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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
2章 忍びの村と雷の目覚め
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28話ヨルとの出会い

―――モチ村―――

ワカ「今一瞬大蛇が、見えました。討伐してきます」

マナ「ワカさん、反対の方向にも魔物の気配がします」

ワカ「わかりました。では、二手に分かれましょう。シノブは僕と一緒です」

シノブ「はい!」

 

ワカ「そちらもくれぐれも気をつけてください。君たちならもう心配いりませんが、この後には城での戦いも控えています」

ハル「はい!」

 5人は二手に分かれ、魔物の討伐に向かう。

 


アルタ「皆僕の後ろに下がって」

 アルタは青髪の好青年である。騎士の服を着こなし次々と美しい剣技で魔物を斬り伏せていく。

村人「これが三銃士の実力。強すぎる」

村人「アルタ様はマスター達ともサシでやり合えるんじゃないかって言われてるんだぞ」

 村人の背後からこっそり襲いかかるコウモリの魔物のことも見逃さず一太刀で倒す。

 

アルタ「こら、逃げるのに集中して、僕が守るから」

村人「すみません。ありがとうございます」

村人「(アルタ様の、こら、最高だわ)」

 彼の雰囲気や名声、そして目の前で直接見たその実力により村人達の不安の大半は拭われていた。

 



マナ「曲がったらすぐ出会うと思う。気をつけてね!」

ハ ル「了解」

 3人は角を曲がると同時に、少女の姿をした魔物が縄で縛り上げられた村の子供達から伸びるその端を持っている姿が目に入る。

ハル「!?」

ルカ「(あの真ん中の少女も魔物なの)」

ハル「(縄を斬らなきゃ)」

 ハルは剣を構えながら走りよる。

ヨル「お兄ちゃんとお姉ちゃん達も遊ぼ」

 ハルは自分の妹の姿が脳にチラつき、動きが鈍る。それでも足は止めずに接近しながら問いを投げかけた。ハルの知る人型の魔物はどれも知性と残虐性を合わせもっていた為、気を失ってはいるものの外傷が見られない子供たちを見て違和感を覚えたからだ。

 

ハル「君はこの村で何をしているんだ」

ヨル「皆で遊んでるの!いつもどこにも連れて行って貰えないんだけど、今日はお兄ちゃんから遊ぶ許可が出たの!子供って夜に憧れるでしょ。だから昼の時間に夜を作っちゃえば皆パパやママに怒られないと思って私が夜にしたの!」

マナ「私が感知したのはこの子じゃない。この子からは悪意を感じない。大蛇の他にもうひとつ何かいる」

ヨル「?じゃあはじめよっか!真夜中の戯れ」

 

 3人は視界が奪われ暗闇に囲まれる。その3人を囲む闇の世界にコウモリの魔物が入っていく。

マナ「飛んでる魔物が近いよ!気をつけて」

ルカ「でも、位置がわからない」

ハル「(無闇に剣を振れない)」

 ルカは体に水を纏い、コウモリが攻撃をしてきたのに合わせて最小限の範囲の技を放ち仕留めていた。

 

ルカ「(水衣の罠[アクアドレス])」

マナ「(このままじゃまずい。今2人を助けれるのは私の魔法なんだ。闇を祓うは光の運命)」

 

 マナは過去に光マスターに教わった光属性の扱い方を思い出す。

マナ「(魔力を練って、治癒の力に変える前に手から出す)」

 マナの手から黄色に見える光が生まれる。

ハル「ありがとう。発光できるようになったんだね」

ルカ「毎日道場での稽古の後に頑張ってたもんね」

 ハルとルカは、マナの光を頼りに次々と魔物を倒していく。

 

マナ「2人とも目を瞑っててこの闇を祓うから」

ルカ「わかった」

マナ「(そこそこMP使うから皆怪我しないでね)」

 

 マナは重症の人を治癒する時に使う量の魔力を手に集め光の玉として出す。そしてそれを空へと打ち上げる。光の玉は村の上空へ浮上し爆発する。その光は太陽を想像させるほどの威力だった。

ハル「すごっ」

ルカ「元々魔法の扱う技術力は高かったからコツさえ掴めばマナならできるよ」

 村全体を覆っていた闇が晴れ、モチ村に昼が戻る。

 

ヨル「お姉ちゃんだめだめー!皆と遊ばなきゃなのに。なんで明るくしちゃうの。今この村には夜が好きな犬さんや蛇さんもいるのに」

マナ「私は、人を襲う魔物のことは許せない。あなたは何がしたいの?」

ヨル「この村に人を襲う悪い子なんていないよ。だってお兄ちゃんが村の人には危害を加えないって言ってたもん」

ルカ「じゃあなんで、子供たちをそんなふうに縛り上げているの?」

 

