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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
2章 忍びの村と雷の目覚め
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27話 夜の村

―――1週間後 忍村 村の西端―――

ワカ「では行ってまいります」

シイナ「彼らと風城を頼みます」

ワカ「はい。シイナさんも忍村をよろしくお願いしますよ。貴方なら大丈夫。僕が保証します」

シイナ「ありがとうございます」

リク「3人共またな。双子玉で飛んでいくから待っててくれ」

ハル「うん。お互い強くなってまた会おう」

リク「おう」

 リクとハルは腕をぶつけ合う。

 

 別れは意外とあっさりと済み、5人は村を出て迷いの森へと入っていく。リクとナギはその背中が見えなくなったと同時に修行の地へと走っていく。

リク「(ナギは、さらに速くなってる。置いていかれてたまるかよ)」


リク「デバさん。雷魔法を鍛えてると相乗効果か分かりませんが、火魔法の扱いもやりやすくなってきたのですが、関係あるんですか?」

雷マスター「ダブルヒューならではの影響だな」

リク「ダブルヒュー…って2属性を扱える人の事でしたよね」 

雷マスター「あぁ。ダブルヒューには、多くのメリットがある。例えば、片方の練度が高まるともう片方も相乗効果で高まる、この効果に憧れる者が多い。あとは戦闘中に有利をとれる相手が増える事や、技のバリエーションが増えることだな」

 

リク「おぉ…。その、ダブルヒューの人口はどれぐらいなんですか?」

雷マスター「まぁ、1つの村に一人いるかって所じゃないか?」

リク「そんなに少ないんですか!?」

雷マスター「光と治、土と岩、火と炎を同時に持ってもダブルヒューにはならないからな。雷と風、水と氷はダブルヒュー扱いみたいだがな。リクはラッキーだな。強くなれるぞ」

 

リク「そういえば、先日も雷も火も格闘家と相性がいいっておっしゃってましたよね」

雷マスター「あぁ。パワーとスピードの属性達だからな。この国では風と雷どっちが最速の属性か昔から言い争われていてな。雷属性代表としても応援してるぞ」

リク「ありがとうございます」

雷マスター「よし、そろそろ今日の修行始めるぞ」

リク「よろしくお願いします」

 

 リクは両拳を引き腹の横に構える。

リク「雷纏い 雷強速」

 リクは雷マスターに瞬時に接近し、連続で突きや蹴りを放つ。リクの速度は以前とは比べ物にならない物になったが、それでも同様に魔法纏いをする雷マスターには軽くあしらわれる。

 

リク「(俺の連続で雷纏える時間は数分)」

 リクは今、雷纏いの持続時間を伸ばす修行と雷と火の纏いを同時に使う特訓をしている。

リク「(炎飛燕流)火雨[ひばめ]」

 雷を纏ってスピードが上げ、連続のパンチを放つ。スピードと威力が両立する連続技は強力である。

雷マスター「(さて、攻撃は磨いてきたが防御はどうだ?)破雷脚」

 

 雷マスターはたしかに両足を地面につけていたが、一瞬のうちに飛び上がりリクの上方から蹴り落とす。リクは雷を両手に重点的に纏い蹴りを防ぐ。

リク「(重い)」

雷マスター「(まだまだいくぞ)」

 次の瞬間、雷マスターは地面で体勢を低くしてリクの足元を蹴りリクを転ばせる。

 

リク「うっ」

 リクが何をされたか理解する前に、既にマスターはリクの背後に回り込んでおり両手の平をリクの背中に当てると、リクは前方に吹き飛ぶ。

リク「(やられっぱなしにはならない。)火速[アクセル]」

 足に火を纏い、空中で回転して地面に足をつけ火力を利用しながら踏み込み飛び出す。はじめて雷と火が共存した瞬間であった。

 

リク「火纏い 蹴り上げ[ヒートキック]」

 リクの蹴りは雷マスターの頬を掠った。その成長に雷マスターは思わず頬を緩めたのだった。


―――ハルサイド―――

ワカ「今日はアンコ村に泊まる予定です。このペースだと着くのは夜ですね。明日の朝そこを出発して昼には城に着く予定です」

ルカ「分かりました」

 

 マナに少し疲労が見える。

シノブ「マナ大丈夫?ちょっと休憩とる?」

マナ「ありがとうシノブ大丈夫だよ」

 4人は一緒に稽古を受け切磋琢磨していたので友情が生まれていた。

 

ハル「(右から来たら、1度剣で弾いてすぐさま反撃する。こういう時は閃斬だ)」

 ハルは歩きながらもイメージトレーニングを続けていった。他の4人もそれをわかっているので特に何も声を掛けない。

ルカ「…」

 

 ハルがそのままあるけば躓きそうな落ちている石をルカが水魔法で避ける。

 

ワカ「(ハル君は頼りがいがある良いリーダーだと思いますが、こうやって支えてあげたくなるのも魅力かもしれませんね)」


 昼休憩をとって少し歩いた所でマナがある方向を指さす。そして声を震わせてその変な光景を説明した。

マナ「あ、あの…あそこから魔物の気配を感じてそっちを見てみたんですけど、なぜかあの村だけ夜です」

ルカ「え、本当だ。どういう事」

ハル「感知できる距離によって強さに違いとかあるの?」

 

マナ「多分。柱同士比べても水柱よりも闇柱の方が感知範囲も感じ方も大きかったよ」

ワカ「いいですね?」

シノブ「もちろんです」

 5人は方向を変え、明らかに異変のある夜の村へ向かう。


―――モチ村―――

 村は闇に包まれていた。その村では大蛇の魔物を中心に多くの魔物が村人を襲っていた。村には多くの馬が集まっていた。

 

村人「ダメだあっちも火の海になってる」

村人「だが、こっちも大蛇が来てるぞ」

村人「誰か私の子を知りませんか」

村人「ウチの子もいなくなってしまって」

 

「皆さん落ち着いてください。風騎士団が現着しました。ただちに魔物の討伐にあたります」

 剣を腰に刺し華美な装飾で武装する青年は、村人達に声を掛けながら大蛇の元へと走る。

 

村人「アルタ様が来てくださった」

村長「皆兵の言う通りにして、避難するのじゃ。子供たちも必ず風の騎士団が見つけてくれる」


「アハハハ、阿鼻叫喚だね。やっぱり人間の逃げ泣き叫ぶ声が1番サイコーだなぁ」

 スラッとした高身長の青年の魔物は長い前髪を、夜の風になびかせながら高らかに笑う。

「お兄ちゃん、ヨルは村の子達と遊んでていいの?」

「あぁ。ヨルは遊んでてくれ。隠れんぼなんていいんじゃないか?」

「ヨル隠れんぼ大好き」

 

 ヨルと呼ばれる少女の姿をした魔物は村の子供達数人を縄に縛りそこから伸びる縄の端を握っている。少女はウサギの人形のカバンを持ち、カバンからは棒付き飴が飛び出している。

「さて、三銃士が一人アルタの実力見せてもらおうじゃないか」

 

 その村から見上げる夜空には月も星も見えない。


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