34話マナの対話術
ハル「(この魔物はルカと相性が悪そうだし共闘したいけど、城の中には変身と変装がいるはず。デネブさんもワカさんも戦える状態にはない。シノブがあの魔物を倒せるだろうか。アルタさんも柱を止めるので手一杯だし、ベガさんは…どこだろ。ワカさんが運ばれるのしか見ていなかった。中長もまだいるのに…。リク、ナギ早く来てくれ)」
―――4階 廊下―――
マナとシノブの横を怪我人を乗せた担架と医療班が通り過ぎていく。マナも治療に参加して貢献していたが、双子玉の充電はまだ20分ほどかかる。また奥から1人の医療兵が近づいてくる。
マナ「!?」
マナは声を出さずに口を動かしてシノブに伝える。「まもの」と。
その医療班の兵がマナとシノブの間を通り過ぎる。マナとすれ違いきった時その医療兵は振り返ってマナの方を向き手元のナイフをマナの背中に突き刺そうとする。マナはその動きを予測しており、ナイフを持つ手の手首を掴み捻る。
医療兵「痛っ。ごめんなさいナイフ落としたの咄嗟に拾おうとしたら危ない目に合わせてしまって…」
医療兵「あ、あの放していただけませんか?」
マナ「逃がさない」
医療兵「(後ろの忍は忍村で見たけど、この子は知らないのです~。あ、村長の館にいたような)」
マナが医療兵の顔に裏拳を入れようとすると、その医療兵は無理やりマナの手から逃れ後ろに跳んでかわす。
医療兵「なんで気づいたのです~?」
マナ「勘だよ」
医療兵「ふーん。まぁ、無視するです~」
マナ「(また、被害が出ちゃう。)まって!!」
逃げ出す医療兵の前にシノブが立ち塞がる。
それを見てか医療兵の姿がメルムに変わる。
メル「騙すのは可愛くて好きですけど、戦闘は可愛くなくてあんまり好きじゃないです~」
そう言いながらもメルムはナイフを握っている。
マナ「(能力は攻撃系じゃない。ナイフ術に対してもワカさんに習った事を使えるはず。シノブには双子玉の充電をしてもらわなきゃ)」
2人の空気がひりついた時、城内に大きな破壊音が鳴り響く。
メルム「お、トフム君が入ってきたみたいなのです~。これでメルムも動きやすくなったです~」
マナ「シノブは双子玉を」
シノブ「でも、逃げられるんじゃ」
マナ「…メルムちゃん。敵だけどそれはそれとして可愛いね」
マナの知る魔物は、自身の見た目など気にしているような素振りは無かった。しかし、この魔物は姿を自在に変えられるというのに素の姿はお洒落をしていたのだ。そこに目をつけて声を掛けてみた。
メルム「!? え!分かってくれるです?魔物の皆は可愛さとか全然興味ないし人間も殺しちゃうから言われること無くて寂しかったのです。あなたのお名前は?」
マナ「マナ。僧侶だよ」
メルム「マナも可愛いね。ん~もっと話したいけど、でもでもやらなきゃいけない事あるのです」
2人が話している間にシノブは充電をはじめる。
マナ「メルムちゃんの仕事は城の内部からの掻き回しと、治療の妨害とあとはできれば王の暗殺って所でしょ?」
メルム「え、完璧なのです~!」
マナ「じゃあ、三銃士を1人抑えて魔物を城への侵入を成功させ今僧侶の私に治療をさせてない。やらなきゃの事は全部やったんじゃないの?」
メルム「そう言われればそうです」
マナ「でも、仲間の事も好きだから、任務を放置もできないって感じだよね」
メルム「ですです!」
マナ「だから、私と戦おう。もちろん私はメルムちゃんを止めることで被害者を減らせるからメリットあるし、私欲だけど種族は違うけど可愛いメルムちゃんと話してみたいの」
マナはメルムの悪意がどんどん薄れていくのを感じていた。
メルム「マナちーと戦えば仕事になるからバートくんたちを裏切ることにもならないし、メルムもマナちーと話したいのです」
マナ「相当仲間が好きみたいだね、どういう仲間がいるの?」
マナは予備に持っていた短刀をポケットから出す。技術は拙いが風国の戦闘術と感知を組み合わせることで防御力は高い。
メルム「変三魔衆について教えてあげるからすぐ死んじゃわないで欲しいのです~」
―――数年前 魔王城―――
ドクター「また大長が消されたか」
大長3「ちょっと質が低すぎるんじゃないのー?」
ドクターの呟きにフードを被った子供のような魔物が足をバタバタさせながら返答する。
6体の魔物が魔王とドクターの足元で顔を膝を地面につけて魔王の言葉を待っている。
魔王「10番以降はいらないな」
ドクター「お言葉ですが使える能力を持つ者は生かして上位の大長と柱の駒にしましょう」
魔王「好きにしろ。そこで成果を挙げた者は上位に戻してやろう」
バート(大長12)「アハハハ、鬼畜だけど僕だったらすぐ戻ってまた前線で人々の悲鳴を楽しむよ」
メルム(大長13)「メルムは誰とでも仲良くなりたいので駒やるです~」
トフム(大長11)「成果あげる」
大長10「わしはもうチャンスないかのう。まぁぼちぼち名誉挽回する事にしようかのう」
ゼルガ(大長14)「絶対に上位にのぼってやる」
ツトガ(大長15)「兄さんと僕なら必ず行けるよ」
この中で現在大長にいる者は大長6コンビのゼルガとツトガだけである。大長10の所在は分からず、メルム達は風柱の元に合流し名誉挽回の為に今回の襲撃に加わったのである。メルムは忍村で忍長を誘拐する時に活躍し、風城でもアルタになりすましデネブを地下に閉じ込めるといった成果をあげていた。
メルム「ねぇ、バート君トフム君!メルムとチームアップして欲しいのです~。丁度能力名も似ているし、いつかは皆に三英傑とか言われるです~」
バート「僕悲鳴を出さない子に興味な…」
トフム「俺1人好き…」
メルム「いいから、いいから!」
メルムは2体の魔物の手を引っ張っていく。
メルム「ここからまた、3人で昇りつめるのです!」
それからメルムはいやいやついてくる、バートとトフムと仲良くなっていき連携力をあげていった。
メルム「え!おめでとうなのです~」
ゼルガとツトガが大長8になったと報告を聞きメルムは自分の事のように喜ぶ。
バート「なんでライバルの昇進を喜ぶんだよ、差つけられたんだ」
メルム「メルムは自分が大長になれたらあの2人に喜んで貰いたいです。そう思う相手の成功は自分も嬉しいものなのです~」
~~~数日前~~~
バート「いつまで僕ら大長候補なんだろうね」
メルム「殺され無いだけましですよ」
変魔三衆の部屋にドクターが入ってくる。
ドクター「メルム、次の仕事は忍村にいる能力持ちの人間、極力『千里眼』を誘拐してこい」
メルム「忍村(あの強いと聞くところです。)、それが成功すればバートくんとトフムくんにも次の仕事をください」
ドクター「良いじゃろ…成果に寄っては大長入れ替え戦に推薦もしよう」
メルム「やった!頑張るのです~!」




