9話 光属性
マナ「(いつ来てもいいようにちゃんとイメージしとかなきゃ)」
ナギ「マナは治属性の練度高いんだから、もっと自信もって光の方もリラックスして使った方がいいと思うぞ」
マナ「あ、そっか!」
ナギは、皆の前で宣言し気負っているマナに一声かける。こういった場面で気持ちを読取り声を掛けれる優しさがナギの長所である。
マナ「ありがとう。もう大丈夫!」
ルカ「(マナも頑張っているんだ。私だって……でもなんで私の魔法の練度で紋章が発現しないんだろ)」
マナ「(来た!)」
マナは越境の弓を構える。リクは奥から飛んでくるスナオドリとマナを交互に見る。
リク「(いざとなればいつでも)」
マナは背負っている布袋に入った矢を取り出さない。代わりに掌から少しずつ光の粒を放出し、光属性の矢を作り出す。
ルカ「(魔法での武器生成、もうその練度なの!?)」
マナ「(今だ。)シャイニングアロー」
マナが放った矢は空を飛ぶスナオドリの胴体に当たり閃光を放つ。そして目を刺すような光が収まるとスナオドリは消えている。
ハル「やったね、マナ!」
リクは顎に手を当てうむうむ、と頷いている。
リク「 いー攻撃だったな」
マナ「ありがとう!これをもっと鍛えて私も攻撃に参加出来るようにするね!」
ルカ「魔法の事だったら色々聞いて!」
ナギ「近接にも光属性混ぜるなら何かアドバイスあるかもしれないぞ」
リク「遠距離指導は任せてくれ」
ハル「……僕が教えれる技術ってなんだろ」
マナ「ハルには戦闘中の思考を教えてほしいかな」
ハル「!それなら教えられそう。後でナギとリクと組手してみよう」
リクとハルの復活、フライ村での誓い、マナの光属性の成長によってパーティに活気が戻ったのであった。
―――グリル村―――
グリル村では各国から戦士や魔法使いが集まっていた。皆、近々開催される土マスター主催の人間同士で力比べをする大会に参加するのが目的である。
わざわざ来るには理由があった。それは今回の優勝商品が土国の国宝だからである。今までの大会でもレアな鉱石やアイテム、装備等が優勝商品とされてきたが、国宝となると噂が大きく広がり各国から戦士達を呼ぶ結果となったのである。
グリル村含め土国の人々の正直な意見としてはその戦力を少しでも土柱討伐へ向けてほしいというものである。マスターとはいえ国宝を持っている理由としては不十分であり、王と土マスターとの間で何か取引が行われたのではないかと噂されていた。
「おいガイラ、今回はお前も大会に参加させる。そして優勝し国宝を回収しろ」
村の端っこで岩に腰をかけ足を組んでいるこの大男こそが土マスターである。そして命令されたガイラという男が岩マスターである。
岩マスター「必ずや!兄貴!任せてくださいっす」
―――ハルサイド―――
あれから魔物が現れる度にマナを中心として討伐する形を組んでいた。連携力を高める為にマナだけでなく他のメンバーも参加していた。
マナ「姉さんごめんなさい」
ナギ「当たってないんだから謝らなくていいぞ」
マナは一瞬の隙を見てナギと戦う魔物を狙って矢を放つが、少し狙いがブレてナギの頬を掠めてしまったのであった。
マナ「リクはどうやって、土壇場でも正確にナイフを投げれるようになっていったの?私が印象的だったのは、フーアさんの能力で見た火の中長に投げた時と、水の中長に当てたナイフを蹴って飛ばした時なんだけど…」
リクは少し驚いた表情をした後に笑顔で語り始める。
リク「なんかもう懐かしいな。俺道場に通う前は育った村でたまに帰ってくる父さんに剣を習ってたんだけど、まだ小さかったから父さんのいない時には剣を持たせて貰えなかったんだ。そこで村の大人達から料理の練習って言ってナイフや包丁を借りてさ」
リク「子供の頃の俺にはナイフが剣に似て見えた。振って振って振りまくって父さんが次帰ってきた時には急激な成長を褒めてもらうとしていたんだけど、その機会が来た時にナイフの操術と剣は全然違くて思いどーりにはいかなくてさ、父さんが旅立った後に不貞腐れて木の葉に向かってナイフを投げたら狙い通りに当たってさ。剣以外の事でも褒めて貰えるんじゃないかって練習を始めたんだ」
ハル「その話知らなかったな。炎の剣士の息子である事を誇りにしてるけど役職剣士じゃなかったから、でもこれ言ってもいいのか気にしちゃって」
リク「そんな所で気をつかわなくてもいいんだぜ」
ルカ「あ!料理の為って借りた包丁とかで本当に料理の練習したんだ!」
リク「おぉー!正解!料理も褒められる為の技術の1つとしてな」
リク「父さんは俺が剣の道を進むことを強制としなかった。だから俺はスナイプの技術を鍛えていった。それでも父さんを尊敬していたから帰ってくる度に習ってはいたけどな。そして父さんが逝った後は闇柱を倒すため道場通ったって感じだな」
ナギ「なるほどな」
意外と語られてこなかったリクの過去に4人は聞き入っていた。
リク「スナイプはとことん個人練だったからな。マナの参考になるとは限らないけど、まずは止まった的を当てる練習で徐々に距離を広げる、次に止まった的に自分は動きながら当てる。そして動く的に当てる。下向きや真上も感覚ブレるからよく練習したかな。慣れたら生物や魔物に当てる練習だ」
マナ「多分今の私だったらいざと言う時に外しちゃうと思うから参考にして練習するね」
リク「ハクガン戦や、風柱との戦いでマナの弓矢の技術は高いと思ったけどな」
マナ「なんか、私には攻撃の術が少ないから良くも悪くも選択枝が少なくてやることが明瞭で思考が透き通ってたかも」
ナギ「透き通る思考って、紋章に似てるな」
ルカ「さっきも考えてたんだけど、なんで私たちは紋章出せないんだろ?」
リク「雷マスターいわく、身体を鍛え上げた人が感情を極限まで高ぶらせた時に出るらしいな」
ルカ「身体を鍛え上げたって点ならリクとハルならもう達成してそうなのにね」
リク「んまーたしかに?でも俺、冷静人間だからなぁ」
ナギ「え?」
今までリクの心を読み取って来たであろうナギに向け、リクは焦って人差し指を口元に運ぶ。
ハル「僕はとりあえず岩属性の練度上げる所からかな」
リク「俺はハクガン戦の高速の戦闘方法を体に慣らさないと使う度に倒れてたら世話ないからな」
5人は砂風に煽られながら歩みを続け、グリル村を目指す。




