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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
3章 封印とダンジョン
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27話 服従と固定

~~~中央線広場~~~

土マスター「み、み、皆さん気をつけてくださいね」

 数分前まで、足を組んで声をあらげていた男の影も形もない人物がそこにはいた。


 大会が開催されていた中央広場には、計15体のゴーレムが集まってきていた。

リク「(さっきまでの土マスターと人が変わったみたいだ何があったんだろ)」

 

 リクは考えながらも、フレアゴーレムと同等の強さを持つ個体を一撃で破壊し撃破する。

 

ハル「僕がもっと早く伝えれていればこんな状況にはならなかったかもしれない」

ナギ「いいや、大長3は決勝が始まる前から行動を企てていた、それはハルと戦うもっと前から準備されていた筈だ」

ルカ「私もそう思う。大長を追ったリリスちゃん達は大丈夫かな」

マナ「(私の感知の特技がもっと精度高かったら対処できてたのに…治魔法も使えないし、光魔法も弱い…今の私に皆といる価値なんて…)」

ルカ「マナ!危ない!」

  マナの背後から迫るゴーレムをルカの声に反応してナギの風魔法で拘束しリクの蹴りで破壊する。

 

マナ「ありがとう(また、足を引っ張っちゃった)」

 普段なら感知を使って真っ先に奇襲や背後の攻撃を警告してくれるマナだったが、それもグーの力に感知対象の全てを引っ張られ反応しなくなっていた。

 

ルカ「皆奥から、凄いの来るよ」

リク「でけぇ」

 拳が家サイズのゴーレムが現れ中央広場へと進んでくる。その巨体は足元にいる人間からの魔法攻撃や、家屋さえもものともせず全て破壊していく。

 地震で家が倒壊し、本来頼れる筈のマスターにはその修繕に多額の金額を要求されながらも必死に暮らしていた人々の直しかけの住居を無慈悲に破壊していく。


リク「見てられねぇ、迎撃にいくぞ!」

ナギ「おう!」

 リクとナギが飛び上がり屋根をつたってゴーレムへと近づいていく。

ルカ「私たちも地上から行こう」

 

リリス「ルカ姫!マナはおらぬか!ゼントが重症なのじゃ魔法無しでも応急処置してほしい」

 リリスが抱えるゼントは腹から大量出血した跡があり、四肢が全て骨折と非常にまずい状態であった。

マナ「わかった!(あんな深い傷なのに血が止まってる?)」


 リリスの『固定』は、指を指したもの、土や水さえもその場に留める事が出来る。人体から流れる血液も同様である。しかし血流を止めれば死に至るので破れた血管の代わりになる様に表面の血のみ固定し止血しつつ血流を生かす。


土マスター「(今は僕を服従させていたことを不問にしましょう)」

 土マスターは砂を両手から出し壁を作っていく。その壁は治療しているマナとそれを受けるゼントを守るものである。

ルカ 「ありがとうございます」

土マスター「君は決勝でガイラと戦った水魔法使いですね、二人をお願いできますか」

 土マスターは砂の壁を見つめ視線をルカに戻す。

 

ルカ「私の大事な仲間と、友達の側近の人ですから!任せてください」

 土マスターは優しく微笑み、ハルを先導してリクとナギが向かった巨大ゴーレムとは別のもう一体の対処に向かう。

リリス「妾は、リクの方じゃな!ドーアよゼントの件の非礼は後でゆっくり謝罪させて欲しい」

土マスター「えぇ」

 三人は別れ迎撃に向かう。

ルカ「(土マスターがオババ達の言ってたドーアさんだったんだ)」


 ゼントの『服従』は両手で相手の両頬を触る事で能力にかける事ができる。触った後に制限する事項を述べ、相手に宣誓させれば完了する。発動条件を達成するためにリリスの能力が最適であった。

 

~~~~~~

 グーは仮想空間から抜け出そうと自傷行為に至ったが行なう直前にサナスに能力を解かれた事で、自身のHPを9割以上削る行為をしてしまったのだった。

 サナスもガイラも、能力を授かっているので必然的に紋章も出せる。つまり、数々の場数を踏み経験を得て晩成した強者だ。加えて二人とも油断は無かった。

 致命傷を負ったグーにトドメを刺そうとした瞬間に動けない筈の傷で二人に反撃する。

 

ガイラ「んっす」

 ガイラはグーの拳が触れる寸前岩の鎧を自分とサナスに纏わせ防ぐ。しかし、グーの岩のドリルの付いた拳は一撃で鎧を破壊していた。直ぐに反応した両者はバックステップで腹を抉られるのを回避する。


