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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
2章 忍びの村と雷の目覚め
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43話崩れぬ力

~~~城内1階~~~

風柱「やはりあの青髪がこの城の最高戦力だったか」

 デネブは風柱に全身を斬り付けられ倒れている。

 

デネブ「このまま終われぬ」

 デネブは足を震えさせながらなんとか立ち上がる。

デネブ「(速さに翻弄され重い一撃が入らぬ、ならばこの体一撃入れる為だけに使ってやろう)」

 

 デネブはアガり症なので、考えがまとまっていても口に出す時には焦って何を言いたいのか自分でも分からなくなり文章が整わなくなるタイプである。それでも意図を察し会話を躊躇わないでくれる周囲の人々に常に感謝し、三銃士であるという誇りと共にその剣に乗せて戦っている。

 風柱は両手の鎌でデネブにトドメを刺しに近づく。そしてデネブの大剣が風柱に触れる前に何度も斬り付けられる。

風柱「!?」

 

 その中の一撃をデネブは筋肉で鎌の刃を挟み一瞬動きを鈍らせる事に成功する。その隙に風柱の背後から岩魔法で筒状の岩を作り風柱の背中を押し付ける。手前に体勢を崩す風柱をデネブは屈強な体と太い腕でしっかりホールドする。そして風柱は天井を見ることになる。風柱だけでは無い、デネブも同じ天井を見ている。そのまま視界は動きデネブの後方へと移り最後に地面に叩きつけられる。人間技からかけ離れた威力のジャーマンスープレックスは風柱とデネブ自身に大ダメージを与える。

 

風柱 「ぐっ…(意識が飛びかけた…)邪魔するな」

 デネブの肩の筋を斬りホールドを解除させる。

デネブ「(もう動けん)」

風柱「お前も俺の記憶に刻まれた。最後に健闘したな」

 

 デネブの心臓に狙いを付け鎌を振りかざす。目を瞑るデネブに刃が刺さる瞬間はいつまでも来ない。目を開けると2本の剣を持った少女が鎌を止めていた。

風柱「新手か」

 フルサトヘビの毒抜きを終えたナギが到着していたのだった。

ナギ「この戦いの元凶にして最強か」

 ナギは回転して、柱の鎌を振り払う。

 

風柱「(こいつ自分の速さに慣れている動きだな。まだギアを上げてくるかもしれぬ。警戒しておくか)」

 ナギは紋章を出し、風を纏っていきなり全力で戦う姿勢である。

ナギ「(戦況は掴めないが、ここで柱を止めることは意味があるはず。援軍が来るとは限らない。倒すつもりでやろう)」

 

トフム「鎌振るととぶ風の刃」

 口足らずなトフムの伝えたいことをナギが特技で何となく読み取る。

ナギ「(飛ぶ風の斬撃…。剣で受けるかそれとも…)」

 ナギは体を斜め前方に倒し、かまいたちをかわす。

 

風柱「くだらない思考は必要ない。風を体で感じろ。お前ならそれが出来るはずだ」

 その風柱の発言中に何度鎌を振ったかを正確に見切る事ができ、更にかわせる者はオミクロン中を探しても指折り程しかいないだろう。そして、ナギのスピードは既にその猛者たちに匹敵するものだった。

 

風柱「今のをほとんどかわすか。お前も強者だな。ではこれにはついてこれるか?竜巻 かまいたち」

 風柱はナギの周りを走り出し、円を描きながら手元では鎌を振っている。

デネブ「俺気にするな」

 ナギの後ろで倒れているデネブは岩魔法で自身を取り囲む。さらに薄い岩の壁を作り、かまいたちを防ぐ。

 

ナギ「今のを無傷でやり過ごせたのは大きい」

