3話 ハクガンという男
リク「炎飛燕流の家元?」
ハクガン「そうじゃ。わしハクガンはこの体になった時に水と炎のダブルヒューになってな。冷やしながら体内の火力を制御可能になり、最高速で連撃を出し続けることができるわしに、まだ未熟者のお前に越えられるか?」
リク「(話が噛み合ってねぇ?急に自己紹介してきやがった…でも、まぁまとめると強いって事か、これは頑張らないとな)やれるかじゃねぇやるんだ」
リクのポジティブと呼ぶべきか、楽観的と呼ぶか迷う思考が今はこの場を救っていることをまだ誰も知らない。
リク「(俺がここで紋章を出せばいけるんじゃねぇか?)」
ハクガン「ピンチに笑うか。これじゃから若者をイジメるのは楽しいのう。のってきたわい」
リク「家元の言うセリフじゃねぇな」
ハル「(ナギが動けなくなったのは僕のせいかもしれない。でも、予想が正しければ)」
ハルは背中からフルートを取り出し、リクを強化しようとするが全く音が出ない。
ハル「(やっぱりな。でもネタはわかった。それに僕とリクが組んだら負ける訳がない。だから封印される事はない!)」
リク「(さっき雷魔法を出したら退いていた。これは雷をフル活用する場面か)」
リクはまだ雷魔法を体から離して放出することが出来る練度には達していない、なのでこの戦法は一か八かである。いつも全身で纏っている雷を少し体外へと放出してみる。
リク「ハルが俺の後ろで連携の準備をしている。ハルなら雷効かないから誤爆当たっても、許して貰うか」
ハクガン「炎飛燕流同士の戦いだと分が悪いと読んでわしの苦手な雷属性で来るか。しかし、半分暴走状態じゃのう。まだ練度が追いついて無いのではないか」
リク「だからって、ここで退く訳にはいかない」
リクは両腕を軽く曲げながら肩の高さまてを上げ、片足を少し後ろに下げて構える。ハクガンの構えはリクと同じ形であるが、その迫力が段違いである。一瞬でも隙を見せればすぐに狩られることが容易にイメージできる。顔も腕も足もシワだらけのその体だが、残った筋肉とその迫力が決して弱っていないことを物語っていた。
ハクガンは前に出した左でリクに挑発する。
リク「(後手にはまわらない。)ハル!」
ハル「おう!」
ハルとリクが同時に飛び出す。ハクガンはその場で2人を対処する構えである。パーティーの中で1番連携力が高いのがナギだが、リクとハルのコンビも連携力は高いものへと成長していた。
まずはハルがハクガンに近づき剣を振る。ハクガンは少し前に出している手でハルの剣を側面から捉えようとする。しかしハルも先程闇柱に弄ばれ学習している。側面を捉える為に伸びた手に合わせて剣を回転させ腕を斬りつける。
ハクガン「先程よりも動きがいいのう」
ハクガンは斬られながらもハルの首を掴む。
ハル「うぐっ」
その圧倒的握力で今にも首の骨を折る勢いである。
リク「(炎飛燕流関係ねぇじゃんか。)雷光脚!」
リクの足からは電撃が四方八方に放たれている。その足でハルの首を掴むハクガンの手を弾く。
ハクガン「炎飛燕流 華核拳」
リクに弾かれ、ハルの首を離したと同時に膝を少し曲げ突きの体勢を取り、ハルの腹に深く刺さる。鈍い音と共に大量の血をハルは吐く。骨が折れているのだ。さらに炎を纏っているので火傷による負傷も込みである。
リク「ハル!!雷天脚!」
ハクガンの顎に蹴り上げがクリーンヒットしたと思った時だった。リクの蹴りは空を斬る。
ハル「(大長10は動いていない。リクが外したんだ。捌かれたり躱されることはあっても自らリクが外すなんて。)ゲボっ」
蹴りの勢いで少し体勢を崩したリクの隙を見逃さずハクガンはリクの横腹に手を当てる。
ハクガン「炎掌凛!」
そしてリクは吹っ飛ぶ。
リク「(俺の火掌凛とは桁違いの威力だ)」
リクは口元の血を手で拭いて、またハクガンに突っ込む。
ハル「(氷で腹を守ったのに、威力を殺せなかった。でも、まだ諦めない)」
ハルは足をふらつかせ腹を押さえながら再び立ち上がる。
ハクガン「そんな体で何が出来るというのだ」
ハル「ははっ。まだリクの技を当てる為の盾ぐらいにはなれるさ」
リクがハクガンの懐に潜り込む。ハクガンがリクを掴もうと伸ばした手を躱しながら電撃を当てる。
リク「(この人に炎飛燕流で勝ちたい。稽古から逃げた俺でも沢山のことを師匠に教えてもらった。それが格上に通じる事を証明してやる。これが俺の…)」
リク「雷纏い 炎飛燕流 百花繚乱!」
目にも止まらぬ速さで、鞭のように足をしならせハクガンを蹴りつける。この前までは十花繚乱と名乗っていたその技は雷を纏い手数が増えたことで強化されていた。雷を纏った速さをもってしてもハクガンに捌かれてしまうが、確実に雷属性のダメージが入っていた。
ハクガン「(意外と反撃する隙がないのう)」
闇柱「(アイツは『誤感覚』の能力を使いこなせない。それでも強さはあるが意外と押されているな)」
先程リクの蹴りが見当違いにも空を切ったのはハクガ
ンの能力のせいであった。
マナ「姉さん」
ナギはゆっくりとマナの元へと近づいていた。
ナギ「ウチはスピードと斬力が使えなくなった。でもまだ風魔法なら使える。マナは弓使えそうか?」
マナ「うん」
ナギ「さっき動けないから代わりにこれを、とルカから水の国宝を貸してもらった。これでウチの最大MPが上昇した」
マナ「私の弓矢に姉さんの風魔法を纏わせるってこと?」
ナギ「そうだ。二人の援護をするぞ」
マナ「わかった」
ナギ「ウチは今、動きが遅いからマナの後ろから弓を引っ張るのを手伝うよ」
マナ「ありがとう。タイミングは私に任せて」
ナギ「頼んだぞ」
マナの弓を持つ震える手をナギが後ろから自身の手を重ねおさえる。ナギの掌の熱を感じ少しマナは落ち着いた様子だった。
リク「いっけぇ!」
リクは連撃の末に渾身の蹴りを叩き込む。しかしハクガンはその渾身の一撃を待ち望んでいたかのように完全に防がれてしまう。すぐさまハルが追撃の突きを放つがそれも軽く捌かれてしまう。
ハクガン「楽しいのう」