ガイラ「(多分人類で一番を争うぐらいは僕の鎧硬いっすよ)」

サナス「この魔物意思がないようですよ」

ガイラ「こいつも実はゴーレムかもって事っすか?」

サナス「そうはみえませんが。相手は大長です、何が起こってもおかしくないでしょう」

ガイラ「そうっすね。でもあと一撃で倒せるのは変わらないみたいっす」

 そう言った途端にグーは先程自身で半分斬り裂いた首を前後左右に傾け自由に動かす。

 

グー「いやぁ、危なかった!繋がってよかったぁ」

 グーの首の傷が徐々に塞がっていく。

グー「打たれ強い岩魔法の使い手がこんなポンポン致命打受けちゃだめだよね!気をつけよ」

 そのにこやかに話す魔物からは、一ミリも悪意を感じず目を閉じれば普通の人間の子供と勘違いするほどである。内容はともあれ。


ガイラ「(普通こういう相手って不気味に感じる筈なのに、それが無い…。ある意味それが不気味っす。それにさっきの傷はどこへ…能力を看破しないとわからないっすね)」

 グーは首を傾げながらガイラとサナスの顔を覗く。

 

グー「僕の能力暴かないと無限に動くし復活するよ!」

 グーが両手を空にかざすと辺り一帯が暗くなる。魔法によって空中に生み出された岩の影である。岩の下に晒された人々は宙を見上げる。

 

サナス「(まずい)皆さん下です!!!」

グー「すご!よく気づいたね!でも遅い」

 上から降りそそぐ岩を魔法で対処しようと見上げる人々の足元から鋭利な岩の先が生えてくる。

サナス「16分割 巨大空間!」

 

ガイラ「僕は抜かしてほしいっす」

 攻撃範囲にいるガイラ以外の人間全員を16個の仮想空間それぞれに入れる。間一髪で怪我人を出すのを防ぐことに成功した。空間外から岩の攻撃を喰らい、中の者たちは致命打を受けたことで空間は縮んでいき空間内の岩魔法は消えていく。そして、仮想空間内なので現実へのダメージ持ち越しは0である。


ガイラ「(あの人攻守万能じゃないっすか、サナスさんの能力が無ければ戦士達は全滅していた…)」

 ガイラは1人グーに攻撃を仕掛けていた。グーの後頭部へ向け前に突き出すように岩を生み出し、グーは頭を前に跳ね倒される。そこに岩を纏ったガイラの拳がクリーンヒットし顔を殴り上げる。小さな体のグーは体ごと宙に浮かび上がり、その腹に岩の棒が何本も突き刺さり薄い胴体を貫通する。

 

ガイラ「(魔物とはいえ子供の姿にこんな惨いことはしたくなかったっす)」

 グーは地面に背中から落下した後動かない。消えないのは大長の耐久力の為であるのだろうか。

ガイラ「(さっきの自然回復も岩が突き刺さったままなら治ったうちからダメージを負うはず)」


 サナスは背後から迫るゴーレム達を戦士らと共に相手していた。少し遠くには誰かが巨大なゴーレムと交戦しているのが見える。全力で戦っているが強固で素早い上級ゴーレム達の猛攻に次々と戦士達は倒れゆく。グリル村の住人達は屋内で避難しているが、不安に包まれていた。


 ガイラは地面に仰向けに横たわるグーをよく観察していた。すると再びその魔物は起き上がる。岩が突き刺さる部位からは血が流れ出ている。棒状の岩を体に埋めながらもガイラに向かってくる。

ガイラ「まるで不死身の人形っすね…。ん?もしかしてこいつの能力って…」

 

 今のグーの動きはまるでゴーレムの様である。複雑な攻撃はせず、基本的に直線的に狙った相手へ物理攻撃をする。先程のグーであれば上に相手の意識を集中させ、逆をついて下から攻撃するなど明らかに思考が関与した攻撃をしていた。更にその前サナスの空間解除によって自傷した際も二人にまっすぐ飛びかかっていた。


サナス「(ゴーレムという魔物を生み出しているんじゃなくて自身の岩魔法をゴーレムにしているんですかね、でも手動で操作しているようには見えない。動けないような怪我でも動く能力…)」

 彼ら二人は知らないが、先程ゼントが『服従』にかけようとグーの思考を封じた際に反撃を受けたのもグーの能力のせいである。


グー「意識は戻ったけど、岩が刺さったままだと邪魔だなー」

『自動』の能力を持つその魔物は再び意識を取り戻す。 

  

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