31話 戦闘値について
ドーア「ま、まず戦闘値についてですね⋯ちょっと説明が長くなってしまいますが頑張ってください。まず、人間のステータスについて10個の項目に分け、それぞれを最大10点で評価し合計100点満点で表します」
1.A 攻撃値⋯魔法を加味しない攻撃力
2.G 守備値⋯魔法を加味しない防御力
3.M 魔力値⋯最大MP量
4.E 練魔値⋯魔法の練度
5.H 体力値⋯スタミナ及びHP
6.V 速度値⋯魔法も加味する最高速
7.C 連携値⋯仲間との意思疎通能力
8.S 精神値⋯身体とは別の強さの精神力
9.T 思考値⋯戦闘等での思考速度及び、知識量と思考量
10.X 特殊値⋯その者特有の力、特技や能力の有用性
戦闘値はこの10つのステータスを総合しての呼び名
ドーア「こ、こんな感じですね」
ドーアはポケットから上記の内容が書かれた紙を取り出しハル達に見せる。ゼントをサナスに任せてハル達は宿へと移動していた。
テーブルの中心に一枚のメモを置き、5人は肩を寄せあって戦闘値についての説明を読み進める。
リク「攻撃と守備は魔法加味しないんですね、ルカとか魔法使えば攻守どっちも高得点そうなのに」
ルカ「魔法についてはその下の魔力値と練魔値で評価されるみたいだね」
ナギ「(ウチなら速度値と連携値が高いのかな)」
ハル「(特技を持たない人や能力の発現をしていない人も多いのにこれも10点配分あるのか)」
マナ「(流石に治魔法特化の項目はないな…)」
ドーア「ひ、1人ずつ発表していきますね。あくまで現在のステータスですから、これからいくらでも成長します。むしろ、弱点を数値化で示されてからが成長への一歩だと思います」
ハル
攻)6 守)6 魔)4 練)3 体)5 速)4 連)7 精)5 思)8 特)2 戦)50
リク
攻)7 守)4 魔)4 練)4 体)6 速)7 連)4 精)5 思)5 特)4 戦)50
ナギ
攻)5 守)6 魔)6 練)6 体)4 速)9 連)8 精)6 思)6 特)2 戦)58
マナ
攻)2 守)3 魔)7 練)7 体)4 速)3 連)7 精)3 思)4 特)5 戦)45
ルカ
攻)2 守)2 魔)9 練)9 体)6 速)4 連)6 精)7 思)7 特)2 戦)54
ドーア「どうでした?」
ハル達5人の顔はどれも少し渋く暗い顔をしている。自分、または仲間はもっと成績が良いものだと思っていたと言わんばかりの顔である。
ドーア「ハル君とリク君は戦闘値が同点ですね」
ハ リ「はいっ」
ドーア「君達のステータスはバランスが良いです。その上でハル君は連携値と思考値が目立っている、リク君は身体ステータスが平均的に高く、特殊の4も目立ちますね」
リク「4点って半分以下なのに良いんですか?」
ドーア「特殊値は大体能力を開花していない人は0点の項目なのです。君の特技は点数を貰うに値しました」
リク「毒無効化がですか?」
ドーア「あなたの特技はそんなものに留まりませんよ」
リク「え!?というと…?」
ドーア「君の特技は高免疫、分かりやすくいうと毒含め状態異常になりません」
マナ「すご!」
声を出したマナの方を見ると、他の仲間達も驚いていた。
リク「そんなに?」
ナギ「魔物から強制的に眠らされたり、麻痺や風邪とかにもされないってことだぞ」
ハル「ただの食中毒効かない特異体質って言ってただけなのに、全然特技の一端だったんじゃないか」
ドーア「は、ハル君のフルートや声の音を反射させて響いた空間内を手に取るように把握する力も特技ですよ、ナギさんの読心とルカ姫の写真記憶も含めわかりやすく戦闘向けでは無いので点数は低いですが凄い力です」
ルカ「マナの感知はやっぱり点数高いんですね」
ドーア「の、能力無しでこの点数は初めて見ました」
その後もドーアからの1人1人の評価を聞きその日は解散とした。
―――宿―――
リク「俺的にはルカもっと点数高いと思ってたんだけどなぁ」
ルカ「魔法無しでの戦闘力がシビアに数値化されちゃった」
ナギ「なんか強みと弱みが本当に分かりやすくなったな」
