20話 人間の力のすべて
―――忍村 北 滝の森―――
雷マスター「今日から2人には俺達と一緒に修行して貰う。よろしくな」
リ ナ「よろしくお願いします!」
風マスター「君たちは戦闘技術とかの前にまず知識が足りない。君は紋章の説明を出来るかい?」
ナギ「いえ」
風マスター「能力については?」
ナギ「できないです」
俯くナギを隣からリクは見つめていた。
風マスター「それはまずすぎるでしょ。自分たちの可能性を知らないで、どう目標を立てて成長するつもりなの?」
リク「す、すみません。教えていただけませんか」
雷マスター「フウルは今日もいきなりキツい言い方だな。まず紋章だな。これは主に身体を十分に鍛えた者が戦闘中に、極限まで集中した状態で、感情が最高潮に高ぶった時に手の甲に現れるものだ。現れた瞬間から強さの格が変わる」
リク「(ナギはその状態になったのか)」
雷マスター「そして、一度紋章をだした者は鍛錬次第で任意のタイミングでその紋章を出すことができるようになる」
雷マスターは自身の手の甲に紋章を浮かべて、歯を見せて、にかっと笑う。
ナギ「(でない)」
風マスター「なんであの瞬間に紋章がでたの?」
ナギ「あの時は、目の前で仲間と友人が吹き飛ばされ、安否も分からない状態で大長に許せない事を言われ怒っていたのだと思います。おそらく紋章が出てたという時には、思考が透き通っていて体が思うように動いていました」
リク「(ナギって、なんか説明上手いな)」
風マスター「その透き通った思考をいつでも引き出せるようにする。これが今回の修行の目的」
ナギ「わかりました」
雷マスター「次は能力についてだな。能力の発現方法は明確ではない。しかし魔法や身体技術でできない事が可能なるのは明らかだ。あとは、能力の発現者は全員紋章の発現者でもある。最低条件が紋章を扱うことなのかもしれないな。フウルあと何か説明しとくことあるか?」
風マスター「特技を説明した方がいいんじゃない?」
雷マスター「あぁ。そうだな。特技は生まれ持った力で、主に卓越した身体機能だな。例えばシイナは普通の人の何倍も自身の体の力を入れる場所を操れる特技を応用してパワーアップができる」
リク「自分、食中毒にならないんですけど、それは特技ですか?」
雷マスター「特技の詳しい性能は自分で見定めた方がいい。だが特技と認めていいと思うぞ」
リク「ありがとうございます!性能といえば、マナの感知はすごい性能だよな!」
ナギ「あ?あぁ!そうだな」
リク「あと俺、勝手にナギのコンビネーション力の高さを勝手に特技だと思ってるんだけどさ…」
ナギは目を丸くした後に口をつぐみゆっくり返事をする。
ナギ「その通りだ。でも、それについては今日宿に帰るまで待ってくれないか」
リク「……。わかった。話したくなかったら話さなくても大丈夫だよ」
ナギ「ウチの過去と、特技について今日話すよ。聞いて欲しい。ずっとみんなには言わなきゃと思っていた」
リク「わかった。待ってる」
雷マスター「じゃあ、ここからは二手に分かれて修行を開始する。お互い紋章と雷の制御が可能になっていることを誓っといてくれ」
リクとナギは無言で握手をして別れる。
雷マスター「誓いってのは、不安や揺らぎを感じた時に折れないようにする物だ」
風マスター「僕の考えでは、紋章は2回目が1番難しいと思っている。あの体の感覚を取り戻さないといけないから。でも日を空けず練習できるのはでかい」
ナギ「なるほど」
風マスター「双剣を使って僕に攻撃してきて。僕は紋章を出しながら君に反撃も入れる。寸止めする予定だけどあまりに愚図だと当てるから。それじゃいくよ」
風マスターの手の甲に紋章が浮かび、風マスターは2本の剣をそれぞれの手に握る。ナギとおなじく双剣使いである。
ナギは深く息を吸い集中する。風マスターが手加減をしてくれている事がわかる。まず左の剣の突きが来る、ナギはそれを右半身を捻ってかわす。次に右の剣が横から迫る。その柔軟性を活かして体を思い切り仰け反らせ回避する。風マスターの攻撃は甘くない、仰け反りマスターの剣を見えていないナギに左の剣で斬りかかる。剣がナギの着ている服に触れた瞬間、体を回転させてナギは回避と反撃を同時に行う。しかし、そのナギの剣はマスターには届かない。マスターは回避されるとわかった瞬間に左手を素早く引っ込め既に身を引いていた。
風マスター「風纏い」
マスターの動きは段違いになる。ナギがマスターは自身の力のほんの一端しか見せていなかったと気づいた時には、ナギの目の前で剣の先が止まっている。
風マスター「1死亡、次そのまま続ける」
雷マスター「君を1週間ちょっとで並の雷魔法使いと同レベルまで育てる」
リク「マスターに教わるとそんな簡単に身につけられるものなのですか?」
雷マスター「君は水柱に相当強力な雷を喰らっている。それが君の中の雷を目覚めさせたんだ。ついでに大長6のも喰らっとければ良かったんだがな」
リク「(この人、凄いこと言ってる)」
雷マスター「今、簡単かと聞いたな。泣くほど難しいぞ。逃げ出すなよ」
リク「(これは過去の自分から変わるチャンスなんだ)はい!」
過去にリクは炎飛燕流の道場から逃げ出した過去がある。逃げ出してからは一度も戻っていない。リクは今までの旅を振り返る。到底ナイフを使っての戦闘術とスナイプだけではやっていけてなかったと分かっていた。道場で格闘術を習得したからここまでやれたのだ。もし逃げないでもっと頑張っていれば更なる強さを得れていたと確信している、故に逃げ出した過去を後悔している。
リク「(もう)逃げません!」
雷マスター「よく言った!じゃあ夜までここにいろ!雷天明球」
立ったままでも体全体を入れる程の大きさの雷の球体を目の前にしてリクは唖然とする。
リク「この中に入るんですか?」
雷マスター「なに、リク君の雷耐性なら死にはしないさ、これからやる事もその中で聞いてくれ」
リクはその球体に手を触れると、バチッと音がして手に微かに痛みが走る。
リク「え」
雷マスター「別に効かない訳じゃないんだから、多少はダメージあるさ」
リク「(行くぞ)」
リクは一気に飛び込む。
リク「ぐぁあぁああ!」
ナギと風マスターの所までリクの叫び声が聞こえる。
風マスター「集中!」
風マスターは手を止めない。
風マスター「僕は口が悪いし思いやりも欠けてると自負しているけど、デバの方が人としてやばいと思うよ。デバは一度も負けたことがないんだ。そんな奴の指導に身の保証なんてものないよ。でも、この先の相手を考えたらこれを越えるぐらいしないときっとついていけないと思う」