 ナギも走り出し、風柱の横から斬りかかる。

風柱「(俺の速さを越え先回りしたか。)風狼 かまいたち」

 両手の鎌を交差させながら振ると、普通のかまいたちよりも速く攻撃範囲が細く狭くなる。既に攻撃体勢のナギは風魔法で飛びかかる軌道を変え、回避し風柱の懐に入ることに成功する。

 

ナギ「真輪斬!」

 風柱の腕にナギの左の剣の先が触れ、それを感じとったナギは回転を止めずに少し踏み込んで右の剣で腕を斬る。思わず風柱はバックステップでナギから距離をとる。

 

ナギ「(高速階なら柱にも通じる。忍村でマスターに教わって本当に良かった。)交真斬!」

 交差させた双剣を弾くように外側に振るこの技は振り始めた瞬間により強い力で押さえつけられると封殺されるという弱点を野宿の度にしてきたハルとの特訓でナギは学んでいた。しかし、風柱も初見でそれを見抜いた。

 力じゃ敵わない相手の対応は今まで速さで勝り乗り越えてきた。だが、今回の相手は柱の中でも最速の魔物だ。そんな隙はない。そこでナギが選択したのは苦手な忍法だった。

 

 風柱は目の前で今にも振られようとする双剣の交差された点に両手の鎌で押さえつける。そのまま力で押し切りナギの目の前でかまいたちを放つが、ナギは一瞬の間に丸太に代わりそこには双剣だけが残っている。

 

風柱「(この剣さえも囮だと、風魔法ならこっちの方が技術は上だ、何を攻撃手段とする気だ)」

 高速に展開されるスピード勝負の最中に、このような思考を挟んでいる内に一手遅れてしまう。

 

 ナギは咄嗟に振り返っている風柱の横に現れる。

風柱「(咄嗟に振り返る事を読まれていた)」

ナギ「(リクの技借りるぞ。)風纏 蹴り上げ[ジェット キック]」

 風柱は振り返った事が失敗したと気づき、直ぐにリカバリーしてナギの方へ体を半分向け、右手で顎をガードするがナギの素早く鋭い蹴りは風柱の喉を直撃する。その隙に双剣を拾いすぐさま次の攻撃に移る。

 

風柱「ゲボッ」

ナギ「(たたみ掛ける。)共輪斬!」

 風丸と雷丸を重ねて左向きから右へ体を半回転させて風柱を斬る。

風柱「調子に乗るなよ。夜嵐 かまいたち」

ナギ「(速い)」

 

 ナギは風魔法をと双剣で防ごうとするが受けきれず足に何箇所か斬り傷をつけられる。

風柱「大喰い かまいたち」

ナギ「(あれは避けなきゃやば…間に合わない)風層」

 避けるのが間に合わないと悟り、風の壁に加えて守り重視の構えで大技を受ける。

 

風柱「頑張ったじゃないか。このレベルの速度を持つ人間は暫くぶりに見た」

ナギ「暫く真面目に特訓したからな。(まずいな)」

 ナギの両腕と両横腹に深く斬撃の傷がつく。ダメージによる負荷で全身にスピード上昇の為に纏っていた 風纏いが解除される。紋章はまだ残っている。

 

風柱「もう追ってこれまい。このまま王の暗殺をさせてもらうとする」

ナギ「風纏い」

 纏った瞬間に解除される。

ナギ「風纏い」

 万全の状態より半分以下の効果で纏う。

 

風柱「本当に諦めの悪いやつばかりだ。大喰いかま…」

「ナギ、待たせたな」

 聞きなれたその声にナギが顔を上げるとそこには仲間達の姿がある。

マナ「姉さん治すから3人ともその間お願いね」

リク「おう」

ルカ「ここで終わらせよう!」

ハル「ナギの事頼んだぞ」

ナギ「皆...」

ハル「ちょっと休んでてくれ」

風柱「お前は懲りずにまた俺の前に立ち塞がるのか」

ハル「次は仲間と共にお前に勝つ」

 一度は為す術なく敗北した相手に相対してもなおハルは臆する事なく挑む。


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