マナ「姉さん次お風呂いいよー」
ナギ「ん、ありがとな」
ナギはベッドの上に倒していた体を風を使いながら起こして風呂場へと向かっていく。
ナギと入れ替わるようにマナがベッドへとダイブしその反動で大の字で天井を見つめるルカの体が一瞬浮く。
リク「ハル結構気にしてるみたいだな」
リク達は宿の2階に宿泊していた。昨日リリスが1週間分の料金を払ってくれていたので豪華な宿で体を回復することに努めることができた。ハルはバルコニーから夜空の光点を静かに見つめていた。
ハル「(点数は僕の限界を10点じゃなく、島中で比べてか…。魔法はまだ鍛え始めたばかりだからまだしもオレンジ村でドミーさんに習った剣技を持ってしても6点か)」
ハルは今まで戦ってきた相手を思い出す。
ハル「(水柱やトフムのような怪力も、風柱のような圧倒的スピードと攻撃技術もない…。僕はリクみたいに簡単に前は向けないよ…)」
マナ「隣いい?」
窓を横にスライドさせマナが顔をだす。
ハル「え?うん。もちろん」
マナ「これ、ホットミルク。土国では酪農が有名なんだって。ハル甘いの大丈夫だったよね。熱いからね」
陶芸粘土を焼いてできたマグカップを手渡す。
ハル「ありがとう。いただきます。熱ッ!!」
舌を火傷したハルは氷を非常に薄く纏い冷やす。
マナは叫んだハルを横目にふふと笑い、自身は必死でミルクを冷やす。
マナ「火傷さえも治してあげれないや…」
ポツリとマナが呟いた。
ハルにはその言葉でマナが涙を零したのでは無いかと錯覚してしまうほど切なく聞こえた。
沈黙の後、ハルが口を開く。
ハル「マナは偉いよ。僕はマナみたいにずっと仲間を気にかける事できてないから尊敬する」
マナ「だってそうしないと私の存在が危うくなっちゃう気がして。もちろん皆が回復役としての私だけを求めている訳じゃないのはわかってるの、でも一緒に居続けてもいいのかなって…最近は毎日思ってる」
ハル「マナ、僕はそんな心境にまで追い込んでしまった自分を嫌悪している」
マナ「ハルのせいじゃない」
ハル「なんでそう思うの?僕に力があればマナが傷つくこともなかったし、リクのお父さんとマナの故郷の仇を討つ事ができたんだ」
マナ「あの状況で闇柱に勝てた人はいなかったし…ハルとリクはあんな中でよく大長10を倒せたよ」
ハル「あれは運が良かっただけ。もし闇柱が撤退せず本気で僕らを殺しにかかってくれば一溜りもなかった。でもさ、僕らは命を確かに繋ぐことができた。そのお陰でこれからも人を救う事ができるんだ。マナなら僕とは違う方法で救えるでしょ」
マナ「…出来ると思う」
ハル「こういう良い方向へと持っていく考え方はリクの方が得意だと思うんだけど、この試練を一緒に乗り越えようよ。この状態で柱を倒せば治魔法だけが求められてるって思うことも無くなるんじゃないかな」
マナ「うん…。幸い光魔法は封印されなかったから風国までの私とは違う方法でみんなを助けたい」
マナ「私、姉さんが双剣を使わないで試合に勝ったって聞いて驚いたし嬉しかった。皆色んな自分の力を模索しているんだって。リクも努力してスナイプと体術の使い手になってるし、私も治魔法を操る僧侶と光魔法で戦う二本の刃を身につけたい」
ハル「よく言った!僕も全力でサポートするよ」
マナ「ありがとう」
マナ「ねぇハル」
ハル「?」
マナ「これからもよろしくね」
マナは空になったマグカップを持って室内に戻っていく。ハルの胸のもやもやはマナと話している内に消え去っていた。
ハル「新しい励まし方されちゃったな。僕も入ろ」
半分ほど残ったマグカップを持ってハルも室内に入ろうとするが、窓一枚を隔てた向こう側でリクがニヤニヤしながら鍵をかける。
ハル「うぉぃっ!!寒汰美冷 外から流し続けるよ~」
リク「勘弁すぎる!ごめんて」
ハルは仲間達の輪に笑って戻っていく。
ナギ「(ん?なんかあっちで良い雰囲気になってるな。互いの心の内が読めない間で話す事で満たされるものもあるもんな、明日は楽しくなりそうだ)」




