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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
3章 封印とダンジョン
77/86

1話 最悪の刺客

ハル達は土国入口の砂漠を進んでいた。

ハル「ここが土国(もしかしたら僕の故郷にあたるのかもしれない)」

マナ「火国の砂漠と繋がってるんだね」

ナギ「結構癖のある魔物多いから気をつけろよ」

 

リク「どういうのいるんだ?」

ナギ「モリサソリが危ないな、色は少し紫がかった黒色で赤い目をしてる巨大なサソリだ」

ハル「えっとーアレみたいな?」

 4人はハルの指の先を見る。

 

ナギ「そう、まさにあんな感じの」

ルカ「こっち見てるね」

リク「見てるな」

ナギ「本物だ!!」

マナ「敵意感知した!落ち着いてないで!来るよ!」

 

リク「所詮虫みたいなもんだろ、火でやっつけてやるぜ。火小球 ストライク」

 手に収まるサイズの火魔法を纏わせたナイフをモリサソリに全力投球する。確かに当たったが全くダメージを受けてないように見えた。

 

ナギ「こんな熱い所に生息しているんだ、火にはきっと軽く耐性がある。雷は土属性だから効果薄いし、氷は溶けちゃうと思う」

ルカ「じゃあ、ナギ姉さんの風か、私の水あとは物理攻撃ね」

 

 モリサソリはすごい勢いで近づいてくる。

マナ「後ろからも鳥の魔物発見」

 鳥の魔物が羽を大きく羽ばたくと、砂の竜巻が巻き起こる。

リク「あいつ、何してくれるんだ」

 リクは1人後ろを向いてナイフを投げる体勢に入る。

 

マナ「リク!」

 リクの体に巨大な丸い岩が激突して、ナイフを落としながらダメージを喰らう。リクの横で地面から顔を出したモグラの魔物数体が岩を投げつけて来ていた。

 

ルカ「泡檻[シャボン]」

 自分と仲間を水魔法で包む。

ルカ「乱・小乱水槍!」

 四方八方に小さな水の槍が放たれ魔物達に突き刺さっていく。

ナギ「(すごい…カゼオドリとイワモグラは今ので倒しきったのか)」

 

 ナギがシャボンから抜け出し、モリサソリの足を斬る。と同時に、トドメを刺しに行かず全力で引く。その後モリサソリの足からは紫色の毒が吹き出す。飛び出す直前に仲間にも共有していたが、モリサソリはその血自体が毒である。

リク「じゃあ、俺の出番じゃねぇか。さっきはダサい所見せたもんな」

 リクが通る瞬間だけ、シャボンを解除する。

 

ナギ「尻尾も気をつけろ!」

 走り寄るリクに、モリサソリは貫き殺す勢いで尻尾を伸ばす。雷を纏ったリクは紙一重でその尻尾をかわす。

 リクは巨大なサソリを飛び越える程のジャンプをして、空中で回転しながらモリサソリへ蹴りを決める。

リク「烈火脚!」

 

 モリサソリは消えていく。と同時に毒ガスが一帯に広がる。

ナギ「この毒はやばい!ルカ達も逃げろ!」


 

ルカ「いやぁ、いきなりちょっと危なかったね」

リク「あと一種同時に襲って来てこられてたらやばかったな」

ハル「やっぱり魔法の有難さを感じたよ」

 


 一同は何とか土国の旅の一日目を終えようとしていた。また野宿である。

リク「夜はやっぱり結構冷えるのな」

ルカ「まぁ、砂漠だからね。リクの焚き火のおかげで凍える思いしなくて良かったよ」

リク「まだ纏うか、焚き火にしか使えないからな笑。これぐらいの出番はくれ。ちょっと砂漠にしては湿度高く感じるけどルカ魔法使ってるのか?」

 

ルカ「うん。水の細かい粒を出して水蒸気にしてるの、今ハルが氷魔法の特訓をしたいみたいで氷魔法の特訓は湿度高くて寒い時にやるのが一番って教えたら頼まれちゃった」

リク「そうだったのか、あいつも強くなることに妥協しないよな」

ルカ「そうだね。なんだか昔の私を見ているみたい」

 

