撃を外しその勢いで体勢を崩した女性を一太刀で切り伏せてみせた。

 

「そんな一撃で…」

 ハルは余裕で速攻その試合の幕を閉じる。


――――――

 速攻といえばこの双剣士である。

「この老人に情けはかけてくれぬか?」

 

ナギ「(本気で優勝したい気はないが、ハルと戦う約束したしな)申し訳ない。無理だ」

 

「老人に優しくしなければ、しなければ 呪われるぞぉぉぉぉ」

 老人は口から火を吹き、ナギに飛ばしてくる。ナギは直線的に飛ぶ火の玉を躱しながら接近する。

 

「ひぇっしぇっしぇっ ( かかったのう)」

 ナギが躱したはずの火の玉がナギのすぐ後ろで爆散する。4つに分裂した火の玉を火種に、続けて老人は火魔法を使用する。分裂した火の玉はそれぞれ元の5倍程の大きさとなりナギを後ろから追随する。

 

 ナギは燃える事で発生する熱波と空気の流れでその様子を背で把握する。

ナギ「風舞姫」

ナギ「空竜」

 ナギが風を纏うという行為事態はいつもと変わらないが圧倒的に今までの違うのは双剣を鞘に入れたままという事である。 ナギの背後から前方へ4本後方へ2本細い竜巻が放たれる。

 

 前方に放たれた竜巻のチューブが老人の四肢に蛇のように纏わり付き動きを止める。後方へ伸びる竜巻は追ってくる火の玉を飲み込む。

「(斬られる!)」

 

 ナギは依然として風丸と雷丸を抜く事はなく、両手を動かして竜巻を操る。そして後方で火を飲み込んだ2本の竜巻を合体させ老人に直撃させる。

 剣をしまっていたのは両手でしっかりと魔法を操るためだった。新たな戦闘方法を模索しながらもとりあえずは戦いの幕が閉じる


――――――

「お手柔らかにお願いします」

 その女性は右足を下げ左手で手刀を作りながら構える。その短い丈のズボンから見える脚は武術を鍛えし者独特の筋肉の付き方をしていた。

 

ルカ「こちらこそ」

 ルカはまず相手を見極める。

「本気できてくださいまし!」

 

 女性は足に風を纏いルカに急接近し手刀をルカの首元目掛けて伸ばす。その速い手刀を身を引いて躱そうとするルカに直撃する一寸前にルカの首の前を水の矢が高速で横切り手刀の軌道をずらす、だけでは足りず女性の真横から多数の矢が放たれ乱れ打ちにする。

 ルカに一瞬でも準備の時間を与えてはならない。そう女性は後悔しながらも幕は閉じる。


――――――

マナ「(皆順調に勝ち進んでいってる、私に出来ることはまだ少ないけどそれでも置いて行かれる訳にはいかない!)」

 そう意気込むマナの相手は鞭使いの女性である。

 

マナ「鞭は結構速いはず」

「あーしは優しい子ちゃんじゃないから、手加減しないよ!」

 鞭からは白い煙、冷気が発生している。女性は鞭で届くギリギリの射程に立つ。

 

マナ「(こういう時は、ナギやハル、リクみたく踏み込む力はまだ私…)わっ!」

 マナは、すぐ目の前で空を切る鞭の先を一瞬見る。ヒュンっと音が耳に届いた同時に鞭の追撃がくる。女性は先程より3歩前に出ている。それはマナが無意識で3歩下がって回避した事を表していた。

 

マナ「(ゆっくり考える暇がない)」

 マナは光のナイフを創成し、偶然鞭の先を捉えられるがナイフは一撃で砕ける。その動揺を見逃さずすぐ追撃をされ、マナは肩に鞭が当たりダメージを負う。

マナ「(違うもっと、集中してリーチと硬度を両立させるんだ)」


 マナの手から一本の光の棒が伸び、その先端は三つに分かれる。

マナ「三叉槍」

 

「あーしの鞭にはおいつけないでしょ!」

マナ「閃光散弾」

 女性は目の前で破裂する閃光弾に視界を奪われ鞭を持っていない方の腕で目を覆う。しかし黙ってやられるつもりはなく目を瞑りながら鞭を振り回す。

 槍のリーチまで近づこうと接近するマナの右足に鞭が直撃する直前、右足から鞭が当たる部分に小さな光の刺股を生やし鞭を止める。

 

マナ「いっけぇ!」

 その三叉槍は女性の体を貫く、治療師として回復してきた人間の体に初めてマナがしっかりと攻撃をした瞬間だった。

マナ「ダメージはないとわかってても良い気持ちはしない」

「最後のガッツよかったよ!」

 マナの初戦は辛くも勝利を挙げたのだった。


――――――

 5人は勝利したマナの元に集まる。2回戦開始まではまだしばらくあるので、試合が見えるベンチで昼食を取り始めた。

リク「ひとまず、全員一回戦突破おめでとう!!」

ハル「マナ、良い戦いだったよ」

マナ「ありがとう、でも教えて貰った事あんまり発揮できなかった気がする…」

ナギ「最後の鞭を守ったのは良かったぞ。よくあれに反応したな」

ルカ「閃光弾で視界奪ったのも良かったね!光魔法ならではの戦い方だね」

 

リク「なぁマナ、一人で氷の鞭使いを倒したんだぜ」

 リクはにかっ、とマナに笑いかける。

マナ「ん?……あっ」

 水城で全く反撃の手を見つけれず、防戦一方だった中長戦を思い出す。リク無しで氷の鞭使いを倒した事はそんなマナの成長を示していた。

マナ「私やれたよ!」

 マナはリクとハイタッチする。

  

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