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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
2章 忍びの村と雷の目覚め
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39話姉貴と姉さん

マナ「2人共まだ完治してないよ」

 アルタとハルは立ち上がる。自身の想定との違いに驚きつつも冷静に2人へ向けて言葉をかける。2人が具体的にどのように倒されてしまったかは見ていない。しかし、彼らがやり切れない思いを抱え再び戦場へと舞い戻ろうとするその姿に止められ無いことは分かっていた。

 

ハル「ここで寝てる時間なんて無いんだ。リクとナギが来てくれたのは大きいけど、大長落ちに手が回らないとは思ってなかった」

アルタ「ありがとう。これで剣を握れるよ。僕はベガの元へ向かう。ハルくんはどこへ?」

ハル「『変身』を追います」

アルタ「頼むよ。本来なら僕が柱の相手をしなければならないが……」

ハル「ベガさんを止めに行ってあげてください。大長落ちと柱は僕たちが何とかします」

アルタ「恩に着るよ。この戦いが終わった暁には騎士総出でお礼をさせて欲しい」

ハル「では、それを楽しみに勝って生き残ります」

 アルタはベガの元へ、ハルとマナは城内へ走り出す。


―――リクサイド―――

ベガ「これ以上僕の邪魔をするな」

リク「こっちのセリフだ」

 ベガは何度も紋章を出そうと試みるが叶わなかった。

ベガ「説明しろ!なぜ、紋章が使えない。出しさえすればこんなヤツ一瞬でかたがつくのに。雷獣牙突!」

 リクは右肩に剣を刺される。雷属性に強いとはいえ、リクの最大の武器である身体に対して刃を突き立てられれば大きなダメージを伴う。

 

リク「(雷纏が切れてからスピードについていけなくなった。はやく復活してくれ)」

 リクは左手で右肩を抑えながら、ベガの剣をかわす。既にまともに受ける事さえ出来なくなっていた。早々に切ってしまった雷纏いだったが、相手の力量が読めない…ましてや自ら魔物になり下がろうとする者を相対して出し惜しみはできなかった。

 

 そこにアルタが到着する。アルタは変わり果てたベガの姿を見て絶句する。

 

アルタ「ベガ」

 ベガはその聞き馴染んだ声を聞き振り返る。

ベガ「来たかアルタ。君を僕が殺して僕の方が上だと証明するんだ」

 ベガはリクを無視して、アルタに斬りかかる。

 

アルタ「そんな力がなくたって君は強いじゃないか、偽りの力に頼るなんて」

 アルタはベガを横振りの剣を軽く弾く。

ベガ「そんなはずは…。なんで」

 

アルタ「持ち前のスピードは衰え、中途半端な攻撃力上昇に体がついていってないんだよ」

ベガ「くそっ!魔物の力に紋章さえあれば、勝てるはずなのに…さっきの発言も魔物化までした僕の剣を払いながら言ったって嫌味にしか聞こえないぞ!」


 軽蔑するでもなく真っ直ぐにベガを睨み、その発言を無視する。

アルタ「リク君だね、ベガは僕に任せてくれないか。今、ハル殿とマナさんとルカさんが城内で大長落ちと戦っているはずだ。柱も城内にいる」

リク「分かりました!ベガさんは自分の蹴り技などをコピーしていたので気をつけて下さい」

 

 リクは先程ベガが城壁に穴を開けてできた入口の方へ走るが、中長と戦うナギを見て足を止める。

ナギ「こっちはウチ1人で大丈夫だ、城内を助けに行ってくれ」

 ナギの左腕は蛇に噛まれた後がある。

中長「いいのかい?もうこの子は駄目になるよ。フルサトヘビの毒が体内を回り始めている。忍とはいえ全く毒が効かないなんてありえないからね」

 ナギはリクの目を見て頷く。

リク「ナギ、負けんなよ。先に城内で待ってる」

ナギ「任せろ、すぐに行く」

 リクは再び走り出す。

 

中長「止めなきゃだねぇ」

 走りさるリクの足にフルサトヘビが噛み付く。

中長「わるいね。普通の人間だったら一噛みであそこの兵みたいにすぐに動けなくなるのさ、それとも何かあるのかい?」

ナギ「リク!」

 リクは、平然と足をヘビごと地面に叩きつけ振り払い走り出す。

 

中長「どういうことだい」

ナギ「(リクの食中毒にならないって特技もしかして毒全般に有効なのか?)」

 ナギは、風丸と雷丸を構え飛び出す。

中長「(一段と速くなった)」

 リクの声かけで気合いが入り、速さが一段上がったナギにヘビを操り壁を作って双剣の鋭い斬りつけを防ぐ。

ナギ「(2回目の紋章ここでつかおう。風纏×紋章で今できる最高速だ。)高速階[ハイギア]」

 中長のガードは間に合わず、腹に一文字の切り傷をつけられる。

 

中長「(これじゃ、まるで柱の)」

 中長はもはや目でナギを追うことはできなかった。剣が体に触れた時に初めて斬られていると気づける、そういう次元だった。フルサトヘビは中長よりも反応が速く、ナギの腕に絡みついてはナギに振りほどかれていた。

中長「(このままだとあの子のスタミナ切れまで持たせれ無さそうだねぇ)」

 中長は全身にフルサトヘビを纏う。

中長「蛇纏 蛇王武人」


~~~~~~

中長「あんた達しっかり働きなよ」

小長「はい姉貴!」

中長「なんであんたらはあたしの事を姉貴と呼ぶんだい?」

小長「なんか姉貴感が溢れてるんですよ」

中長「そうかい?まあいいけどさ」

小長「いざとなったら、僕らが姉貴を守ります!」

中長「それじゃあ、せいぜい強くなんな」

~~~~~~

中長「アイツらの姉貴分としてここで負ける訳にはいかないんだよ!」

ナギ「(姉貴……)」

 ナギは自身の事を姉さんと呼ぶ、マナとルカの顔を浮かべる。

中長 「(動きがとまった!)蛇縛掌!」

 ナギは再び戦闘のスイッチを入れるが、膝をついてしまう。

 

ナギ「(毒が…)」

 ナギの風纏と紋章が消え、そのまま蛇に全身を縛り上げられてしまう。

中長「捕まえればこっちのもんだよ!これでトドメだ!蛇王噛砕」

 大群のフルサトヘビの中でも一際大きいヘビがナギの首元を噛みちぎる。

 否、ヘビが噛み付いていたのは丸太であった。

 

中長「これは変わり身の術?忍術の戦闘法も隠してたって訳かい?」

ナギ「今のは親友の1人の得意技だ。そして、こっちはもう1人の親友との合体技だ。高速階[ハイギア]!」

 紋章と風纏を発動させ、最高速で中長に近づく。

 

ナギ「真輪斬!!」

 立ち塞がる大蛇のフルサトヘビと中長を同時に斬り伏せる。

中長「(大長6を追い詰めたスピードと、剣技に完敗だよ。中長として失格だね何もできなかった。)柱のスピードをみくびるんじゃないよ」

 中長とフルサトヘビ達は消えていく。ナギはそれを見届けると床にへたりこんでしまう。紋章3回発動に流石に疲労した事とフルサトヘビの毒が原因である。

ナギ「簡易的にも毒抜きしなきゃ」


【ナギ 風の中長撃破】


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