リク「ルカもあんなに毎日やってたの?」

ルカ「私の場合、今みたいに日中は移動とか、魔物の恐れもなかったからずっと本読んでるか、魔法の特訓だったよ」

リク「えらいなぁ。その時のルカが頑張ってくれたお陰で今の俺たち何度も助けて貰えたんだな!」


 

 そんな事を話している時だった。野生の魔物の襲撃などもあり、気は抜けなかったが、それでも旅を楽しいと思えるような日々だった。数週間までは寝る前に昔は辛い思い出ばかり考え涙を流していたが、今では仲間との日々を考える事が出来るようになっていた。自分の力が仲間を助け強敵も倒してこれたと思っていた。


ルカ「マナ?」

 マナは酷く怯えており、一言も放たず尻もちをつきながら地面を這って後ずさりをしていた。

マナ「あ…う…あ」

 

「いたな」

 その声を聞いたリクとルカは背筋が凍るように感じた。ハルとナギはそんな三人よりも奥にいたものに絶句する。いつもなら直ぐに臨戦態勢に入れる彼らだが、遅れた。いや、動き出すことができなかった。


マナ「お前…は」

 

「いつまでビビっているんだ。柱を2本落としたのはまぐれか?」

 突如現れた紫の扉から出てきたのは二体の魔物だった。その内の一体は元大長10で今は大長落ちの魔物だ。もう一体が問題だった。そのせいでマナは動く事がままならなくなってしまった。彼らのプランでは一番最後に対峙するはずだった、その魔物の姿を知っているのはマナだけだ。しかし、その圧の前では感知など出来なくでも分かる。最強の柱なのだと。


 そう、彼らの前に現れたのは闇柱だった。その魔物は光国を闇に包みマナの大事な人たちを全て葬りさり、リクの父を殺した魔物だった。

 マナは、足を震えさせながら何とか立ち上がるが、弓を持ち上げても手がぶれてとても狙えない。

リク「ルカ、大丈夫か?」

ルカ「リクこそ大丈夫?」

 

 リクからは今にも闇柱を殺してしまいたいという気が漏れている。

 いつもなら敵と対峙して、ナギに続きリクとハルが前衛に行き、リクが前衛に混ざるか遠距離から攻めるか見極め、ルカが後方支援の体勢をとり魔物を戦闘を開始するタイミングである。

大長10「こりゃあ、見定めも出来そうにないのう」


リク「(動け動け、殺せ殺せ父さんの仇だ。臆すな今殺せ、殺せばマナの故郷も救うことができる)」

 リクは雷も火も纏わず、近づいていく。ここ最近まで魔法を纏うなんて無意識でやってこなかったリクは纏う事を頭から検索できないでいた。

 

闇柱「やっと動き出したか、お前はどこかで会った事があるか?」

リク「(危な、忘れてた)雷纏い×火纏い、火速」

 皮肉にも魔物の言葉で少し理性が戻る。

大長10「おぉ、そこそこの速度出せるみたいじゃのう」

 

 速さを褒めつつもそれを超える速度で、大長10はリクの背後からリクの腕を掴み背中に押しつけ転ばせ、完全に動きを止める。

大長10「(熱を体内で生み出しスピードを上げておるのか、冷やしておくとするかのう)」

 大長10は手から冷水を出してリクを冷ます。

 

ルカ「水装。え?」

 反応する間もなく、ルカの頭に闇柱が手を乗せ握っている。

マナ「そ、その手を離せ」

闇柱「悪夢」

 

 ルカの頭はそのどす黒い掌で砕かれる。血管に頭蓋骨が刺さり血を大量に吹き出す。

マナ「え……もう、やめて、私から何も奪わないで。やめて…やめてください…」

 マナは悲痛の声で泣き叫ぶ。

闇柱「闇に堕ちし者に更なる試練を『封印』」


 この瞬間マナは治魔法が使えなくなった。

  


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