 ヨルは自分の手のひらにある縄と周りの子供たちに気づく。

ヨル「え、これヨルがやったの?嘘だ。こんな酷いことヨル。ヨル」

 ヨルは今にも泣きそうになっている。

ヨル「ごめんなさい」

ルカ「(なんなんだろうこの子。操られている?自分の意思で動いてたようにも見えてたけど)」

 

 縄から手を離し剣を持つハルに子供たちを差し出す。

ハル「(悪い子には見えない…。なんなんだ)」

 

「ヨルお前のせいで魔物が一掃されたじゃないか。僕の邪魔をするなと言ったよな」

ヨル「ごめんなさい。でもヨル 子供たちがこんな風になってるなんて聞いてないよ」

「口答えするな。まったく使えないなぁ」

 マナが感知し危険視していた対象がそこに現れた。長身の青年の様なその魔物からは、ヨルとは対称に邪悪さが滲み漏れており、感知のできないルカとハルでもその危険さを推し量ることができた。


 

ハル 「お前は誰だ」

「うるさいな。今こっちで話してるの見えてるでしょ。馬鹿なの?」

ヨル「…バート兄ちゃんだよ。ヨルの自慢の…」

バート「また、余計なことをっ」

 バートと呼ばれる魔物は自身の掌でヨルの頬をぶつ。躊躇なくその手を振り切ったのだった。

 

ルカ「ちょっと!」

バート「お前ら人間は魔物を忌み嫌ってるだろ。なら口を出してくんなよ。炎連網」

 3人にバートが創成した炎の波が襲いかかる。

 

ルカ「天水の巨壁[リアガード]」

ヨル「だめぇぇ!」

 先程まで炎だった波が雷魔法になり、ルカの水の壁ごと感電してマナとルカに大ダメージを与える。耐性のあるハルを残して2人は身体の自由を失い倒れてしまう。

ハル「マナ!ルカ!(何が起きた)」

バート「土がいたか。そっちはまぁいい。ヨルお前は僕の妹でも何でもない。ただ僕に騙されていたんだよ。僕の大好物の人の叫び声を出す為の道具としてね」

 

ヨル「嘘…」

バート「アハハ、使えるんなら近くに置いてやっても良かったけどもう用済みだね。火だるま」

 ヨルはバートの炎に燃やされる。

 

ヨル「お兄…ちゃん」

 ヨルはバートに手を伸ばしながら消えていく。

ハル「(例え魔物だとしても、許せない)君は…いや、君たちは本当になんなんだ…」

バート「なんだよその目は」

アルタ「君たち大丈夫かい!」

 マナの光魔法、バートの炎魔法を見て三銃士が一人アルタとワカ、シノブが到着する。

 

バート「三銃士が流石に分が悪い、引くか」

 バートは炎を出し、直後黒くなったその中へ消える。

マナ「バートとかいう魔物許せない」

ハル「マナ、ルカ大丈夫?」

ルカ「マナに治してもらったから大丈夫だよ。村の鎮火しなきゃ」


 一同は被害を抑える為、村を走り周った。ルカは鎮火、マナは治療、ハルは焼けて倒壊した家屋に下敷きされた人々を助けた。

 


 救助作業が落ち着いて間もなく、村の子供たちは目を覚ました。

村人「キュレザ~!!」

 子供たちの親達は我が子の無事を確認し思い切り抱きしめる。

子供「?僕たちはヨルちゃんと遊んでただけで怖い事はなかったよ」

 大人はあまりの怖さに混乱していると判断し、すぐに家に帰って休ませる判断をとった。


 

ワカ「村の人達からは物凄い感謝でしたよ。よく子供たちを守りました」

ハル「いえ…。僕らは何も」

 ワカは3人の暗い表情を見逃さなかった。

ワカ「大蛇討伐の際に出会ったのですが、こちら風の騎士団団長兼風の三銃士隊長のアルタ君です」

アルタ「よろしくお願いします。紹介にあった通りアルタと申します。この度は遠方から我が国の防衛に力を貸して下さりありがとうございます。今件に関しても深く感謝を述べさせていただきます」

 アルタは膝を地面につけ、下を見つめながら3人に感謝を伝える。

 

ハル「(役職すごい。)いえ、よろしくお願いします。ハルと申します。こちらがルカとマナです」

マ ル「よろしくお願いします」

アルタ「ルカ…。水国の姫様ですか!?」

ルカ「あ、はい」

アルタ「これは失礼いたしました」

ルカ「かしこまらなくて大丈夫ですよ。(水城最強の特兵長のシュルガさんがあんな口調だから新鮮だな。本当に騎士って感じ…)」

ワカ「今日は予定を変えここで宿泊して、明日の朝に風の騎士団と共に城に向かいましょうか」

 


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