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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
2章 忍びの村と雷の目覚め
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21話 スタイルの根本

―――ワカ道場―――

ワカ「君たちにはそれぞれのメニューを考えました。これを今日入れて6日でこなして貰って、7日後の朝出発し、1日どこかで宿泊して次の日には城へ着く予定です」

ハル「わかりました!よろしくお願いします」

 一面畳の広い稽古部屋でワカを前に、4人が凛々しい表情で向かってそれぞれ後ろで手を結び立っていた。

 

ワカ「よし早速!風忍法 風分身の術!」

 ワカは4人に分身する。その分身体からは、風の音が聴こえる。

ルカ「すごい!魔法にこんな使い方があるなんて!」

シノブ「この術は先生にしか使えないすごい技なんだ。マンツーマンで特訓するって事ですね」

ワカ「その通りです。オリジナル以外はある程度ダメージ入ると消えちゃうから注意してください。オリジナルはハル君につくことにします」

 ワカ4人とハル達4人は、広い一室の4角に別れ、特訓を始める。


ワカ「ハルくんの今までの戦闘をチェックさせてもらいました。並の魔物であれば絡め手を使ってこない限り君に敗北は無いです。しかし耐久力のある魔物や格上になると君の戦い方では通用しなくなると感じました」

 ハルは今までの何度も仲間にカバーをしてもらったことや吹き飛ばされマナに助けてもらった経験などを思い出す。

 

ハル「心当たりは重々あります」

ワカ「自覚しているのはいい事です。あとは技の数をもっと増やしましょう。今はスラッシュと閃斬が主に使う技となっていますね。あと2種類の軸となる技を習得するのと、戦闘のスタイルと心構えを変えましょう。それをこなせば1つ上のステージに立てるはずですよ」

ハル「新しい技ですか…。イメージしている物が1つあります。(ワカさんボクの事を沢山調べてどういった特訓が必要なのかをちゃんと見極めてる。これを一晩で4、3人分やったのか?すごい。感謝して特訓に取り組まないと)」

ワカ「それを形にするのは、戦闘中の基本を学んでからです。)まずは準備運動と柔軟体操からです」

 ハルはナギには及ばないものの柔軟性が高い。

 


ワカ「よし。竹刀を持って特訓を始めますよ」

ハル「はい。よろしくお願いします」

 ハルは息をめいいっぱい吐き、その後音がならない様に静かに深く吸い込む。

 ワカの竹刀は一撃でハルの竹刀を吹き飛ばす。

ハル「え?(いや乱されるな!)」

 ワカは容赦なく武器を失ったハルに叩きつけてくるが、次々とハルはかわす。鼻歌で自身のスピードを上げていた。

 

ワカ「(これはどう判断する?)」

 ワカは紋章を出して、高速で斬り掛かる。既にハルには回避不可能である。ハルはそこで自ら竹刀に当たりに行くという判断を取る。

ハル「(痛っ!)」

 ワカの攻撃の勢いを利用して、自分の竹刀が落ちている所まで飛び、一瞬で竹刀を掴み体勢を整える。

ワカ「竹刀は振りきられる途中に速度が最大になる、その前に当たってしまうという判断ですね。悪くないです」

 

ワカ「遠慮なく反撃してください!」

ハル「閃ざ…」

 ハルが自身の最高速度の剣技を放つ前に、ワカの竹刀がハルの頬を捉えていた。竹刀は振り切らずワカは構えを下ろし話し始める。

 

ワカ「今のは読み合いの時点で既に負けていました。勿論僕が君の技を知ってるのもあるけど、今のままだと強者と戦えば必ずその状況になるでしょう。手の内を晒しきれば基本的に読み合いには勝てません。読み合いに負けない為には、自分の技のレパートリーを増やす他に…」

ハル「先にこっちが相手を読む」

 ワカは穏やかに微笑みながら頷く。

 

ワカ「そうです。出す技がバレていても避けられなければいいのです。君は反射神経に頼って今まで戦ってきた。しかし先日の戦いで君は大長に読み切られ、反応できない速度で攻撃を喰らってしまいました。私の自論は格上相手でも読み合いに勝てれば単騎での勝利の可能性も充分にある、です」

ハル「勉強になります!」

 


ワカ「君は他の城の兵や、水マスターからスキルや技を見て学んだんですね。この忍村では自分で技を編み出してもらいます」

ルカ「自分だけの技ですか」

ワカ「はい。君よりMPの最大量の多い魔法使いはそうそういないでしょう。このMP量をフル活用した必殺技を編み出して貰いたい」

ルカ「それは、アガりますね」

 自身の可能性を閉ざされていないと捉えてくれた事を嬉しく感じ、思わず笑みが零れる。

 


シノブ「私は、ナギと相当差をつけられてしまったことを自覚しました。もちろん毎日特訓していましたが、外へ行き経験を積んだ人達には敵いませんでした」

ワカ「ナギは確かに強くなったね。今回はルカさんとハル君とそして、マナさんとの組手を中心にしよう。それと君に出来ることとナギに出来ることは違う。自分の強さを突き詰めるといい。受け継いだ花忍法でやっていくと決めたんだろう。花忍法のシノブと言われるぐらいまでなりなさい」

シノブ「はい!」

 色んなタイプの相手をすることで咄嗟の対応力を付けさせるメニューである事を言わずとも、シノブは理解しており素直にそれを受け入れた。

 


マナ「私が近接戦闘の特訓ですか?勿論攻撃手段は増やしていくつもりでしたが、弓の方を鍛えた方がいいのかと思ってました」

ワカ「ヒーラーは基本後衛になるから、弓も使いこなせるようになれた方がいいです。ですが、仲間が倒れ回復してる内にも攻撃されないとは限らない。君には人一人担いで逃げる筋力とスタミナはない。もしそうなれば君が戦うしかないんですよ」

マナ「…新たなに人を守る力を得られるならがんばります」

ワカ「よし。まずは、各国の近接戦闘のスタイルを手短に話しましょう。風国の格闘術は躱して反撃するのが特徴で、火だと攻め、岩だと受けて反撃、水だと流していなすのが特徴的です」

マナ「(たしかに、リクの防御技あんまり見ないし、姉さんは初撃を基本かわすな。)私の運動能力で躱して、反撃まで出来ますか?」

 

ワカ「どの国の格闘術も相手を見て捉えるのは共通してますが、躱すというのは流すよりも難しいと僕は思います。手を反射的に速く動かすよりも、体全体を速く動かす方が難しいはずです。これを体得できれば弓の命中率も上がりますし、君の感知をさらに活用出来るはずです」

マナ「なるほど…」

ワカ「たった6日でマスター出来るとは思いません。今回は反撃は最初から捨てて、躱すことだけに時間を使いましょう。勿論弓の練習も忘れずに」

マナ「わかりました。よろしくお願いします!」


 この様にして彼らは敗戦を経験に昇華し鍛え直し始めるのであった。


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